第2巻ユ
□第34話 謎の影a
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「エバンスさん、朝ですよ。起きてください。」
いつものようにマリーが私を起こす。目は覚めているがもう少し横になりたい。私は寝ているフリをする。
「マリー、どきなさい。こうやって起こすのよ。」
セフィリアは拳を振り下ろす。
私は寸前で起き上がり何とかメガトンパンチをかわす。
「私を殺す気か`」
「ちゃんと避けたからいいじゃない。」
なんて無茶苦茶な女だ。私が避けなければどうするつもりだったのだ`
「そんなことはどうでもいいわ。それよりも弓使いのハンターは見つかったの`」
「いや、手掛かりすらも見つからない。セフィリア達も村長に探りをいれたのではないのか`」
「あのおばあちゃんが簡単にボロをだすわけないでしょ`」
まあ、セフィリアのおばあちゃんだからな。当然と言えば当然か・・・
「何よ、私の顔を見て・・・・また、何か良からぬ事を考えてたでしょ`」
私はまだ死にたくないので適当にごまかす。
そして、朝食を済ませ今日は新たに見つかった沼地の調査に向かう。
「う〜〜ん、どうやらここにはまだモンスターはいないようだな。」
草食種はちらほら見られるが肉食種は見当たらない。
私は適当にアプトノスの肉を持ち帰る。
「ただいま、やはり沼地にはまだモンスターはいないようだ。」
「あら、ハンターさん、お帰りなさい。」
「エバンスさん、お帰りなさい。食材もらいますね。」
私はマリーに食材を渡しフローラと話す。
「フローラはセフィリアと長い付き合いのようだが昔からあんな性格なのか`」
「いえ、ハンターさんにだけよ。他の人には優しいわよ。」
優しいセフィリア`想像が全くできない。
「ハンターさんの事が好きなんじゃないかしら`」
「冗談はやめてくれ。それなら私にも優しくしてほしいぞ。」
「あら、好きだからそういう態度に出るんじゃないかしら。」
私はフローラに目で合図を送る。
フローラの後ろにセフィリアが立っている。
セフィリアは黙ってフローラを外へ連れ出す。
私は言葉では言い表せないフローラの絶叫を聞きセフィリアには逆らわないと改めて心に誓う。
夕食を済ませた私達は再び謎のハンターの話題に移る。
「それにしても村人が誰一人としてその謎のハンターを見ていないっていうのも不思議ね。」
「もしかして村長さんが匿っているとか`」
マリーはまた突拍子もないことを言う。
「マリー、それなら私達が村長さんの家にいった時に気付くでしょ`」
フローラがマリーに優しく言う。
「いえ、そういうことではなくて村の外れに家を用意していてそこに匿っていると言うことです。」
「確かに一理あるわね。何しろ広い村だからね。馬鹿ハンター、明日は不審な家がないかも調べなさい。」
不審な家ってどんな家だよ`ヤヤヤ
とりあえずの予定を話し合い私は寝ることにした。
・・・・・その夜。
「おお、オメエさんだべか。セフィリア達がワシを疑っているみたいだべな。」
「流石に村長さんが助けたというのは無理がありますからね。」
「オメエさんはどうするべ`まだあそこにいるべか`」
「そうですね、あそこなら見つかる心配はまずないですから・・・」
「すまねえべ。ワシのわがままでオメエさんには苦労かけるべ。」
「大丈夫です。村長さんのお気持ちはよくわかりますから。」
「ありがとう、これからも宜しく頼むべ。」
「はい。」
・・・・・つづく。