マ第9巻マ
□第245話 サプライズ!
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ムニュ!!
何だ?これは?
「このドスケベ!!」
バキッ!!
「おごぉっ!!」
手に残った感触の正体はセフィリアの胸だ。
何度も言うが私が触りにいったのではなく寝相の悪いセフィリアが私に近付いてきて手の上に胸を乗せてきただけだ。
「まったく・・・・油断もスキもあったもんじゃないわ。」
だったらベッドを作ればよいではないか・・・。
実は昨日・・・
「ベッドが狭いのならもう一つ作ろうか?」
「え?べ、別にいいわよ。」
「なぜだ?」
というより私としては毎日殴られるくらいならもう一つ作ったほうが良いと思うのだが・・・
「えっと・・・・そう、この部屋をこれ以上狭くしてどうするのよ?」
「ベッド一つくらいのスペースなら全然大丈夫ではないか。」
「と、とにかく私は別にいらないから・・・」
「そ、そうか。」
これ以上言うと殴られそうな気がするのでやめておこう。
・・・というやりとりがあった。
「ほら、馬鹿ハンター、ダイニングに行くわよ。」
私は起き上がりダイニングへ向かう。
「おはようございます、お師匠様。どうしたのですか?」
「おはよう、メアリー。実は・・・・」
私はメアリーにセフィリアの寝相の悪さと昨日のベッドの件について話す。
「お師匠様って本当に鈍感ですね。」
「どういうことだ?」
「お姉様はお師匠様と一緒のベッドで眠りた・・・・」
メアリーの顔がみるみる青ざめていく。
どうしたのだ?
「メアリーちゃん、私の研究室で少しお話をしましょうか?」
セフィリアが私の背後からメアリーに話し掛ける。
「い、いえ。私はマリーお姉さんのお手伝いがありますので・・・・」
セフィリアは厨房へ向かおうとするメアリーの首根っこを掴み研究室へと連れていく。
「きゃ〜〜〜〜、ごめんなさ〜〜い。」
研究室から絶叫が聞こえ半泣きのメアリーが研究室から出てくる。
「何かセフィリアの気に障ることを言ったのか?」
「まだ解ってないのですか?私、殴られ損ですか?」
????
「馬鹿ハンターがおバカで良かった・・・」
セフィリアが小声で呟く。
「何か言ったか?」
「べ、別に。」
「朝食の準備ができましたよ。」
私達は席に座り朝食をいただく。
「で、今日はどうするの?」
「そうだな、最近は引っ越しや運動会などイベントも多かったことだしオフにするか?」
「それならハンターさん、買い物に付き合ってもらっていいですか?」
「買い物?それならば女同士のほうが良いのでは・・・」
「すみません、お師匠様。私はお母さんと用事があるので無理です。」
「そうなのか?それならアシュリーは?」
「わ、私もメアリーと一緒にいきますので・・・・」
マリーとニーナも同様に用事だと言ってフローラには付き合えないと言う。
「それならば仕方ないな。解った、付き合おう。」
朝食を済ませ私とフローラは外出する。
「みんなはまだ出掛けないのか?」
「は、はい。私達はゆっくりで大丈夫ですから。」
何か返事がぎこちないような・・・・まあ、いいか。
「それでは、いきましょう。」
私とフローラは出掛ける。
「村の外に出るのか?」
「ええ、アリスさんの街に行くのですよ。」
「だったらメアリー達も一緒に誘えば良かったではないか。」
「あ、そういえばそうですね。でも、もう遅いですね。」
確かに。もう村の外に出たし。
しかし、フローラらしくもないミスだな。
「さて、着いたぞ。どこに行くのだ?」
「まずはハンターさんの服です。」
「え?買ってくれるのか?」
私はフローラの意外な言葉に驚く。
「tomoから貰った結婚祝いで買うのです。」
そういえばあの結婚祝い、いくら入っていたのだろう?
それに何故フローラがそのお金を持っているのだ?
「すみません、予約していたフローラです。」
予約?もう既に私の服は決まっているのか?
「はい、ご用意できています。早速着替えてください。」
私はドレッシングルームに押し込まれる。
「早く着替えて下さい。」
言われるがまま私は着替えはじめる。
「フローラ、何だ?この全身真っ白な服は?」
「うん、いい感じですね。ハンターさんはこれで決まりですね。」
「それじゃあ、元の服に着替えるぞ。」
「いえ、そのままでいてください。」
「いや、折角のプレゼントだから勿体なくて・・・・」
「いいのです、今日はその格好でいてください。」
よくは解らないが折角のプレゼントだ。言われたように着替えずにいよう。
「お兄さん。」
「アレックス、どうしたのだ?」
「メアリーとアシュリーが服選びに時間が掛かって・・・・」
男として、その気持ちよく解るぞ。
「それでは、ハンターさんはアレックスさんとその辺りを見ててください。私も服選びをしてきます。」
「ああ、解った。」
女の服選びに付き合うならアレックスと買い物にいったほうがいい。
「お兄さん、僕ってハンターに向いていますか?」
「急にどうしたのだ?」
「いえ、いつまで経っても成長していないなと思いまして・・・・」
アレックス・・・・悩んでいるようだな。
「防御能力を見る限り才能はあると思うぞ。あとはマリーと自分を信じるのだ。」
「はい。ありがとうございます。」
アシュリーと同じでアレックスに足りないものは自分を信じることだな。
「そろそろかな?」
「ん?どうしたのだ?」
「あ、いえ、お兄さん、教会でお祈りをしたいので一緒に来てもらってもいいですか?」
「それは構わないがアレックスってクリスチャンだったのか?」
「え、ええ。そうです。」
私はアレックスに付き合って教会へ向かう。
「お兄さんはここで立っていてください。」
???
なぜ、神父さんの前で立たされているのだ?
「それでは新婦の入場です。」
私は驚いて後ろを振り返る。
教会の席にはいつの間にかニーナやみんなとアリスさんやアイリスさん。アーサーさん夫妻やシセルさんまで座っている。
「あ・・・・・」
バージンロードを父親とともに歩くセフィリアが・・・・
「ど、どういうことなのだ?」
「私も騙されたわ。みんなでこっそり計画してたみたいね。」
この白い服の意味はこれだったのか・・・・
それにしても・・・・
「な、何よ?」
「ドレス姿、とても綺麗だ。思わず見とれてしまった・・・」
「バカ・・・・ほら、神父さんが待ってるわよ。」
「あ、ああ。」
二人は顔を赤くして神父さんの言葉を待つ。
「これより新郎エバンス、新婦セフィリアの結婚式をとりおこないます。」
「新郎エバンスはセフィリアを妻とし健やかなる時も病める時も変わらぬ永遠の愛を誓いますか?」
「・・・・・は、はい。もちろん、誓います。」
「新婦セフィリアは・・・・・」
「はい。」
「それでは指輪の交換をお願いします。」
といっても急だったから二人とも指輪をしたままなんですけど・・・・
「まあ、いいでしょう。それでは誓いのキスを・・・・」
私とセフィリアは誓いのキスをする。
「ここに神は二人を夫婦として認められました。」
突然の結婚式に驚いたものの何とか式を乗り切った。
「さてと、誰の計画かしら?」
セフィリアがみんなに迫る。
「わ、私です。お姉様。」
「そう、やっぱりメアリーだったのね。」
セフィリアはゆっくりとメアリーに近寄る。
だ、大丈夫か?メアリー?
しかし、それは私の思い過ごしだった。
「ありがとう、メアリー。一生の思い出よ。」
そういってセフィリアはメアリーを抱きしめる。
「メアリー、私からも礼を言う。素敵な結婚式をありがとう。」
「はい、ありがとうございます。」
こうして私とセフィリアは結婚式を挙げ本当の夫婦になった。
「ところで馬鹿ハンター。もう一度このドレスの感想を言ってくれない?」
セフィリアは顔を赤くして私に言う。
その赤くなった顔を見て私も赤くなる。
何故あんなことを言ってしまったのだろう・・・
「え、え〜っと・・・ドレスの感想だったな・・・もっと胸が大きければ言うことなしなのだが・・・・」
「やかましい!!」
バキッ!!
「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」
「お師匠様、オチなしでは終われないのですか?・・・・はあ、」
・・・・つづく。