第5巻マ
□第124話 準備!
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「お師匠様、おはようございます。」
「おはよう、メアリー。メアリーが起こしに来るということはマリーは帰ってきているのか?」
「はい、昨日の夜に帰ってきたそうです。」
昨日セフィリアとフローラに聞かされた古龍。今までのモンスターとは比べものにならないということは修業は不可欠だ。マリーにも協力してほしい修業があるから帰ってきたと聞いて私はホッとする。
「お師匠様、どうしたのですか?」
「あ、いや、少し考え事をしていただけだ。さあ、朝食にしよう。」
私達は食卓へ向かう。
「おはよう、馬鹿ハンター。」
「おはよう。」
「昨日言い忘れたのだけど修業をしてハンター自身のレベルをあげるのも大事だけど、やっぱり基本は装備品よ。馬鹿ハンターとニーナだけでも今できるだけの武器を作っておいた方が良いわ。」
確かに・・・・。私の武器はバスターソード改だ。よく今まで死ななかったものだ。
「それじゃあ、みんなが持っている素材を集めてみましょう。私はこれだけあるわ。」
ニーナが自分の保管箱を見せる。結構集めているな。
「で、エバンスは?・・・・・ってかなり持っているじゃない。どうして今までバスターソード改なんて使っていたの?」
「い、いや。メアリーとアシュリーの装備のことで頭が一杯で自分の装備など考えたこともなかった。」
「・・・・・・。まあ、そこがエバンスの良い所でもあるんだけど。」
というわけで私達は武器を買いかえることになった。素材とも相談して私は煌剣リオレウス、ニーナはインペリアルソードを作ることにした。
「さて、アシュリーの武器はおいおい考えることにして次は修業ね。」
「それに関しては私に考えがある。先日アリスさんがやった修業を行う。この修業にはアリスさんかマリーが必要不可欠だからマリーの協力が必要なのだが・・・・」
「もちろん、お手伝いしますよ。何をすれば良いのですか?」
「一対一の組み手だ。マリーには全員を相手してほしいのだが頼めるか?」
「任せておいてください。そのかわり組み手となると私、一切手加減ができませんけど良いですか?」
私は少しひるむ。マリーの本気をメアリーとアシュリーが堪えることができるのか?しかし、そんな心配をよそに
「もちろんです。よろしくお願いします。」
アシュリーが答える。メアリーも静かに頷く。
「それじゃあ、決まりね。アリスさんには敵わなかったけどマリーさんには勝ちたいわね。」
ニーナも気合いをいれる。
私達は朝食をとり修業の準備をする。
「それではアップだ。腕立て伏せ300回、腹筋500回、30メートルダッシュ100本だ。始め。」
私は先日、アリスさんが行った修業を忠実に再現する。
もちろんマリーが全く息を乱さずに一番にアップを終える。そして、セフィリア、私、ニーナ、メアリー、アシュリーの順でアップが終了する。
「マリー、それではお願いする。いくぞ。」
まずは私がマリーと組み手をする。マリーはアリスさんと違って静かに構える。全くスキがない。
しばらく睨み合いが続きマリーが動く。
「危ない。」
マリーはセフィリアと同じく動きに全く無駄がない。全てを最短距離で済ませるためパンチも連続で飛んでくる。
「エバンスさん、足元がスキだらけです。」
私はアリスさんに受けた注意をマリーにも受け足を払われて倒れる。そこにマリーのパンチが振り下ろされる。
「ここまでです。」
マリーは寸止めをして私を助け起こす。
「エバンスさん、動き自体は悪くないですけど一点に集中しすぎです。相手全体を見る洞察力を鍛えてください。」
マリーは私の弱点を指摘する。
「あ、ああ。わかった。次、ニーナ。」
ニーナは開始の合図と同時にスピードでマリーの撹乱にはいる。しかしマリーは全く動じない。ニーナの攻撃を静かに全く無駄のない動きでかわす。
「ここよ。」
ニーナがマリーの背後から襲い掛かるがマリーは振り返るなり1,2歩踏み込んでパンチを出す。
「ここまでです。」
私同様、寸止めでニーナは思わず尻餅をつく。そのニーナを助け起こして言う。
「ニーナさんの動きは素晴らしいですけどリズムが一定ですね。それに攻撃パターンも少ないです。」
「次、セフィリア。」
セフィリアの構えを見てマリーは目の色を変える。お互い本気の目だ。
「師匠、全く動かないですけど、どうしたのですか?」
「動かないのではなく動けないのだ。」
先に動くとやられる。お互いのオーラは客観的に見てもよくわかる。
「しょうがないわね。きっかけを作りましょうか・・・・」
ニーナが私に近付き顔を近付ける。
すると一瞬セフィリアの集中力が切れる。マリーは当然見逃さない。マリーから仕掛ける。セフィリアも集中し直し一進一退の攻防を繰り広げる。
「ストップ、ストップだ。」
なんと一時間以上も二人は互角の戦いをしていた。私が止めなければどちらかが倒れるまでやっていただろう。
「次、メアリーとアシュリー。」
さすがのマリーもセフィリアとの一戦で少し息があがっている。
「メアリー、とにかく動き回るのだ。アシュリーはマリーの背後をとれ。」
私が指示を出しマリーも疲労から少し苦戦する。
しかしマリーはアシュリーの攻撃をかわし生け捕りにする。そしてあっという間にメアリーとの間合いをつめてメアリーも生け捕りにする。
「ふぅ、ここまでですね。メアリーさんとアシュリーさんはもう少し息を合わせると良いと思います。お互いがお互いを助け合う動きを考えてください。」
「はい、ありがとうございました。」
二人は息があがったまま返事をする。
「それでは最後の締めだ。アップと同様の基礎体力アップの修業だ。」
最後の修業も終えて私達は帰宅の途につく。
「疲れた〜。今はニーナが風呂に入っているのか。」
私は前回の二の舞にならぬよう、確認をする。
「それでは少し休ませてもらおう。・・・・うわっ!!」
疲れていた私はつまずき倒れそうになる。何とか支えをみつけて踏み止まる。
「ちょっと馬鹿ハンター・・・・・・」
支えというのはセフィリアだった。さらに悪いことに私の手がセフィリアの胸を触っていた。
「い、いや。これは事故だ。ゆ、許してくれるよな?」
「問答無用!!!」
「あぎゃ〜〜〜〜!!」
・・・・つづく。