マ第6巻マ

□第162話 狙われたセフィリア!
1ページ/1ページ

「ハンターさん、起きてください。」

お、今日はフローラか。フローラならば融通がきくかもしれない。

「あと、もう少しだけ。」

「仕方ありませんね。最近お疲れのようですから。少しだけなら。」

やった〜。さすがフローラだ。

「そうは問屋が卸さないわよ。」

バキッ!!

「おごぉっ!!」

ニーナのフルスイングパンチが私の顔面をとらえる。それにしてもニーナはいつの時代の人間だ。懐かしい言葉が聞けたぞ。

「ほら、早く起きなさい。」

私はベッドから無理矢理引きずり出される。

「ニーナさん、もう少し優しく起こしてあげませんか?」

「フローラさんが甘やかしすぎなのよ。エバンスは基本的にMなんだから厳しくしたほうがいいのよ。」

だ、誰がMだ。私はいたってノーマルだ。

「そうですか。ハンターさんはMなんですね。」

納得するな〜〜〜!!

「とにかく食卓へ行くわよ。」

私は眠い目をこすりながら食卓へ向かう。

「あれ?セフィリアがいないな?」

「村長なら調べ物があると言って密林へ出掛けたわよ。」

「なに?無理はしないと約束したはずなのに。」

「大丈夫よ。メアリーが付き添っているから。」

いくらメアリーが付き添っているとはいえ、やはり心配だ。

「ちょっと行ってくる。」

私がドアの前に立った時、勢いよくドアが開く。

「おごぉっ!!!」

ドアの前に立っていた私は勢いよく開いたドアに顔面をうちつける。

「どうしたの?顔が真っ青よ。」

ニーナがセフィリアとメアリーの表情を見て尋ねる。

「いきなり弓矢が飛んできたんです。明らかにお姉様を狙っていました。ってお師匠様、そんなところで寝てたら風邪をひきますよ。」

誰のせいだ。誰の。
私は鼻をさすりゆっくりと起き上がる。

「で?狙われる心辺りはあるのか?」

「う〜ん、強いて言うなら私の美貌への嫉妬かしら?」

「はいはい、他には?」

私は軽く流して他の心辺りを聞く。

バキッ!!!

「おごぉっ!!なぜだ?」

「まさか謎のハンター?」

「それは絶対にない。」

「どうしてよ?弓矢を使っていたのよ。有り得ない話じゃないでしょ?」

有り得るも有り得ないもフローラがここにいることが何よりの証拠なのだが・・・・・。

「とにかくセフィリアは犯人が見つかるまでは外出禁止だ。いいな?」

「夜、帰る時はどうするのよ?」

「暗くなればなおさら危険だ。今日はここに泊まってもらう。」

「村長が泊まるなら私も泊まるわよ。抜け駆けはさせないわよ。」

何だよ?抜け駆けって?

「とにかく犯人を見つけましょう。いいですね?お師匠様、ニーナさん。」

「ああ、そうだ・・・」

パリン!!

窓ガラスが割れ何かが飛んでくる。

「何だ?手紙か?」

私は紙切れを拾い読む。

【今日中に村長を辞任しろ。さもなくば今度は脅しだけでは済まない。】

「どうやら村長辞任が目的らしいな。どうする?辞任するか?」

「冗談じゃないわ。元々乗り気じゃなかったけど脅しに屈して辞任なんて死んでもイヤよ。」

「だろうな。」

私達は朝食を済ませ犯人捜しに出かける。

「でも、変じゃない?私達以外に武器を使える人がこの村にいるなんて。」

確かにニーナの言う通りだ。徹底的に聞き込みをするべきだな。

「とにかく聞き込みだ。弓矢を使える人間がいないかセフィリアに恨みを持っている人間はいないかの二点に絞ろう。」

「わかったわ。私とアシュリーは西から回るからエバンスとメアリーは東からお願い。」

私達は二手に別れて聞き込みを開始する。

「すみません、この辺でセフィリアの行政に不満を持つ人はいませんか?」

「そんな人いるわけねえべさ。セフィリアちゃんはよくやっているべさ。どうかしたべか?」

話をして村民を混乱させるわけにはいかないな。適当にごまかそう。

「いえ、世論調査というやつです。村民の不満を取り除くのも村長の仕事ですから。」

「そうだべか。特に不満はねえべさ。」

私達は聞き込みを続けるがセフィリアの行政に不満を持っているという声は聞こえてこない。

「どうだった?」

私達はニーナ達と合流して聞き込みの結果を聞く。

「村長に不満を持っている人なんていなかったわ。それどころか好意的な意見ばかりよ。」

「こっちも同じだ。どうなっているのだ?」

「とにかく一度家に戻りませんか?」

「そうだな。少し考えをまとめてみよう。」

私達は家に戻る。

「お帰り。また、紙切れが飛んで来たわよ。」

私はセフィリアから紙切れを受け取り読んでみる。

【村長に味方するお前達も同罪だ。覚悟しろ。】

「頭にきた。絶対に捕まえてみせるわ。」

ニーナは怒り心頭のようだ。無論、私も頭にきている。

「私達も標的にされているならお師匠様を囮にするというのはどうですか?」

「ナイスアイデアね。それでいきましょう。」

なぜ、私なのだ?

「ちゃんと援護を頼むぞ。」

「お任せください。骨はちゃんと拾いますよ。」

コラコラ、死ぬことを前提にするな。

「早く行きなさい。」

ドカッ!!

「にぎゃ〜〜〜〜!!」

私はセフィリアの蹴りを喰らい家から放り出される。

「しかし、モンスターを相手にするより神経を使うな。」

相手が見えない為に神経の消費が激しい。狙うなら早く狙ってくれ。

「お師匠様。来ました。」

「え?・・・・どっひゃ〜〜〜〜!!!」

私の目の前には弓矢が。私は必死に避ける。

「た、助けて〜〜〜!」

私が囮になっているスキにニーナ達が弓矢の飛んでくる方向に神経を集中させる。

「あそこです。」

メアリーが犯人を見つけニーナが自慢の俊足で捕まえる。

「さて、まずはなぜ弓矢を使いこな・・・・ん?
矢はあるが弓はどこにあるのだ?」

「弓?俺は矢を投げていただけだ。」

投げてあのスピードか・・・。なんという馬鹿力・・・・。

「で、セフィリアの行政のどこに不満があるのだ?」

「行政に不満なんてない。」

は?話が見えてこない。

「ではなぜ辞任を迫ったのだ?」

「簡単なことだ。ポッケ村の村長が若くて綺麗な人に代わったと聞いて引っ越してきたのに、来てみれば確かに若くて綺麗だが貧乳ときやがる。それならそっちの巨乳の姉ちゃんに代えてもらおうと思っただけだ。」

「そ、それだけのことで・・・・」

「貧乳で悪かったわね。」

バキッ!!!

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」

男は気絶している。

「それにしても、くだらない理由で窓ガラスを割られるし命は狙われるし散々な一日だったな。」

「全くよ。本当にくだらない理由だったわ。」

「貧乳を理由に辞任を迫られた村長なんてセフィリアが初めてだろうな。ま、貧乳くらい気にすることないがな。セフィリアから貧乳をとったら・・・・」

「貧乳、貧乳って言うな〜〜〜!!!」

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」


・・・・つづく。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ