第4巻マ

□第97話 アリスとアシュリー!
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「師匠、おはようございます。早く起きなければメアリーがまた何か企んでいますよ。」

私はアシュリーの言葉で目を覚ます。確かにメアリーは私を殴ろうとしていた。

「アシュリー、私の楽しみをとらないでよ。」

「ごめんね、メアリー。さすがに毎日、殴られている師匠を見ていると可哀相になってきて・・」

アシュリーは何かと私を心配してくれる。さすがにフローラに憧れるだけあって、おしとやかな部分がある。

「ありがとう、アシュリー。私は平気だから大丈夫だ。」

私達は食卓へと向かう。

「おはよう、馬鹿ハンター。」

「おはよう、セフィリア。どうしたのだ?少し疲れていないか?」

「うん、ちょっと寝不足なだけよ。」

「それなら無理せずに少し休んではどうだ?」

「ええ、そうさせてもらうわ。」

今日のセフィリアは珍しく素直だ。メアリーの寝室を借りると言ってメアリーの寝室へ向かう。

「セフィリアが寝不足とは珍しいな。何があったのだろうか?」

「恐らく何かの実験だと思います。新しい調合品でも考えているのではないですか?昔からセフィリアは考えがまとまらないと徹夜するクセがありますから。」

研究室から出て来たフローラが言う。

「それでは本当にただの寝不足なのだな?良かった・・・・。」

「ハンターさんのその優しい目と心が私は好きですよ。」

フローラの発言に私は少しドキッとした。

「エバンスさん、モテモテですね?」

背後からアリスさんの声がして私は驚く。

「ア、アリスさん、いつの間に来ていたのですか?」

「何度もノックしましたよ。エバンスさんが気付かないのでマリーさんが開けてくれたのですよ。」

「すみません、ところで今日は?」

「もちろんオフだからメアリーに会いに来ました。」

「アリスさん。」

アシュリーがアリスさんに気付き声をかける。

「アシュリー、久しぶりね。元気にしてた?」

「はい、アリスさんこそ元気そうですね。」

アリスさんにアシュリー、メアリーも加わり楽しく会話をしている。

「ところでエバンスさん、今日の予定はどうなっているのですか?」

「それがまだ決めていないのです。」

「師匠、それでしたら私、アリスさんに双剣を教わりたいです。」

アシュリーはまだ双剣にこだわっているようだ。しかし、アリスさんが手伝ってくれればメアリーの双剣修業にもなる。

「アリスさん、すみませんがメアリーとアシュリーの双剣修業に付き合っていただけませんか?」

「もちろん。ただし実戦でね。」

私達は朝食を済ませて密林へ向かう。

「やはりアプトノスを相手に修業ですか?」

「アプトノスでは簡単すぎるわ。さっき来る途中に上空を飛んでいるリオレイアを見掛けたからリオレイアで修業よ。」

いきなりリオレイアですか・・・・・。頼む相手を間違えたかな?

「それじゃあ、行くわよ、メアリー、アシュリー。」

「うん。」

メアリーは元気よく返事するがアシュリーは私と同じく頼む相手を間違えたという表情をしている。

「それじゃあ、私が見本を見せるから。見ていなさい。」

アリスさんは言うなりリオレイア目掛けて一直線に走りだす。リオレイアはアリスさんに気付き炎をはくがアリスさんは至近距離からの炎を簡単にかわし双剣乱舞を叩き込む。

「メチャクチャなスピードだ。リオレイアがアリスさんの動きに全くついていけない。メアリー、アシュリー、やっぱり頼む相手を間違えたようだ。二人にはあのスピードは無理だろう。」

「さあ、やってみて。」

「む、無理ですよ、アリスさん。アリスさんと二人ではスピードが違いすぎます。」

「問題はスピードではありません。モンスターにはそれぞれクセがあります。それを見極めるには経験が一番ですから。私もフォローするので大丈夫ですよ。」

それを聞いてメアリーとアシュリーはリオレイアに向かっていく。

「メアリー、炎よ、気をつけて。アシュリーはそのまま双剣乱舞よ。」

アリスさんの的確な指示で二人の動きには全く無駄がない。メアリーは実戦経験もそれなりにあるので理解できるがアシュリーの動きは素人とは思えないほど良い。

「仕上げよ、メアリー、アシュリー。」

三人同時に双剣乱舞を叩き込む。当然のようにリオレイアは絶命する。

「さすがアリスさんです。双剣のコツが掴めたような気がします。」

「でもね、アシュリー、私はエバンスさんの言うようにアシュリーには弓が合っていると思うわ。だから状況に応じて弓と双剣を使い分けたらいいんじゃない?」

「はい、アリスさん。ありがとうございました。」

よくよく考えると今日の私は何もしていない。
まぁ、いいか。久しぶりの休養と思おう。

「さて、帰るか。」

「お師匠様、何もしていないではないですか。」

「そんなことはないぞ。ちゃんと二人が危なくなったら助けに行く準備をしていたぞ。」

私は適当にごまかし、家へと帰る。

「おかえり、アリスさんもお疲れ様です。」

セフィリアはいつも通りに私達を出迎える。

「もう大丈夫なのか?」

「ええ、お蔭様ですっかり元気になったわ。」

素直なセフィリア・・・可愛いな。

「ハンターさん、本気で心配していたのよ。」

「そ、そうなの?ゴメンね、心配かけて・・・」

「い、いや。元気になって本当によかった。」

私とセフィリアは赤面しながら会話する。

「でもエバンスさんって本当にモテるわね。フローラさんに好きって言われてまんざらでもない表情だったし。」

「へぇ、そうなんだ。それは良かったわね。」

私はセフィリアのダイナマイトパンチをまともに喰らい気絶する。

「ア、アリスさん、ヒドイです・・・・・・」

私は薄れていく意識の中、アリスさんのいたずらっぽく微笑む笑顔が強く印象に残った。


・・・・つづく。

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