マ第6巻マ

□第156話 アシュリーの許婚!?
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「師匠、おはようございます。朝ですよ。」

「ん?ああ、おはようアシュリー。珍しいな、メアリーはどうしたのだ?」

普段はアレックスと一緒にマリー達の朝食作りを手伝っているアシュリーが私を起こしにくる。

「ニーナさんの風邪を移されたみたいで寝ています。」

「大丈夫なのか?」

「はい、症状は軽いようです。大事を取って今日一日は安静にするそうです。」

症状が軽いと聞いて私は一安心する。

「早く食卓へ来て下さいね。」

アシュリーに促され私は食卓へ向かう。

「おはよう、エバンス。メアリーが風邪をひいたから今日はやめておく?」

「いや、一応情報だけは聞いておこう。メアリー抜きでは厳しいなら止めておこう。」

「そうね。それじゃあ、早速行きましょう。」

私とニーナはアーサーさんの店へ向かう。

「おはようございます。今日は森丘でリオレウスが目撃されていますよ。」

今日はアーサーさんではなくステファニーさんが対応している。

「アーサーさんはどうしたのですか?」

ステファニーさんの足下にアーサーさんがいないことを確認して聞く。

「風邪をひいたのよ。全くだらしがないわ。」

どうやら風邪が流行っているようだ。私も気をつけなければ。

「で、どうしますか?」

リオレウスならメアリー抜きでも何とかなりそうだな。

「はい、行きます。」

私とニーナは契約書にサインをして情報料を支払う。

「ただいま・・・・」

ん?何やら騒がしいな。

「どうしたのだ?」

私の目の前にはアシュリーの母親が居た。隣には見覚えのない少年がいる。

「お久しぶりです。どうしたのですか?」

「今日はアシュリーを連れて帰る為に来ました。これはお願いではなく命令です。」

「以前にも言いましたがアシュリーの意思を尊重するべきで、あなたも納得したではありませんか?」

以前、アシュリーの父が戦死した時の約束を私は持ち出す。

「あの時とは状況が変わりました。アシュリーの縁談が正式に成立したのでアシュリーは帰って結婚します。」

「結婚って・・・・アシュリーはまだ11歳ですよ。」

セフィリアが驚いて会話に加わる。さすがのセフィリアもアシュリーの母親には敬語になるようだ。

「もちろん、今すぐ結婚するわけではありません。アシュリーは家に戻って花嫁修業をするのです。」

「ちょっと待ってください。アシュリーはあなたのおもちゃではありません。アシュリー本人の意思を尊重してください。」

今まで黙って聞いていたアレックスが口を挟む。

「あなたは?」

「僕はここでハンター修業をしているハンター見習いのアレックスと言います。」

「見習い風情の赤の他人が口を挟まないで。」

「それは言い過ぎですよ。ここにいるみんなは家族のようなものです。」

アシュリーの母親は一瞬言葉に詰まるが隣にいた少年が代わりに話す。

「お義母さま、ここは僕が。」

「はい。」

なぜアシュリーの母親が畏まるのだ?

「君、アレックス君でしたっけ?君はアシュリーのことが好きなのか?悪いことは言わない。諦めろ。君と僕では育ちが違うのだ。」

な、何だ?この高飛車なガキは?私はおもいっきら殴りたい衝動にかられるのを必死で押さえる。

「たかがハンター見習い風情が。僕の一族はハンターが5人もいる名家だ。君とは素質が違うのだよ。」

ニーナが今にも殴りかかりそうな形相で拳を握っている。私は何とかニーナをなだめる。

「エバンス君と言ったね?今日の狩りには僕も同行しよう。」

「お兄さん、僕も行きます。お願いします。」

「同行するのは構わないが足を引っ張るんじゃないぞ。見習い君。」

険悪な雰囲気の中、私達は森丘へ向かう。
いけ好かない少年の名前は【ランス】
ハンターの名家らしい名前だ。武器ももちろんランスだ。

「師匠、私の為にイヤな思いをさせて申し訳ありません。」

「アシュリー、その男を師匠と呼ぶのは今日で最後だ。今後はハンターをする必要がないのだからな。」

ニーナは殴りたいのを必死に我慢しているようだ。体が小刻みに震えている。

「おい、貧乳。びびっているのか?震えているぞ。」

ニーナは我慢の限界を越える。殴りかかろうとした時、リオレウスが降臨する。

「来たぞ。」

私達は一斉に臨戦態勢に入る。

「う、うわぁ〜〜〜!!何だ?こいつは?」

ランスは腰をぬかし、その場に座り込む。

「早く逃げるのだ。やられるぞ。」

「逃げれるならとっくに逃げている。早く助けろ。これは命令だ。」

あくまでも態度を改めないランスを見放しても良かったがそういうわけにはいかない。
リオレウスがランスに向かって炎を吐く。
アレックスがランスの前に立ち盾でガードする。

「大丈夫ですか?」

「見習い風情に心配されるなんて僕も落ちたな。」

この際、ランスの発言にかまっている暇はない。

「アレックス、すまないがランスのお守りを頼む。ニーナ、アシュリー、行くぞ。」

「OK!」

私達三人はリオレウスの顔面、足元、援護射撃を分担して効率的にリオレウスを攻撃する。

「師匠、シビレ罠を仕掛けました。」

アシュリーが仕掛けたシビレ罠にリオレウスを誘い罠にかける。

「今だ、一気にいくぞ。必殺!以下省略。」

「いくわよ、必殺!怒りの顔面メッタ斬り。」

「必殺!貫通弓の舞。」

三人の必殺技が決まりリオレウスは息絶える。

「今回は楽勝だったな。これもニーナの気迫のおかげだな。」

ニーナの容赦なき攻撃性は明らかにランスへの怒りをリオレウスにぶつけたものだった。

「お、お前達、よくやったぞ。僕が出るまでもなかったな。」

「おい、いい加減にしろ。私達は命懸けでこの仕事をしているのだ。お前のように家柄だ、名家だの言われると虫ずが走る。とっとと家に帰ってその態度を改めろ。」

「な、何だと?誰に向かって・・・・」

ランスは私と後ろで私に同調するニーナ、アレックス、アシュリーの迫力に押されて言葉に詰まる。

「お、覚えておけ。お父様に言い付けてやるからな。」

ランスは捨て台詞を吐いて帰っていく。

「エバンス、格好良かったわ。惚れ直したわ。」

「私でもあれくらいは言えるさ。しかし、ランスの【おい、貧乳!】には負けるがな。思っていてもなかなか口には出せないぞ。」

バキッ!!!

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」

「せっかく格好良かったのに師匠ってやっぱりおバカさんですね。」


・・・・つづく。

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