第5巻マ

□第129話 炎の帝、降臨!
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「お師匠様、起きてください。朝ですよ。」

「まだ眠い・・・・。頼むメアリー、今日は見逃してくれないか?」

「ダメです。私がお姉様に怒られます。ほら、起きてください。」

メアリーは私の布団をひっぺがす。

「ひえ〜、寒い。た、頼む布団を返してくれ。」

「そんなに寒いなら砂漠に行けばいいじゃない。」

様子を見に来たセフィリアが血も涙もないことを言う。

「お、起きました。おはようございます。」

「馬鹿ハンター、話があるからリビングに来なさい。」

以前から思っていたがセフィリアより私の方が年上のはずだ。なのになぜ私が命令されなければならないのだ?

「早くしなさい。」

「は、はい。すぐに行きます。」

私は大急ぎでリビングに向かう。

「馬鹿ハンターも知っているでしょ?村の外れにある塔を。」

確かにここからでも微かに見える塔がある。しかしあそこは封印されているかのように入口の扉が開かない。

「なぜか解らないけど最近開くようになったらしいから調べて来て。」

「そういうことはアーサーさん達に調べてもらったほうが・・・・・」

「お金を取られるでしょ!!文句を言わずに行きなさい。」

「はい。」

だからなぜ私が命令をされなければならないのだ?

「何か言った?」

「い、いえ。」

私達は食卓へ向かう。

「エバンスさん、お邪魔しています。」

「あ、アリスさん、いらっしゃい。」

私はラッキーと思った。塔にはどんなモンスターがいるか解らない。私やニーナはともかくメアリーとアシュリーが心配だったからアリスさんが来てくれるととても助かる。

「アリスさん、今日は塔に行くのですが一緒に来ていただけますか?」

「もちろんよ。」

「また、アリスさんと狩りにいけるんだすか?感激でございますでございます。」

いい加減にアリスさんの前だと緊張するクセは治らないのか?

「ニーナ、あくまでも調査だ。モンスターがいるとは限らないぞ。」

「塔という場所がらいないと言う方が無理があるわよ。しかも今まで誰も近付かなかったのでしょう?」

アリスさんの言葉には説得力がある。
とにかく私達は朝食を済ませて塔に向かう。

「お師匠様、あそこに何かいます。」

塔の最上階で私達は古龍らしきモンスターを見つける。

「いたわよ、いたわよ。それじゃあ、お先に。」

もちろんニーナだ。

「待つのだ。ってもういないな・・・・・・」

すでにニーナはモンスターに接近していた。
それどころかアリスさんまで攻撃に参加している。
私は【古龍事典】でモンスターを調べる。

「テオ・テスカトル・・・・別名、炎帝。体に炎をまとい近付く者の体力を奪う。か・・・・」

私は事典を見るのに必死でテオ・テスカトルが近づいてきていることに気付かなかった。

「にぎゃ〜〜〜〜!!危な〜〜〜い!!!」

私は必死に避けたがテオ・テスカトルは私の真横に立ち止まる。

「熱っ。熱い。」

なるほど、近付く者の体力を奪う。そのとおりのようだ。
私は安全圏に逃げ弱点を調べる。

「アリスさん、ニーナ、弱点は顔面です。顔面を破壊すれば体の炎は消えます。」

私は勇気を振り絞って炎帝の顔面に大剣を振り下ろす。
炎帝はカウンター気味にパンチを放つ。

「よっと。」

私は冷静にパンチをかわす。
今度は力をためるように炎帝のまわりに炎塵のようなものが噴き上がる。

「みんな、離れて。」

危険を察知したアリスさんが叫ぶ。
アリスさんの予想通り炎帝は火柱のようなものを地中から噴き上がらせる。

「あ、危なかった。」

「エバンスさん、この相手は危険すぎるわ。メアリーとアシュリーを避難させるべきよ。」

メアリーは勇敢に戦っているがアシュリーは完全に怯えている。
私はここで大きな決断をする。

「メアリー、アシュリーを安全な場所まで避難させてくれ。」

私とニーナは一つしか持てないモドリ玉をメアリーとアシュリーに渡す。これで私達は炎帝を倒さない限り外には出れないことになる。

「お師匠様、お母さん、ニーナさん。お気をつけて。」

メアリーとアシュリーがモドリ玉で塔から脱出する。

「それじゃあ仕切り直しよ。」

ニーナが再び炎帝に戦いを挑む。
私とアリスさんがそれに続く。
再び炎帝が炎塵を噴き上がらせる。

「離れるのだ。」

私一斉に離れるが先程と違い炎帝から離れた場所で火柱が上がる。

「わぎゃ〜〜〜!!!聞いてないよ〜〜〜!!」

しかし、ここでアリスさんがあることに気付く。

「エバンスさん、ニーナさん。今度、炎塵があがったら私の指示に従ってくれるかしら?」

もとより私もニーナもアリスさんに全幅の信頼を寄せている。二人とも無言で頷く。

私達は慎重に炎帝にダメージを与えていく。
そして炎帝が炎塵を噴き上がらせる。

「大丈夫、そのまま攻撃を続けて。」

私とニーナはアリスさんを信用して攻撃を続ける。するとアリスさんの言葉通り火柱は炎帝から離れた所であがる。

「なぜ解ったのですか?」

「炎塵の色よ。」

そんな所、見ている余裕なんてないぞ。

「ボサッとしてないで攻撃しなさい。」

ニーナの声で我にかえり攻撃を加える。
ついに炎帝の顔面が破壊される。
するとクシャルダオラ同様に炎帝を空高く舞い上がり逃げていく。

「つ、疲れた〜。」

「さすがに今回は私も疲れたわ。」

私とニーナは疲労から座り込む。

「ほら、メアリーとアシュリーが心配だから早く帰るわよ。」

アリスさんは全く疲れたそぶりも見せない。
この人はバケモノだ。

「早くしなさい。放っていくわよ。」

私とニーナは慌ててアリスさんの後を追う。

「お師匠様、お母さん、ニーナさん。お帰りなさい。」

メアリーとアシュリーは既に家に帰っていた。

「お帰り。炎帝とは凄いモンスターと出会ったものね。アリスさんがいてくれて本当に良かったわ。」

セフィリアは珍しく労をねぎらうと言って酒を出してくる。私達はアリスさんも一緒に酒を飲んで労をねぎらった。
・・・・しかし、これが失敗だった。

「ねえ、私とニーナ、どっちが好きなの?」

「そうよ、ハッキリしなさいよ。当然、私でしょ?」

一緒に酒を飲むのは初めてだったので気付かなかったが二人とも相当な酒乱だ。
それどころか・・・・・

「エバンスさん、私も聞きたいわ。この際、ハッキリさせましょう。」

アリスさんまでも酒乱だった。

「だ、誰か助けてくれ〜〜〜〜〜!!!」


・・・・つづく。

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