第4巻マ
□第109話 ニーナとメアリー!
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「お師匠様、おはようございます。起きてください。」
「メアリー、お願いだ。私は昨日、一睡もしていないのだ。もう少し眠らせてくれ。」
私はメアリーに懇願する。メアリーは少し考えて答える。
「ダメです。私がお姉様に怒られてしまいます。早く起きてください。」
私は無理矢理メアリーに起こされる。
「オニ、悪魔。」
私は精一杯の抗議をする。が、はっきり言って幼稚だ。
「はい、はい。わかりましたからちゃんと起きてください。」
メアリーは大人の対応をする。私は諦めて食卓へ向かう。
「おはよう。」
「おはよう、セフィリア。」
「今日は成功報酬をもらって来なさいよ。」
前回、ニーナに報酬の妨害をされた事を根に持っているようだ。
「ああ、わかっている。あとでアーサーさんの所へ行ってくる。」
「でも、どうしてニーナは一人で狩りをするのかしら?馬鹿ハンター達と協力したほうが楽だし早いじゃない。」
「それはそうだが、こればっかりはニーナ本人にしか解らないことだからな。」
「そうね。とにかくニーナのことは馬鹿ハンターに任せるわ。朝食にしましょう。」
私達は朝食をとる。
「お師匠様、私もアーサーさんの所に行きます。」
私が出掛けようとした時、メアリーが声をかけてついてくる。
「あっ!!」
私はアーサーさんの店に向かう途中でニーナと出会う。
「やあ、家は完成したのか?」
「あなたには関係ありません。失礼します。」
「ちょっと待ってください。」
メアリーが珍しく大声で引き止める。
「何か?」
「お師匠様はニーナさんの事を心配して声を掛けているのですから誠意を持ってお答えするのが礼儀と思います。」
メアリー、君は本当に11歳なのか?しっかりしすぎではないか?
「私のことは放っておいてと言ったはずです。失礼します。」
ニーナは一礼して去っていく。
「お師匠様、もうニーナさんのことは放っておきましょう。」
メアリーは怒り心頭でアーサーさんの店へ向かう。
「どうも、エバンスさん、メアリーちゃん。情報ですか?」
「ありますか?」
「もちろん、ありますよ。密林にリオレイアがいます。行きますか?」
「はい、もちろんです。」
「それではステフに代わりますね。」
「では契約書にサインと情報料をお願いします。気をつけて行って来て下さい。」
私達は準備の為、一旦家に戻る。
「お師匠様、早く行きましょう。」
「何を急いでいるのだ?ゆっくり行けば良いではないか。」
「早くしないとまた性悪女に討伐されてしまいますよ。」
性悪女・・・・・ニーナのことか・・・・・。
「メアリー、もう少しニーナと仲良くできないだろうか?」
「ニーナさんが優しくなれば仲良く出来ると思いますけど。今は無理ですね。」
メアリーの決意は固い。とにかく私達は密林へ向かう。
「また、あなたたちなの?別にいいけど邪魔はしないでね。」
「それはこちらのセリフです。」
ニーナとメアリーの小競り合いだ。リオレイアを目の前にしてこれだけ言えればたいしたものだ。
「メアリー、くるぞ。集中しろ。」
「はい。」
「メアリー、こっちよ。早く。」
どさくさに紛れてアシュリーがシビレ罠を仕掛けていた。
「ナイスだ、アシュリー。ニーナ、君もこっちに来るのだ。」
「そんなの必要ないわ。さっきも言ったように邪魔だけはしないでね。」
ニーナの一言でメアリーは意地になりリオレイアへ突撃する。
「危ない、メアリー。」
一直線にリオレイアへ突撃するメアリーにリオレイアが炎をはく。
「メアリー!!!!」
間一髪メアリーを救ったのはニーナだった。
「大丈夫?ケガはない?」
「うん、あ、ありがとう。」
「!!!。だから邪魔だと言ったのよ。早く帰りなさい。」
ニーナはそう言い放ちリオレイアへと向かっていく。
「メアリー、大丈夫か?」
「はい、行きましょう、お師匠様。」
私とメアリーはリオレイアへ突撃する。アシュリーは後方援護をする。
「アシュリー、気をつけろ。」
リオレイアはアシュリー目掛けて突撃する。しかしアシュリーも考えている。最初に仕掛けたシビレ罠へリオレイアを誘導する。
「メアリー、今だ。いくぞ、必殺!1日1回限定適当大剣振り回し。」
「いきます、必殺!1日1回限定、超双剣乱舞。」
「どきなさい。」
ニーナは私達の必殺技が終わるのを待って何かをリオレイアへ投げ付けた。リオレイアは完全に眠ってしまう。
「今回はあなたたちに獲物をあげるわ。それじゃあ。」
そういってニーナは立ち去ろうとする。
「待ってくれ。メアリーを助けてくれた礼を言いたい。」
「別に、目の前で人が死んだら目覚めが悪いから助けただけよ。だから、礼なんていらないわ。」
「このやろう・・・・待て!!!!」
「待ってください、お師匠様。私は気にしていませんから。帰りましょう。」
普段ならメアリーが怒るのだがメアリーが私をなだめる。
「どうしたのだ?何かあったのか?」
「ニーナさん、私を助けた時、優しい目をしていました。さっきの発言もきっと本心ではありません。そう思ったのです。」
メアリーの言葉で私の怒りもおさまる。
しかしニーナはなぜ人との接触を避けようとするのか?
それを他人の私が嗅ぎ回って良いものなのか?
私は様々な疑問を抱き家へと帰る。
・・・・つづく。