第5巻マ

□第123話 二人の学者!
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「エバンス、朝よ。起きて。」

「ああ、おはよう。ニーナ。」

「挨拶はいいから早く食卓に来て。」

珍しくニーナが私をせかす。何かあったのか?
私はとにかく食卓へと急ぐ。

「どうしたのだ?」

「村長とフローラさんが研究室にこもったまま出てこないのよ。」

フローラが研究室に篭るのはいつものことだがセフィリアも篭るのは珍しいな。

「それでは中に入って確かめれば良いではないか。」

「あれを見て言ってるの?」

セフィリアの研究室の扉には
【入ったら殺す!!】
の掛札が・・・・。

「は、入れません。」

「お師匠様、おはようございます。」

「おはよう、メアリー。そうだ、朝食を持っていってセフィリアが何をしているか見て来てくれないか?」

「は、はい。わかりました。」

メアリーがノックをして朝食を持ってきたことを伝える。セフィリアは入室を許可する。

「よし。大成功だ。」

すぐにメアリーが戻ってくる。

「どうだった?」

「近寄れませんでした。入ってすぐにそこに置いといてと言われましたので・・・・・。」

私の作戦は失敗に終わる。そこへフローラが研究室から出てくる。

「あ、ハンターさん、おはようございます。」

「おはよう、フローラ。何を調べているのだ?」

「不確かな情報をお話するわけにはいきませんから。すみませんがノーコメントです。」

私は諦めて朝食をとる。

「アーサーさんの所へ行ってくる。」

モヤモヤした気分を吹き飛ばすには狩りだと思った私はアーサーさんの店に情報を仕入れにいく。

「おはようございます。情報ありますか?」

「あるわよ。」

私はステファニーさんの足元を見る。やはりアーサーさんが気絶している。

「あ、あのアーサーさん鼻血を出してますけど大丈夫ですか?」

「死んではいないから大丈夫よ。え〜っと情報よね。砂漠にドスガレオスがいるわ。どうしますか?」

「もちろん行きます。」

「それじゃ、契約書にサインと情報料をおねがいします。」

私は一度家に戻り準備をする。

「ドスガレオスか。楽勝ね。」

「今日は私達はフォローにまわるぞ。メアリーとアシュリーに頑張ってもらう。」

「わかりました。師匠、ニーナさん。フォローをお願いします。」

アシュリーは気合いが入っている。私はアシュリーの心の成長に感動する。

「それじゃあ行きましょうか。」

砂漠に到着するなりすぐにドスガレオスが襲い掛かってくる。

「危ない。」

私がメアリーをニーナがアシュリーを抱えて避ける。

「メアリー、アシュリー。私が音爆弾を投げるからすぐに攻撃ができる態勢をとっておくのだ。ニーナは雑魚の掃除を頼む。」

私が音爆弾を投げたと同時にアシュリーは弓を引きメアリーは突撃する。
私は適当な距離を保ちメアリーとアシュリーの両方のフォローをする。

「エバンスはアシュリーの護衛をして。私はメアリーの護衛をするわ。」

雑魚の掃除を任せていたはずのニーナが戻ってくる。周りを見てみると雑魚は綺麗に掃除されている。

「わかった。」

ニーナにメアリーの護衛を任せて私はアシュリーの護衛に専念する。

「アシュリー、走りながら弓を引いてみるのだ。良い練習台だ。」

「はい。」

アシュリーはドスガレオスの動きを確認しながら死角を探しながら弓を引き放つ。

「よし、よくやった。」

「はい、ありがとうございます。」

その後もアシュリーは死角を探しながら弓を引く。

「メアリー、双剣乱舞はスキだらけだから死角を見つけて双剣乱舞をしなさい。」

「はい。」

ニーナもメアリーに戦闘指導をしている。
実戦でしか解らない感覚を教えるには絶好のモンスターだ。

「砂の中に潜ったらすぐに武器を収納するのだ。」

ドスガレオスが砂に潜ったのを確認するとアシュリーはすぐに武器を収納する。

「よし、次は音爆弾を投げてみるのだ。」

「はい。」

アシュリーが音爆弾を投げるが見当違いの所に投げてしまう。

「私がやります。」

合流したメアリーがそう言って音爆弾を投げる。

「よし、成功だ。アシュリーすぐに弓を出すのだ。」

私の指示より前にアシュリーは弓を取り出してすでに攻撃準備に入っていた。

「メアリー、トドメだ。」

傷だらけのドスガレオスを見て私はメアリーに最後の指示を出す。

「はい。いきます。必殺!1日1回限定、超双剣乱舞。」

メアリーの超双剣乱舞でドスガレオスは絶命する。

「最後のほうは私達が指示を出すまでもなかったな。二人とも、よくやったぞ。」

「はい、ありがとうございます。」

メアリーとアシュリーは嬉しそうに手を取り合って喜ぶ。私とニーナがフォローしていたとはいえ実質二人だけで倒したようなものだ。喜びも一塩だろう。

「それでは帰るか。」

帰り道でも二人は上機嫌だった。

「二人だけでやらせて正解だったわね。大きな自信になったと思うわ。」

「ああ。メアリーはともかくアシュリーに足りないものは自信だからな。」

私の目的はそこにあった。アシュリーに自信をつけさせるために二人だけで討伐させたのだ。結果は大成功のようだ。

「ただいま。」

「お帰り、みんなちょっとリビングに集まってくれる?大事な話があるの。」

セフィリアが真剣な顔で言う。隣にいるフローラも真剣な眼差しだ。
私達はただならぬ空気を感じとってリビングに直行する。

「私もフローラも偶然同じ事を調べていて全く同じ結論に至ったわ。」

一緒に調べたのではなく同じ結論ということは信憑性の高い学説だな。

「近いうちに古龍が復活するわ。」

「古龍?なんだそれは?」

「おバカなあなたにも解りやすく説明すると今までのモンスターとは比べものにならないほどの強さよ。これからしばらくは狩りではなく修業を重点的に行うべきだわ。」

「わかった。二人の統一見解ならば間違いないだろう。ところで古龍とは何なのだ?」

「・・・・・・・・・」

セフィリアが怒りで震えている。どうしたのだ?

「お師匠様、さっきも同じ事を聞いていました・・・・・・・」

その後、私がどうなったのかは言うまでもあるまい。


・・・・つづく。

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