第4巻マ

□第94話 プレゼント!
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「ねえ、メアリー、私もやるの?出来ないよ。」

「大丈夫よ、お師匠様は寝てるんだから絶対に当たるわよ。」

「そ、そういう問題じゃなくて・・・・、師匠にパンチをするなんて聞いたことないわよ。」

「それじゃあ、アシュリーはベッドの上で暴れるだけでいいよ。その後で私がパンチを打つから。」

「わかった。
師匠、起きてください、朝ですよ。」

私は驚いて目を覚ます。目の前にはメアリーの拳が迫ってきている。

「どっひゃ〜〜〜、危な〜〜〜い。」

私は間一髪、メアリーのパンチをかわす。

「ちっ・・、おはようございます、お師匠様。」

おはようございますの前の舌打ちは余計だ。本当にミニセフィリアになってきたなぁ。

「おはよう、メアリー、アシュリー。」

私はさっさと食卓へ向かう。

「ハンターさん、おはようございます。」

「おはよう、フローラ。セフィリアはどうしたのだ?」

「何かピーターさんに用事があると言って出ていきましたけど。」

少し気になるな。ちょっと行ってみるか。

「私も少し出掛けてくる。朝食までには戻る。」

「はい、いってらっしゃい。」

フローラは意味深に笑い私を送り出す。

「解ったわ、ありがとう。それじゃあ。」

セフィリアはピーターさんと話が終わり帰る所だったようだ。

「あら、馬鹿ハンター、どうしたの?」

「セフィリアこそどうしたのだ?」

「アシュリーの防具を作って貰おうと思ってピーターさんに頼みにきたのよ。彼、武器職人だから防具はどうなのかな?と思って。」

「それで?」

「アルバートさんと協力して作ってくれるそうよ。それで馬鹿ハンターが持っている素材を教えて欲しいって。」

私はピーターさんの元へ向かう。

「え〜っと、エバンスさんの持っている素材だとイャンクックの防具が一式作れますね。作りますか?」

アシュリーの為だ。このくらいの出費はいいだろう。

「はい、よろしくお願いします。」

私はピーターさんに防具作製の依頼をする。

「それでは夕方に取りに来てください。」

「これでアシュリーも勇気を持ってくれればいいのだけど・・・・・」

「セフィリアも優しい所があるではないか。」

「私は元々優しいわよ。あっ、それと完成するまでアシュリーには内緒よ。驚かせましょう。」

「プレゼントにサプライズはつきものだからな。」

私達は家に戻り朝食をとる。

「お師匠様とお姉様、どこに行っていたのですか?」

「い、いや、別に・・・・・・・・」

私は答えに詰まる、内緒にすることがこんなに難しいとは・・・・・。

「お二人はデートしていたのですよ、メアリーさん。」

そんなフォローは要らん!!

「そうだったのですか。楽しかったですか?」

納得するな!!!

「ええ、楽しかったわよ。」

答えるな!!

「師匠、今日はどうするのですか?」

「そうだな、密林でアシュリーの双剣修業でもするか。」

「はい、師匠。」

双剣修業と聞くとアシュリーは元気になるな。
私達は早速密林へ向かう。

「アシュリー、今度はブルファンゴだ。突進をしっかりかわして止まった所を双剣乱舞だ。」

「はい。」

アシュリーは避けるのに精一杯で攻撃に移れない。

「よし、メアリーに交代だ。よく見ておくのだぞ。」

メアリーは攻守交代のタイミングが抜群に上手い。ブルファンゴくらいでは苦戦のしようもない。

「アシュリー、攻守交代のコツは勇気よ。少しでも躊躇(ちゅうちょ)をすると逆に危ないから。」

メアリーがアシュリーに指導する。

「うん、それはわかるけど・・・・・。」

やはりアシュリーには勇気が不足しているようだ。慎重派のアシュリーにはやはり弓が合っているのではないか?

「実戦を積んで自信を深めることによって勇気も出てくる。これからだぞ、アシュリー。」

「はい、ありがとうございます、師匠。」

「今日の修業はこれまで。さあ、帰るぞ。」

私達は村へ戻る。

「私はピーターさんに用事があるから先に帰っているのだ。」

「はい、お師匠様。」

メアリーとアシュリーを先に帰し私はピーターさんの店に防具を取りに行く。

「ピーターさん、完成していますか?」

「ええ、完成していますよ。これです。」

私はピーターさんにお金を支払い家へ帰る。

「アシュリー、私からのプレゼントだ。」

「え?あ、ありがとうございます。嬉しいです。私、明日からより一層がんばります。」

こんなに喜んでくれるとは・・・・、プレゼントして良かった。

「ん?どうした?メアリー?」

「お師匠様、私のは?」

明らかにメアリーはスネている。私は助け舟を求める目でセフィリアを見る。

「私は知らないわよ。」

う、裏切り者〜〜〜!!

「ねぇ〜、お師匠様〜〜〜〜〜。」

次に買ってあげる約束をしてメアリーの機嫌が直ったのは3時間後のことだった。


・・・・つづく。

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