マ第6巻マ

□第161話 名家の誇り!
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「お師匠様、朝ですよ。起きてください。お姉様も居ますよ。」

はい、はい。また食卓に居るというオチだろう。
私にも学習能力というものがある。

「わかった、わかった。あと5分だけ。」

バキッ!!

「おごぉっ!!!」

今日は本当に近くにいたセフィリアがダイナマイトパンチをくりだす。

「だから居るって言ったじゃないですか。」

そ、それなら【ここに居る】と言ってくれ。

「で、すぐに起きるの?永遠の眠りにつくの?」

「も、もちろん、すぐに起きます。」

私はセフィリアの脅迫・・・いや、温かい言葉で目を覚まし食卓へと向かう。

「行くわよ。」

せめて【おはよう】くらい言ってくれ。
私はニーナに引きずられ玄関までたどり着く。

コンコンコン!!

「誰よ?」

ニーナがおもむろにドアを開く。

「げっ!!」

ドアの前に立っていたのは生意気な少年ランスだ。

「げっ!!とは何だ?貧乳。」

ゴツン!!

ランスの後ろに立っていた男性がランスにゲンコツをかます。

「目上の女性に対して何だ?その口の聞き方は?恥を知りなさい。
お嬢さん、息子の無礼をお許し下さい。
私はランスの父の【ソード】と言います。」

ランスの父親はマトモなようだ。
アリスさんの部下なら当然か。

「私はエバンスです。こっちはニーナです。
立ち話も何ですからどうぞ中へ。」

私はソードさんとランスを中に招き入れ皆を紹介する。

「お嬢様、お久しぶりです。アリス隊長からこちらでお世話になっているということは聞いておりました。」

「ソードさん、私に敬語を使う必要はありませんよ。以前から言っているではないですか。」

ランスを嫌っているメアリーもソードさんには敬意を抱いているようだ。

「ところで今日はどういったご用件でしょうか?」

セフィリアがいきなり本題に触れる。

「今日はランスの性根を叩き直していただきたく参上致しました。」

「お父様、僕は聞いていませんよ。それにこんな庶民に教わることなんて・・・・」

ゴツン!!

「それがイカンのだ。
すみません、私達ではどうしても甘えが生じるのでアリス隊長も一目置くエバンス殿にお願いしようと思いました。」

「要するに徹底的に甘えを取り除けば良いのですね?」

セフィリアが単刀直入に言う。

「その通りです。よろしくお願いします。」

「では、いきなり実戦は無理ですので、見習いのアレックスと共に修業からということになりますね。」

「では、どなたが修業を?」

「アレックスの師匠であるマリーと、目付け役のセフィリアが担当しています。」

「その巨乳の暴力女はハンターではないではないか?」

ゴツン!!!

「お前もまだハンターではないだろ。
しかし、大丈夫ですか?ハンターではない人にお任せしても。」

「聞くよりも見たほうが早いと思います。朝食後に修業を開始しますから。」

私達は朝食を済ませて修業の準備に入る。

「ちょうど良い機会ですので私も修業に参加してもよろしいですか?」

ソードさんが修業の参加を申し出る。

「もちろんです。マリー、頼む。」

「はい。それではウォームアップからいきます。腕立て伏せ300回、腹筋500回、30メートルダッシュ100本です。」

「アリス隊長の修業並ですね。それでは始めましょう。」

ウォームアップが始まりソードさんは気合いが入る。
ランスはと言うと・・・

「はあ、はあ、はあ。もうダメだ。」

相変わらずだ。

「終わりました。」

もちろんマリーだ。ソードさんは相当驚いている。次にセフィリアもアップを終える。

「あの二人の基礎能力はアリスさん級ですから気にしないでください。」

「ハンターでないのが惜しいですね。」

私とニーナとソードさんがほぼ同時にアップを終える。

「終わりました。」

メアリーが私達より少し遅れてアップを終了する。

「メアリーもかなり力がついてきたな。」

「はい、これもみなさんのおかげです。」

「お嬢様の師匠はエバンス殿ですよね?」

「ええ、形的にはそうですけどニーナやセフィリア、マリー、みんなが師匠のようなものです。」

「お師匠様、謙遜ですか?」

「いや、本心だ。私一人ではここまで早く成長していないだろう。アシュリーもかなりの成長だ。」

アップを終えてこちらに駆け寄るアシュリーを見て言う。

「何のお話ですか?」

「メアリーとアシュリーが成長したという話だ。」

「これも師匠やみなさんのおかげです。」

アシュリーは屈託のない笑顔で答える。

「素晴らしい関係ですね。これなら安心してランスを預けることができます。」

「はいはい、おしゃべりはそこまでですよ。組み手に入ります。」

マリーが組み手を指示する。

「マリー殿、是非とも手合わせをお願いしたい。」

「それは構いませんが・・・・」

マリーが少し困った表情で私を見る。

「ソードさん、マリーはアリスさんと互角に組み手をしますよ。大丈夫ですか?」

私はマリーが伝えたい事を代弁する。

「それを聞いてますます手合わせをお願いしたいと思いました。」

マリーとソードさんの組み手が始まる。

ズドーン!!!

マリーのパンチがソードさんの顔面にまともに入る。
勝負は数秒だった。

「実に惜しいです。マリー殿ならば間違いなく隊長クラスです。どうです?ハンターになりませんか?」

ソードさんはマリーを勧誘する。

「でも、私、武器なんて持ったこと無いですし・・・・」

「武器はあとからでも何とでもなります。ハンターの第一条件はセンスです。」

「いえ、やっぱり私には料理が一番です。」

「そうですか・・・・。残念です。」

ソードさんはハンパなく落ち込んでいる。

「しかたないですね。では、この際そちらの貧乳のお嬢さんでも構いません。」

ソードさんはセフィリアに対して禁句を言ってしまう。

バキッ!!!

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」

ソードさんは気絶してしまう。

「貧乳、よくやった。これで僕はお父様を連れて帰る大義名分ができた。礼を言っておく。」

ランスはソードさんを担いで急いで帰っていった。

「結局、何をしに来たのだ?ソードさんも紳士だと思っていたのに・・」

「ソードさんって人の名前を覚えるの苦手なのです。お師匠様とニーナさんとマリーお姉さんの名前を覚えただけでも良い方ですよ。」

メアリーがソードさんのフォローをする。

「それにしても貧乳、貧乳って・・・・。ニーナよりは大きいと思うわよ。」

セフィリアがブツブツと愚痴をこぼす。

「あら、村長。聞き捨てならないわね。私の方がまだ大きいわよ。」

セフィリアとニーナは一触即発状態だ。

「お師匠様、止めてください。」

「イヤだ。巻き添えはゴメンだ。」

こういうとき、必ず私は巻き添えを喰らう。
【さわらぬ神に祟りなし】というやつだ。

「エバンスさん、止めてください。」

マリーが指をポキポキ鳴らし脅迫する。

「しかたない。
おい、どっちも貧乳には変わりないからやめるのだ。」

バキッ!!バキッ!!

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!!やっぱりこうなるのね〜〜〜〜!!」

「お師匠様がおバカさんだからですよ。」


・・・・つづく。

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