マ第10巻マ

□第278話 血統、マリーの怒り!
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バキッ!!

「おごぉっ!!」

毎日説明するのも面倒になってきたセフィリアの早朝不意打ちダイナマイトパンチだ。

「今日はお姉様ではなく私です。」

訂正。メアリーの早朝不意打ちプチダイナマイトパンチだ。

「セフィリアはどうしたのだ?」

「今、事情聴取をしています。」

「事情聴取?」

「はい。実は今日来られた村民の中に長い金髪の女性がいたので・・・」

「長い金髪の女性?それがどうしたのだ?」

「おバカなお師匠様にも解りやすく説明すると二代目謎のハンター候補を事情聴取しているのです。」

今サラっと凄いことを言わなかったか?
師匠に向かって【おバカ】とは・・・・

「それじゃあ、エバンスはメアリーの頭脳に勝てるの?」

ニーナが部屋に入るなり私に尋ねる。
その答えは【ノー】だ。
メアリーの頭脳には敵わない。

「とにかく村長が呼んでるわよ。早くリビングに来なさい。」

私は急いで着替えてリビングへ向かう。

バキッ!!

「おごぉっ!!」

「遅い!!」

いや、かなり急いで来たのだが・・・
ただ単に殴りたかっただけでは・・・・

「何か言った?」

「いえ、何も。」

もちろんセフィリアに逆らえるはずもない私は大人しくする。

「馬鹿ハンター、メアリーから聞いたでしょ。この人がそうよ。」

私はセフィリアが紹介した女性を見る。
確かにセフィリアと同じくらい綺麗な長い金髪だ。

「私は隣町に住んでいる【シリア】です。」

「隣町?ではどうして今日はここに?」

隣町と言ってもポッケ村は辺境の地だ。隣町までは20km以上離れている。

「実は私の町のハンター達が盗賊まがいの行動を取るようになって私達一般人では手に負えないのです。」

「それはお困りでしょう。私達が手伝います。」

私はハンターとしての誇りを持たない奴は許せない。

「だったら貴女が退治してはどうですか?」

セフィリアがとんでもないことをシリアさんに言う。

「先程も言いましたように一般人では手に負えないのです。」

「でも貴女はハンターでしょ?」

セフィリアはシリアさんが謎のハンターだと思っているようだ。

「は?私がハンターですか?違いますよ。何を証拠に?」

セフィリアが謎のハンターの存在と特徴をシリアさんに話す。

「それならば村長さんも候補者になりますね。」

シリアさんも言い返す。

「残念ながら謎のハンターは妻のような貧乳では・・」

「やかましい!!」

バキッ!!

「おごぉっ!!」

私はセフィリアのダイナマイトパンチを喰らい気絶する。

「ちょっと失礼します。」

メアリーがシリアさんの胸に触れる。

「ちょ、ちょっと何を・・・」

「どうやらシリアさんは違うようです。謎のハンターより胸が大きいです。」

実際に謎のハンターの胸に触れたことがあるメアリーが断言する。
それにしても判断基準が胸って・・・・

「そりゃ〜、私は胸の大きさは自慢できる・・・」

「朝食の準備ができましたよ。」

マリーが私達を呼びにくる。

「ま、負けた・・・・」

シリアさんは何故かヘコんでいる。

「まだ若い小娘に胸で負けるなんて・・・・」

「あの、シリアさんよりマリーお姉さんの方が年上だと思いますけど・・・」

シリアさんは23歳でマリーより年下だった。

「とにかく早く朝食を食べてくださいね。」

私は気絶から無理矢理起こされてダイニングへ向かう。

「それで結局助けてくれるのですか?」

シリアさんは援軍の要請に来たのだ。すっかり忘れてた。

「それは構わないけどハンターの雇い賃は高いわよ。」

さすがセフィリア。
こんな時に商売とは・・・

「もちろん解っています。これでどうかしら?」

シリアさんがお金を出す。

「足りないけどいいわ。困っている人から大金は貰えないわね。」

確かに格安の仕事だ。
しかしセフィリアが言うように困っている人を放ってはおけない。

「それならタダで引き受けてあげなさいよ。」

優しいフローラがセフィリアに提案する。

「いえ、流石にタダというわけにはいきません。」

シリアさんはタダという提案を却下する。

「それでしたら私が半額で引き受けます。私はハンターではありませんから妥当な値段ですよ。」

マリーが更に提案する。

「え?貴女が?大丈夫ですか?」

マリーの実力を知らないシリアさんが躊躇する。

「はい。お任せください。失敗した時は全額お返しします。」

「全額返金・・・解りました。貴女にお願いします。」

商談成立だ。
私達は朝食を済ませ隣町へ向かう。

「どうして私とメアリーも一緒なのだ?」

仕事を引き受けたのはマリーだがセフィリアの命令で私とメアリーがマリー達に付き添っている。

「女性だけで長い道のりは危険だからです。私はお師匠様の保護者ということらしいです。」

なぜ弟子が保護者なのだ?

「着きました。ここです。」

町に着くなりハンターが一般人を脅している場面を目にする。

「おいおい、この町を守っているのは俺達なんだ。早く上納金を払え。」

確かに酷い状況だ。
ハンターの風上にもおけん奴らだ。

「ちょっと、あなた達。いい加減にしてください。」

見かねたマリーがハンターに迫る。

「何だ?ハンター様に文句があるのか?」

「あなた達にハンターを名乗る資格はありません。」

マリーが【食】以外のことで怒っている。
名もなきハンターよ・・・・ご愁傷様。

バキッ!!

「ぐぎゃ〜〜〜!!」

私を殴るより遥かに速いパンチでハンターの一人を殴る。

「この野郎!!」

仲間をやられたハンターがマリーに襲い掛かる。

「野郎ではありません。女です。」

ハッキリ言ってそこをツッコミ入れている場合ではない。

「二度と暴力を振るえないようにしてあげます。」

マリーはハンターのパンチを避けるとそのまま腕を取って【一本背負い】で投げる。

「腕の一本くらいは覚悟してください。」

マリーは投げ飛ばしたハンターの腕に肘を落とす。

「あんぎゃ〜〜〜!!」

恐らく腕の骨が砕けたな。

「まだです。」

今度は【腕ひしぎ逆十字固め】だ。

ベキッ!!

完全に折れた音だ。

「もういい、マリー。やり過ぎだ。」

怒りで格闘家の血統が表に出てしまったマリーをなだめる。

「おい、起きろ。」

私は最初にマリーに剛腕パンチを喰らって気絶したハンターを起こす。

「あんたの仲間はハンター廃業だ。あんたも廃業したくなければこんなことはもうやめろ。いいな?」

「は、はい。」

ハンターは仲間の姿を見てマリーに怯えている。
これでもう大丈夫だろう。

「あ、あの。ありがとうございました。」

シリアさんが礼を言う。

「すみません。そちらの大事なハンターを・・・
やり過ぎました。」

既に我に返っているマリーが頭を下げる。

「いえ。これでハンターが盗賊化することはなくなると思いますので。それに町のみんなも平和になって喜んでくれると思います。」

「そう言っていただけると助かります。」

マリーはホッとする。

「それでお願いがあるのですけど・・・・」

シリアさんがマリーにお願いを言う。

「私を弟子にしてください。」

「え〜〜〜〜〜?」

マリーが驚きの声をあげる。

「む、無理です。」

「マリーお姉さん。弟子が二人から三人になってもそんなに変わりませんよ。」

マリーには既にアレックスとエレナさんという弟子がいるのだ。

「メアリーさん、他人事だと思って・・・・」

「お願いします。町を守る為に強くなりたいのです。」

シリアさんの思いはよく解る。しかし、これはマリーとシリアさんの問題だ。私が口を挟むべきではない。

「でもシリアさんはどうやってポッケ村まで通うのですか?」

そう、ここからポッケ村までは20kmも離れているのだ。

「簡単です。私もポッケ村に住みます。」

「なに〜〜〜〜!?」

今度は私が大声で驚く。

「と、とにかくこの件はポッケ村に戻って話しましょう。お姉様にも許可をいただかないと。」

メアリーがとりあえずこの場をおさめて村へ戻る。

「お帰り。あら?どうしてシリアさんが?」

メアリーが事の顛末をセフィリアに伝える。

「で、マリーはどうするの?」

「セフィリアさんが居住を認めるなら私は構いませんけど。」

「それじゃあ、決まりね。」

こうしてマリーへの押しかけ弟子が三人になった。・・・私より多くの弟子を抱えるようになったな。

「そうだ。セフィリアもマリーに弟子入りしたらどうだ?」

「どうしてよ?」

「巨乳になれるかもしれないぞ。」

「なれるか!!」

バキッ!!

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」

「エバンスこそメアリーに弟子入りして頭を良くしたほうがいいんじゃない?」

「それでお師匠様のおバカが治るなら苦労はしませんよ・・・・」


・・・・つづく。

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