マ第10巻マ

□第271話 新婚対決!
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バキッ!!

「おごぉっ!!」

なぜ私はいつも激痛を感じながら朝を迎えなければいけないのだ?

「いやなら自分で起きればいいじゃない。」

「朝6時に自分で起きれるなら苦労はしないぞ。」

「私は5時に起きてるわよ。」

というか村民もよく5時に妊婦をたたき起こせるものだな・・・

「別に自分から起きてるから苦にならないわよ。」

それが凄いところだ。
私は起き上がりダイニングへ向かう。

「おはよう。」

「おはよう、ニーナ。」

というか新婚なんだから家で朝食をとればいいのに・・・・

「私が料理できるなら初めからそうしてるわよ。」

確かに正論だが威張って言うことではない。

「ならばピーターさんに作って・・・・」

「私も料理なんて出来ませんよ。」

「どわっ!!ピーターさん、いつの間に?」

「ずっと居ましたけど・・・・」

ニーナの隣にいるのに気付かなかった・・・・

「ではピーターさんは昨日まで食事はどうしていたのですか?」

「アルバートさんの家でいただいていました。」

「今日はどうして?」

「実は・・・・」

イヤな予感が・・・

「お師匠様のイヤな予感は何が起ころうとも必ず当たります。」

だろうな・・・・

「結婚したので今日からは嫁が食事を作りますのでと断ったのです。」

「それならば事情を説明して・・・・」

バキッ!!

「おごぉっ!!」

私は何故か解らないままニーナのフルスイングパンチを喰らう。

「料理が出来ない嫁なんて恥ずかしいでしょ?」

「心配するな。セフィリアも出来ないぞ。」

バキッ!!

「おごぉっ!!」

「私は出来るわよ。以前も作ったじゃない。」

そうだっけ?

「では、なぜ作らないのだ?」

「マリーとマシューが作ったほうが美味しいからよ。」

なるほど。

「ただ単にお姉様は面倒だからじゃないですか?」

なるほど。

「メアリーちゃん、何か言った?」

「い、いえ。何でもないです。」

セフィリアの凄まじいオーラにメアリーは怯えている。

「料理が全く出来ないニーナと一緒にしてほしくないわよ。」

カチンッ!!

「わ、私だって本気になれば村長より美味しいものを作れるわよ。」

「へえ〜、それなら勝負しましょう。」

「の、望むところよ。」

とは言うもののニーナの顔は引きつっている。

「勝負の前にすることがあるのではないですか?」

マリーの言葉に全員青ざめて席に着き朝食をいただく。

「それじゃあ、審判はマリーとマシューにお願いしましょう。」

「1対1になったらどうするの?」

「まあ、私が2対0で勝つのは解ってるけど万が一があるからね。」

セフィリアがニーナを挑発する。

「それなら私が審判をするわ。」

「アリスさん。お久しぶりです。」

「アリスさんって料理できるの?」

「お母さんの料理はプロ級ですよ。」

そういえば一度ご馳走になったな。

「ああ、確かに美味しかったぞ。」

「それじゃあ、アリスさんにお願いするわ。」

こうして審判は決まった。後は食材だな。

「食材はアプトノスの生肉とポポノタンでいくわよ。」

アリスさんが食材を決める。

「それからバランスを考えてサラダも作ってもらうわ。マリーさん、悪いけどエバンスさん達が肉を調達している間に野菜の買い物をお願いできるかしら?」

「はい、解りました。」

ということで私達は密林に肉の調達へ向かう。

「お師匠様、リオレイアがいます。」

私達の視界の先にリオレイアがいる。

「一応装備を調えていて良かった。よし、討伐するぞ。」

「はい。」

ちなみにニーナは包丁も持ったことがないのでマシューに習うため狩猟に参加していない。

「アシュリー、シビレ罠だ。メアリーは閃光玉を頼む。」

「はい。」

メアリーの閃光玉を合図に私はリオレイアの顔面に大剣を叩き込む。

「メアリー、今日はニーナがいないのだ。閃光玉を投げたら攻撃に参加しろ。」

「は、はい。すみません。」

メアリーは足元に入り双剣乱舞を叩き込む。

「師匠、シビレ罠セットしました。」

「よし、メアリー。シビレ罠に向かうぞ。」

私とメアリーはシビレ罠に走る。
リオレイアは閃光から復活して炎を吐く。

「危ない。」

私はメアリーを抱き抱えダイブして炎をかわす。

「ありがと・・・」

「礼は討伐してからにするんだ。」

「は、はい。」

リオレイアはシビレ罠の後ろに立っている私達に突撃してくる。

「よし、掛かったぞ。」

「いきます、双剣乱舞」

「貫通弓の舞」

「どうりゃ〜〜〜!!」

私の一撃でリオレイアの尻尾が切れる。

「メアリー、閃光・・」

私が言うよりも早くメアリーがリオレイアに閃光玉を投げる。

「お師匠様、いきますよ。」

「あ、ああ。」

メアリーは体を回転させて尻尾を振り回しているリオレイアのタイミングを上手く利用して足元に入りこむ。

「双剣乱舞。」

メアリーの双剣乱舞が終わらないうちに閃光玉の効果が切れてリオレイアは1、2歩後ろへ下がる。

「メアリー、サマーソルトだ。よけろ。」

「ダメです。乱舞が止まりません。」

「くそ〜〜〜〜!!」

私は助けに走るがとても間に合いそうにない。

「あれ?生きてる。」

メアリーはアリスさんに抱えられていた。

「あまりにも遅いから心配で見に来たら・・・」

とにかくアリスさんのおかげで助かった。

「さっさと片付けるわよ。」

アリスさんはリオレイアの炎をかわしながらリオレイアへ迫る。

「遅い。双剣乱舞。」

リオレイアはアリスさんの動きに全くついていけない。

「これで終わりよ。メアリーも手伝いなさい。」

「はい。」

「親子ダブル超双剣乱舞」

「とどめだ。渾身大剣振り下ろし〜〜〜!!」

ズド〜〜〜〜ン!!

リオレイアはバタリと倒れ息絶える。

「さて、食材を調達して帰るわよ。」

あ、そうだった。目的を完全に忘れていた。

私達は大量に肉を調達して家に戻る。

「それじゃあ、勝負はサラダも含めて全3品。生肉とポポノタンは必ず使用すること。」

「解ったわ。」

「それからニーナさんにはハンデとして私がアドバイスします。」

「ちょっと待ってよ。反則だわ。」

確かにプロ級のアリスさんが助言するのは反則だろう。

「大丈夫よ。私が助言するのは調味料のことだけよ。しかも分量に関しては何も言わないわ。間違えた調味料を使って死人が出るのも困るでしょ?」

た、たしかに・・・・

「解った。それだけなら認めるわ。」

「それじゃあ、始めるわよ。制限時間は45分。」

二人が包丁を構える。

「それでは始め。」

まずは二人とも生肉を適当な大きさに切り下味を付ける。

「やっぱり包丁さばきはお姉様が上ですね。」

今日初めて包丁を握ったニーナでは勝てないだろう。

「何を見てるの?」

「いや、二人が料理をしている姿は非常にレアだから・・・」

「気が散るんだけど・・・・」

セフィリアとニーナが私達を睨む。

「ここは大人しく退散しましょう。」

「そ、そうだな。」

私達はリビングに移動して時間まで待つことにした。

「師匠はどっちが勝つと思いますか?」

「う〜ん、やはり経験の差でセフィリアだろう。」

「でも、ニーナさんにはお母さんがいますよ。」

「それでも料理初挑戦のニーナには厳しいだろう。」

「あ、エバンスさん。それは自分の嫁の方が優れているということですか?」

ピーターさんが絡んでくる。

「い、いえ。私は客観的に言っただけですよ。」

「そうは聞こえませんけど・・・」

「だったら二人で賭けをしたらどうですか?」

またメアリーがとんでもない提案をする。

「いいでしょう。自分の嫁が負けたほうが罰ゲームを実行しましょう。」

「それでは決まりですね。」

勝手に決めるな〜〜〜!!

「あ、そろそろ時間ですね。」

私達は罰ゲームの内容も決めないままダイニングへ向かう。

「まずはセフィリアさんの料理から。」

「前菜はトマトとパスタのサラダよ。」

たくさんの野菜が色とりどりに入ったサラダだ。

「次はタンシチューに時間が余ったからパンも焼いたからパンにつけて召し上がれ。」

パンも作れるのか・・・意外だ・・・

「最後はメインのステーキよ。柚子胡椒、ドミグラスソースの好きなほうでどうぞ。」

セフィリアの手料理・・・私が食べたいぞ。

「次、ニーナさん。」

今度はニーナの料理だ。

「まずはポテトサラダよ。」

ニーナのポテトサラダはキュウリや人参が入っていて美味しそうだ。

「次はネギ塩タンよ。」

ネギを細かく切って味付けしたものをタンの上に乗せている。

「最後はアプトノスの肉のタタキよ。特製ポン酢でどうぞ。」

「このポン酢は手作りなのか?」

「そうよ。」

初めての料理でポン酢を作るとは・・・・

「それじゃあ、結果発表よ。」

マリー、マシュー、アリスさんがそれぞれ【セフィリア】【ニーナ】と書かれたカードを持っている。それを同時にどちらか勝者のカードを挙げるのだ。

「それじゃあ、せ〜のでいくわよ。」

マリーとマシューが頷く。

「せ〜の!!」

セフィリア 2票
ニーナ   1票

アリスさんとマシューがセフィリアに、マリーがニーナに投票したようだ。

「アドバイスしたのにニーナに投票しなかったのですね?」

私はアリスさんに尋ねる。

「私は不正は嫌いなの。ちゃんと味で評価した結果よ。」

「私はニーナさんの手作りポン酢を評価しました。」

「俺はセフィリアさんのタンシチューが美味しかったニャ。」

「ということでセフィリアさんの勝ちね。」

ってことは・・・・

「ピーターさん、罰ゲームですよ。」

「な、何をすれば?」

「そうですね・・・・」

メアリーがピーターさんに耳打ちする。

「そんなことでいいのですか?」

ピーターさんはそう言ってニーナを抱きしめる。

「よく頑張った。」

メアリーが提案した罰ゲームは抱きしめて慰めるということだった。
何にしてもオチは免れたぞ。

「人前で何してるのよ!!」

バキッ!!

「ぎえ〜〜〜〜!!」

よし、これで今回は終わ・・・・え?

ドカッ!!

ニーナに殴られて吹きとんだピーターさんは私にぶつかる。

ガシッ!!

ピーターさんにぶつかり吹きとんだ私は何かにしがみつき何とか踏み留まる。

「へえ〜、馬鹿ハンターも殴られたい訳ね。」

私がしがみついたのはセフィリアだった。

「ちょっとタイム・・・・これは・・・」

「問答無用!!」

バキッ!!

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」

「結局、お師匠様はオチ担当なのですね・・・」


・・・・つづく。

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