マ第6巻マ

□第164話 記憶喪失!
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バキッ!!!

「おごぉっ!!!」

セフィリアのダイナマイトパンチで私は目を覚ます。

「せめて一度起こしてから殴ってくれ。」

「どのみち殴るのだから面倒なだけよ。」

正論かもしれないがメチャクチャだ。

「そんなことよりメアリーの様子がおかしいのよ。早く来て。」

私は急いでリビングへ向かう。

「メアリー、どうしたのだ?」

確かにメアリーの表情は暗い。

「あ、お師匠様、おはようございます。いえ、少しおかしな夢を見てしまって・・・・・」

メアリーの話によるとアリスさんが遠くに離れていく夢を見たらしい。

「大丈夫だ。しょせん夢は夢だ。ほら、外の空気を吸って心を落ち着かせるのだ。」

そう言って私はドアの前に立つ。

「お嬢様、大変でございます。」

バンッ!!!

「おごぉっ!!!!」

勢いよく開いたドアが私の顔面をとらえる。

「エバンス殿、そんな所で寝ていては風邪をひきますぞ。」

ソードさん、あんたのせいだよ。

「で、何が大変なのですか?」

私は起き上がりソードさんに詳細を尋ねる。

「アリス隊長が隊員をかばって頭を打って記憶喪失になってしまいました。」

「え?それでお母さんさんは?」

「今、隊員が付き添って連れて来ています。」

メアリーが外に飛び出そうとした時、隊員がアリスさんを家の中に入れる。

「お母さん。メアリーよ。解る?」

「お母さん?私が?ごめんなさい。何も解らないの。」

娘のことまで解らないとは重症のようだな。

「とにかく医者を捜してくる。」

私がドアの前に立った時だった。

「アリス、大丈夫か?」

バンッ!!!

「おごぉっ!!!」

勢いよく開かれたドアに私は顔面を打ち付ける。

「エバンスさん、そんな所で寝ていたら風邪をひきますよ。」

ビンセントさん、あんたのせいだ。

「どうしてビンセントさんが?」

私は起き上がりビンセントさんに尋ねる。

「ピーターに用事があってポッケ村に来ていました。」

ビンセントさんはアリスさんの前に立ちアリスさんに話し掛ける。

「アリス、私だ。ビンセントだ。わかるか?」

「ビンセントさん?ごめんなさい。解らないわ。でも、何か懐かしい感じがする。」

そうだ、アリスさんとビンセントさんとメアリーの三人だけにしてみよう。何か思い出すかもしれない。

「みんな、とりあえず家族だけにしてみよう。何か思い出すかもしれない。」

「そうね。ビンセントさんを見て何か感じとったみたいだし。」

私達は外に出て今後の対応を協議する。

「とにかく狩猟に連れていけば何か思い出すんじゃないかしら?」

ニーナが提案する。

「記憶喪失のアリスさんを狩猟に連れて行くのは賭けだけど一理あるわね。」

セフィリアも頷く。

「というわけでアーサーさんの所に行くわよ。村長は医者を捜してくれる?」

「解ったわ。フローラ行きましょ。」

「ええ。」

セフィリアとフローラは医者を捜しに行き、私とニーナとアシュリーはアーサーさんの店へ向かう。

「それでは私とマシューさんはみなさんに食事を作りますね。マシューさん、私の家に行きましょう。」

「わかったニャ。」

それぞれが自分の役割通りに行動する。

「エバンスさん、今日は来ないかと思いましたよ。」

「まあ、色々ありまして。どうですか?何かありますか?」

「森丘にイャンクックがいます。どうしますか?」

イャンクックなら記憶喪失のアリスさんを連れて行っても大丈夫だろう。

「もちろん行きます。」

私とニーナは契約書にサインをして情報料を支払い家の前に戻る。

「お帰り、どうだった?」

「イャンクックだから問題ないだろう。そっちはどうだった?」

「いるにはいたわ。意外な人物が・・・・」

セフィリアの隣には元村長が立っている。

「ま、まさか・・・・」

私は元村長を指差してセフィリアを見る。

「そう、私も知らなかったわ。おばあちゃんが医師免許を持っていたなんて。」

早速、元村長にアリスさんの状況を見てもらう。

「こりゃ、重症だべ。」

「治らないのですか?」

「いんにゃ、強いキッカケがあれば治ることもあるべさ。」

「強いキッカケというのは?」

「解らねえべさ。とにかく強いキッカケだべ。」

や、役に立たない・・・

「とにかく狩猟に連れていってみよう。モンスターを見れば何か思い出すかもしれない。」

私達はアリスさんを連れて森丘へ向かう。

「メアリー、危険と感じたらアリスさん連れて逃げるのだ。いいな?」

「はい、解りました。」

「師匠、いました。イャンクックです。」

「きゃ〜〜〜〜、バケモノ。」

アリスさんとは思えない悲鳴をあげる。

「やはりダメか。メアリー、アリスさんを連れて逃げるのだ。」

「はい。」

メアリーがアリスさんを連れて逃げようとした時、イャンクックがアリスさん目掛けて突進する。

「お母さん、危ない。」

メアリーがアリスさんをかばいメアリーの左足にイャンクックのクチバシが突き刺さる。

「きゃ〜〜〜〜!!!」

「メアリー、大丈夫か?」

「私は大丈夫です。お母さん、逃げて。」

「メ、メアリー。私の大事なメアリー。」

「アリス・・さん?」

「全て思い出しました。私の大事なメアリーを傷付けた罪、死を持って償いなさい。」

「大変だ。アリスさんがキレた。避難するのだ。」

私達はアリスさんとイャンクックから離れて距離をとる。

「成敗!!」

アリスさんが消えたと思った瞬間イャンクックが真っ二つになる。

「やっぱりアリスさんは凄い。」

「お母さん、思い出したの?」

「ええ、ありがとう。メアリーのおかげよ。」

アリスさんはメアリーをおぶって家に戻る。

「お帰り。どうだった?」

「ああ、メアリーのおかげでアリスさんの記憶が戻ったぞ。」

「ほれ、娘さんのケガを見せるべさ。」

元村長がメアリーの治療を始める。

「アリス、良かった。一時はどうなるかと思ったぞ。」

ビンセントさんがホッとした表情でアリスさんに駆け寄る。

「ビンセント、あなたが何故ここにいるの?まさか約束を忘れたの?」

約束、確かビンセントさんがメアリーに会えるのは一年に一度だけだったな。

「こ、今回は状況が状況だったから・・・・」

「問答無用!!!」

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」

どうやら本当に完全復活のようだな。

「馬鹿ハンター、何を勝手に話を終わらせようとしているの?」

「え?ビンセントさんが殴られてオチではないのか?」

「どうしてメアリーがケガをしているの?」

「あ・・・・、こ、これは・・・ねぇ、アリスさん?」

私はアリスさんに助けを求める。

「私もそれは許せませんね。」

どうやら火に油を注いだようだ。

「天誅!!!」

バキッ!!バキッ!!

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」


・・・・つづく。

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