第5巻マ
□第122話 地獄!
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「エバンス、起きなさい。」
「ん?ああニーナか・・・・。おはよう。」
「寝ぼけてるの?ちゃんと起こしてあげようか?」
ニーナはそういって顔を近付けてくる。
「い、いや。もう目が覚めた。」
「ちぇっ!!」
ニーナは悔しそうに食卓へ向かう。
「おはようございます、お師匠様。」
メアリーは朝食作りを手伝っている。今日の朝、アシュリーの母が帰る時一人では心配だということでマリーが付き添っていったらしい。
「おはよう、メアリー。アシュリーの様子はどうだ?」
「はい、昨日よりは元気になりましたけど・・・まだ空元気と言ったところでしょうか・・・」
それはそうだろうな・・父親が亡くなったと知った翌日だ、元気なわけがない。
「おはようございます、師匠。」
「おはよう、アシュリー。今日は無理することはないぞ。休んでいなさい。」
私の眼から見ても空元気は明らかだった。
「いえ、確かにショックは大きいですけど、それ以上にもっと強くなりたいと思う気持ちの方が大きいのです。」
メアリーもだがアシュリーも本当に11歳なのか?と思うほどしっかりしている。
「よく言ったわ、アシュリー。今日は私が特訓をしてあげるわ。」
「どわぁ!!!」
私の背後から突然アリスさんの声がして私は驚く。
「アリスさん、いつの間に?」
「何度もノックしたわよ。今日、突然マリーさんが来てアシュリーのお父さんのことを聞いてアシュリーが気になって飛んできたのよ。」
「そうだったのですか・・・。わざわざありがとうございます。」
「あ、アリスさん。お、お久しぶりだす。覚えていらっしゃいますでございましょうか?」
ニーナ・・・・。噛んでいるうえに言葉がめちゃくちゃだぞ。
「もちろんよ、ニーナさん。」
「こ、光栄でございますです。」
「今日は私が特訓するから覚悟しておいてね。」
「はい。」
メアリーとアシュリーよりも大きな声で返事をするニーナ。
「ところでマリーさんの姿が見えないのだけど・・・・」
「アシュリーのお母さんを送っていきました。一人では心配ですので。」
「そうですか・・・。マリーさんと組み手をしたかったのですが仕方ないですね。」
く、組み手?いやな予感が・・・・・。
私のイヤな予感は100パーセント当たる。
「朝食の準備ができました。お母さんも食べてね。」
私達は朝食を済ませて私達は修業・・・・いや、地獄の特訓の準備をする。
「まずはアップよ。腕立て伏せ300回、腹筋500回、30メートルダッシュ100本よ。」
「マ、マジですか?」
「マジよ。」
アリスさんの目は全く笑っていない。マジだ。
私達は今更ながらアリスさんに頼んだことを後悔する。
「では、始め。」
私達は真剣にアップに取り組む。もちろん最初にアップを終了したのはアリスさん。次にセフィリア。私とニーナも汗だくになりアップを終了する。
「メアリー、アシュリー。もう少しよ、頑張りなさい。」
アシュリーは必死にメアリーについていくが30メートルダッシュの途中で膝をつく。
「アシュリー、あなたの覚悟はそんなものなの?立ちなさい。」
アリスさんの厳しい言葉にアシュリーも答えて立ち上がる。
そしてメアリーから少し遅れてアップを終了させる。
「よく頑張ったわね。少し休みなさい。それではこれから順番に私と組み手をします。まずはエバンスさんから。」
や、やっぱり・・・・。
「あの〜、組み手って何の修業になるのですか?」
「リオレウスだって炎をはくだけじゃないでしょ?接近戦だって多いはずよ。そのための修業よ。もちろん組み手といっても基本は真剣勝負よ。」
アリスさんは既に身構えている。私は半分やけくそで向かっていく。
「もっとしっかり動きをみなさい。足元がスキだらけよ。」
私は容赦ないアリスさんの攻撃に反撃もできないまま終わってしまう。なによりもアリスさんの動きについていけない。流石は神速のアリス。
「次、ニーナさん。」
ニーナの動きも速いがアリスさんには全く歯が立たない。
「次、セフィリアさん。」
今、気付いたのだが私もニーナも息があがっているのにアリスさんは全く息を乱していない。
「バ、バケモノだ。」
しかし、そのアリスさんを相手にセフィリアがほぼ互角の戦いをしている。
「よく、あの動きについていけるわね。村長がハンターになったほうが良いんじゃない?」
全くもって私も同感だ。
しかし時間がたつにつれアリスさんが押し始める。どうやらセフィリアのスタミナ切れが原因のようだ。
「次、メアリーとアシュリー。同時に来なさい。」
メアリーとアシュリーの二人を相手にアリスさんが相手をする。
「ほら、どこを見ているの?こっちよ。」
二人を相手にしても圧倒するアリスさん。本当にバケモノだ。
「メアリーもアシュリーもだいぶ成長したわね。これからも頑張りなさい。」
や、やっと終わった・・・・。
「それじゃあ、最後にアップの時と同じことをやって終わりましょうか。」
「い、今ので終わりじゃないのですか?」
「誰が終わるって言いました?」
メアリーとアシュリーに締めの言葉をかけたのではなかったのか?
「い、いえ。言っていません。」
最後の地獄の特訓を終了させて私は家に戻る。
「つ、疲れた〜!!風呂だ。風呂に入るぞ。」
「あ、お師匠様。今はお姉様が・・・・・」
疲れている私には全く聞こえない。
ガラッ!!
「!!!!!!!」
「!!!!!!!」
「こ、こ、こ、」
「いや、違うのだ。聞いてくれ。」
「この馬鹿ハンター!!!!!!!」
「ぎぁ〜〜〜〜〜!!!!!!」
・・・・つづく。