マ第6巻マ

□第154話 実益?趣味?
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「エバンス、起きなさい。早くアーサーさんの店に行くわよ。」

いつもながらニーナの行動は早い。ニーナは別に良いかもしれないが私は毎回マリーに殴られるのだぞ。

「急がなくともよいではないか。先に朝食にしよう。でないとマリーに殴られてしまう。」

「私は殴られないから平気よ。ほら、行くわよ。」

ニーナは悪魔のようなセリフを吐き私を引きずっていく。
【この恨み晴らさずでおくべきか】

私は心に誓いアーサーさんの店へ向かう。

「おはようございます、エバンスさん。」

「どうですか?情報はありますか?」

「はい、あるにはありますが・・・・・。」

アーサーさんは言葉に詰まりニーナをチラリと見る。
私は何となく理解した。

「キリンですね?」

私は小声でアーサーさんに尋ねる。
アーサーさんは静かに頷く。

「何よ?ハッキリ言いなさい。・・・・・まさか・・・・。いやよ、絶対に行かないから。」

こんなに早く恨みを晴らす機会が訪れようとは・・・・。私はすばやく契約書にサインをする。もちろんニーナの名前も。

バキッ!!!

「おごぉっ!!!」

ニーナは私の不穏な動きを察知しフルスイングパンチを放つが後の祭りだ。サインは書き終わっている。

「覚えていなさい。」

ニーナは弱々しく言い放つ。とにかく帰って朝食だ・・・・。

「ん?朝食?・・・・・やばい、早く帰らなければ。」

私は急いで家に戻る。

「ただい・・・」

バキッ!!!

「おごぉっ!!!」

「いい加減にしてください!!」

「はい、すみません。」

私は言い訳をせずに大人しく朝食を食べる。

「お師匠様、ニーナさんがハンパなくヘコんでいますけど、今日はキリンですか?」

「素晴らしい洞察力だ、メアリー。その通り今日はキリンだ。」

私達は朝食を済ませ狩りの準備をする。

「師匠、ニーナさんが戦力にならない以上ピーターさんに助っ人に来ていただかないと厳しくないですか?」

「・・・・・そうだな。ピーターさんに頼んでみよう。」

結果は見えているが・・

「もちろん、ニーナさんの為なら例え火の中水の中。」

「今回は火でも水でもなく雷ですけど。」

メアリーが静かにツッコミを入れる。
とにかくこれで大丈夫だろう。私達は塔へ向かう。

「とにかくピーターさんはニーナを守りつつ援護射撃をお願いします。」

「ニーナさんを僕が守る・・・・・。はい、お任せください。」

何やらやたらと気合いが入っている。これなら大丈夫だろう。

「私とメアリーはいつも通りだ。アシュリーも援護射撃を頼むぞ。」

「はい。」

メアリーとアシュリーは同時に返事をする。
返事を聞き私はキリンに斬りかかる。メアリーも私に続く。

「メアリー、離れるのだ。」

キリンはいななきイカズチを落とす。

「きゃ〜〜〜〜〜!!」

もはや、ニーナの絶叫も聞き慣れたな。

「は、早く倒しなさいよ。お願い、早く。」

強気なのか弱気なのか・・・・。

「メアリーは足元を頼む。私は顔面を狙う。ただ無理はするな。イカズチに気をつけるのだぞ。」

「はい。」

私は大剣を力の限り振り下ろす。
一瞬キリンはひるむがすぐに私に向かって突進してくる。

「どっひゃ〜〜〜」

大剣を振り下ろした勢いで態勢を崩していた私は大剣を離し慌てて避ける。

「お師匠様、また来ますよ。」

大剣を拾おうとしていた私に向かってキリンが突進してくる。

「うっひゃ〜〜〜!!」

慌てて避けた私と大剣の距離はかなり広がってしまう。

「そこまで避けていないぞ。何故だ?」

「キリンがおもいっきり大剣を蹴飛ばしましたよ。」

メアリーがさらりと言う。私が丸腰だという状況を理解しているのか?

「とにかくここは逃げるしかない。」

丸腰の私は必死に逃げる。そのたびに大剣と私の距離は広がる。

「どうしようか?ピーターさん、私の大剣を拾ってくれませんか?」

「私にはニーナさんを守るという大事な使命がありますので無理です。」

や、役に立たない・・・・・・。
かと言ってメアリーやアシュリーでは重くて持てないだろう。

「あの、お師匠様。お師匠様の大剣です。」

メアリーが軽々と大剣を持って私に手渡す。

「弟子入りした頃は持つことすら出来なかったのに成長したのだな。」

私はメアリーの成長に感動する。

「お師匠様、集中してください。」

「はい、すみません。」

メアリーに一喝されて私はキリン討伐に集中する。
キリンはイカズチを乱舞のように連続して繰り出す。

「きゃ〜〜〜〜、きゃ〜〜〜〜。お願い、早く倒して。」

「倒してと言われてもこれでは近づけないぞ。」

私達はただ見ているしかなかった。
そこへキリン目掛けて拡散弾が飛んでいく。
拡散弾はキリンの顔面に命中しキリンはダウンする。

「今だ、いくぞ、必殺!1日1回限定適当大剣振り回し」

「いきます、必殺1日1回限定、超双剣乱舞。」

「必殺、貫通弓の舞。」

3人の必殺技によりキリンは息絶える。

「終わった。さて、帰るぞ。」

半泣きでしゃがみ込んでいるニーナを助け起こし家へ帰る。

「ピーターさん、今日は助かりました。ありがとうございました。」

「いえ、とんでもないです。それでは私は用事がありますので。」

いつもなら夕食も共にするはずのピーターさんが慌てて帰っていく。

「ただいま。」

「お帰り、お疲れ様。相変わらずニーナは半泣きみたいね。カミナリの何が怖いのかしら?」

「うるさいわね、村長にも苦手なものくらいあるでしょ?」

久しぶりの一触即発状態だ。どうしよう?

コンコンコン!!!

「ピーターです。」

「どうしたのですか?」

「ニーナさんにプレゼントです。カミナリが苦手ならキリンの防具ですよ。着てみてください。」

「ありがとう、ピーターさん。」

ニーナは早速風呂場の脱衣所で着替える。

「どうかしら?」

「ニーナさん、とってもセクシーです。」

ピーターさんは鼻の下が伸びきっている。完全にピーターさんの趣味だな。

「どう?エバンス、これからは狩りの度にこのセクシーな格好が見れるのよ。」

「セクシーというには何かが足りないな。」

私はニーナの胸を見て言う。

「貧乳で悪かったわね!!!」

バキッ!!バキッ!!

ニーナとセフィリアのWパンチが飛んでくる。

「ぎゃぴ〜〜〜〜!!!喧嘩していたのではなかったのか?」


・・・・つづく。

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