第5巻マ

□第128話 実戦修業!
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ん?人の気配がする。
まあよい、私の眠りを妨げなければ問題はない。

カンカンカンカン!!

「にぎゃ〜〜〜〜!!」

メアリーがフライパンとオタマをもって私の耳元で豪快に叩く。

「こ、鼓膜が破裂するところだったぞ。」

「おはようございます、お師匠様。」

メアリーに悪意がないだけに余計にタチが悪い。

「おはよう、メアリー。最高の目覚めだ。ある意味な。」

「それは良かったです。では食卓へ向かいましょう。」

私の皮肉も全く通じない。諦めて食卓へ向かう。

「おはよう、エバンス。さあ、情報を仕入れに行きましょう。」

「まだ起きたばかりなのだが・・・・。もう少しゆっくりしないか?」

私が椅子に座ろうとした時ニーナが私の首ねっこを掴みひきずっていく。

「わ、わかった。行くから離してくれ。お尻が熱い。」

ニーナはものすごいパワーで私を引きずっていた。私のお尻は地面と擦れて摩擦でかなり熱かった。

「おはようございます、エバンスさん。情報はあるにはあるのですけどエバンスさんには物足りないですよ。」

「一応聞かせてください。」

「森丘でイャンクックが目撃されています。どうしますか?」

確かに物足りないな。かといって放っておくわけにもいかない。

「ねえ、メアリーとアシュリーの実戦修業にしたらどう?」

ニーナの提案に私は納得する。イャンクックならば二人だけでも十分だろう。

「わかりました。行きます。」

私はステファニーさんに情報料を支払い契約書にサインをして家に戻る。

「ねえ、あの契約書って何が書いてあるの?」

「万が一、私達が戦死してもアーサーさん達には何の責任もないという契約書だ。」

「あっそう。」

興味が無いのなら聞かないでくれ。

「師匠、今日はどうするのですか?」

「今日の相手はイャンクックだ。私とニーナは基本的に何もしない。メアリーとアシュリーで討伐するのだ。」

「は、はい。わかりました。」

「頑張ろうね、アシュリー。」

アシュリーは緊張しているがメアリーには緊張のカケラもない。

「ねえ、エバンス、本当に大丈夫なの?」

「何がだ?」

「私達は何もしないということよ。」

「もちろん、二人の緊張感を高める為に言っただけだ。危ないと判断したら助ける。」

私は小声でニーナに話す。ニーナもうなずき森丘へ出発する。

森丘に着いてもメアリーには全く緊張感がない。逆にアシュリーはガチガチだ。

「アシュリー、大丈夫だ。自分の力を信じるのだ。」

「は、はい。だ、大丈夫です。ご、ご心配をかけて申し訳ございません。」

「いたわよ、アシュリー。閃光玉をお願い。」

メアリーはアシュリーに閃光玉を頼んで猛然とイャンクックに突撃する。

「メアリー、無茶はするなよ。」

「はい、わかっています。」

メアリーは心配しなくても大丈夫のようだ。

「アシュリー、この前の走りながら弓を引くやつをやってみるのだ。」

「はい。」

私の助言と集中力でアシュリーの緊張が解けはじめる。

「ねえ、エバンス、私も戦いたい。」

ニーナは戦いたくてウズウズしているようだ。根っからのハンターだな。

「仕方がないな。メアリーのフォローを頼む。」

「わかったわ。」

ニーナがイャンクックに向かって突撃する。
しかし・・・・・

「いきます、必殺!1日1回限定、超双剣乱舞。」

メアリーの必殺技が決まりイャンクックは絶命する。

「よし、よくやった。二人とも随分成長したな。」

「はい、ありがとうございます。」

二人は元気よく返事をする。

「さあ、帰るか。」

「あ、あの〜、お師匠様、ニーナさんが怖いです。」

私はメアリーに言われてニーナを見る。確かに怖い・・・・。何とも言えないオーラをだしてブツブツ言っている。私は近づいて聞き耳をたてる。

「ス、ストレスが・・・何でもいいから切り刻みたい・・・・」

ニーナは結局、今回は何もしていない。相当なストレスだったのだろう。

「何か切り刻むものはないかしら?」

私はニーナと目が合ってしまう。

「ま、待て。落ち着くのだ。」

私は必死で何か切り刻めるものを探す。

「ニ、ニーナ。あそこにモスがいるぞ。」

ニーナはモスに猛然と襲い掛かりモスを一刀両断にする。

「モスよ、すまない。私が助かるためには仕方のないことだったのだ。」

モスの犠牲により私は何とか助かり家路に着く。

「ただいま。」

「お帰り、ご苦労様。あら、ニーナの機嫌が悪いわね。どうしたの?」

私はセフィリアに事の成り行きを説明する。

「あっそう。」

興味が無いのなら聞かないでくれ。

「お師匠様、ニーナさんを和ます言葉を掛けてあげてはどうですか?」

「例えば?」

「そうですね・・・・・こういうのはどうですか?」

メアリーは私に耳打ちをする。

「む、無理だ。私には言えない。」

「大丈夫ですよ。和ませる為の冗談なのですから。ニーナさんも一度お師匠様に言っているのですから大丈夫ですよ。」

私はメアリーの言葉を信じてニーナに言う。

「どうだ、ニーナ。一緒にお風呂でも。」

メアリーの言うようにニーナの表情が明るくなる。

「そうね。一緒に入りましょう。ほら。」

しかしニーナは冗談を冗談にとっていない。私の腕を引っ張る。

「ま、待て。冗談に決まって・・・・・」

私のもう一方の腕を誰かが引っ張る。私は恐る恐るそっちの方向を見る。もちろんセフィリアだ。

「このドスケベ!!!」

「ぎゃぴ〜〜〜!!!」


・・・・つづく。

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