マ第6巻マ
□第153話 成長の証!
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「エバンスさん、起きてください。」
今日はマリーか・・・・珍しいな。朝食の時間には少し早い気がする。
「もう、朝食ができたのか?」
「いえ、まだですよ。とにかく早く起きてください。」
私は強引にマリーに起こされる。
仕方なく起き上がり食卓へ向かう。
「おはよう、馬鹿ハンター。はい。」
セフィリアは私にのこぎりを手渡す。
「何だ?これは?」
バキッ!!!
「おごぉっ!!!」
いきなりのセフィリアのダイナマイトパンチ。
「あなた、私達に床で食事をしろと言うの?」
あ・・・・・。そういえば昨日の腕相撲でテーブルが破壊されたのだったな・・・・。
「どうして私が作らなければ・・・・・」
セフィリアの殺気が凄まじく私は思わず言葉を飲み込む。
「すぐに取り掛かります。」
私は外に出てテーブルを作り始める。
「エバンスも大変ね。・・・・そうだ、ちょっと待ってて。」
ニーナは何かを思い出したようにピーターさんの店に向かって走り出す。
・・・・まさか。
私の予想は的中した。
「エバンスさん、手伝いますよ。」
ニーナに助っ人を頼まれたピーターさんはテーブル作りを手伝う。
「今回の条件は何ですか?」
「条件?何の事ですか?私はただニーナさんに朝食を誘われただけですよ。そのついでにテーブル作りを手伝うだけです。」
それを世間一般では条件と言います。
私は心の中でツッコミを入れピーターさんに同情する。
「よし、完成だ。」
私とピーターさんはテーブルを家の中に運び入れる。
「ご苦労様。マリー、テーブルが完成したわよ。朝食を持ってきて。」
「はい、わかりました。すぐに持っていきます。」
私は以前から抱いていた疑問をセフィリアとマリーにぶつける。
「マリーの方が年上なのにどうしてセフィリアがタメ口でマリーが敬語なのだ?というか、ここではマリーが一番年上だろう?なのに全員に敬語だな。」
「・・・・・そう言われればそうですよね。気にしたこともなかったです。」
「本人が気にならないからいいんじゃない?」
なるほど、二人とも楽観主義者で全く気にしていなかったということか。
「そういう馬鹿ハンターだってマリーにタメ口じゃない?」
「そういえば・・・・」
「ようするにマリーさんが童顔だから年下に見えてタメ口になるのよ。」
ニーナが簡単にまとめる。
確かにマリーの童顔は10代と言っても通用するほどだ。
「あの〜、朝食を食べませんか?」
アレックスがふいに声を掛けマリーを指差す。
マリーは早く食べろと言わんばかりに私達を睨んでいる。
いつもは強気のセフィリアも【食】に関するマリーには敵わないとばかりに静かに着席して朝食を食べる。
「エバンスさん、今日こそはアレックスさんと勝負していただきますからね。」
マリーが強気になるとは珍しいな。よほど自信があるのだろう。
「お師匠様、挑まれた勝負は受けなければいけませんよ。」
おそらくアリスさんの教えだろう。
「わかった。その勝負受けて立とう。」
私達は朝食を済ませて修業の準備に入る。
「まずはウォームアップだ。」
私は自分のペースを守りながらアレックスの様子を見る。確かに飛躍的に伸びている。
とは言ってもアシュリーよりも遅いことには変わりない。
「終わりました。」
マリーが当然のように一番にアップを終了する。
セフィリア、私、ニーナ、メアリーの順でアップが終了する。
「終わりました。」
アシュリーと同時にアレックスがアップを終了させる。
以前とは違いアシュリーは一度もアレックスにペースを合わせていない。
「アレックス、すごいではないか。飛躍的に伸びているぞ。」
「はい。でも負けは負けですから。」
次はドッジボールだ。
「今日は集中力の修業も同時に行うぞ。」
私はボールを3つ取り出す。まずはマリーに手本を見せてもらう。
「メアリー、本気で当てにいくのだ。修業にマリーの修業にならないぞ。」
「はい。でもマリーお姉さんに修業は必要ないのではないですか?」
「た、確かに。訂正、手本にならないぞ。」
私達は3つのボールを次々と投げるがマリーには全く当たらない。
「そこまで。」
「はあ、はあ、はあ。さすがに疲れましたね。」
珍しくマリーが肩で息をする。集中力による精神的な疲労だろう。
「次、メアリー」
「はい、よろしくお願いします。」
メアリー、アシュリー、ニーナと挑戦するが何度かボールに当たってしまう。
「さすがに今回の修業は辛いわ。」
珍しくニーナが弱音を吐く。
セフィリアでさえ一度ボールに当たってしまうほどだ。
「つ、次は馬鹿ハンターとアレックスの二人同時に行くわよ。」
セフィリアは更にボールを2つ追加して言う。
「そうね、勝負だから二人同時のほうがいいわね。」
ニーナもセフィリアの提案に賛成する。
「よし、アレックス、いくぞ。」
「はい、お兄さん。」
私とアレックスは円の中に入る。
「それじゃあ、師匠、アレックス、いきますよ。」
アシュリーが投げたのを合図にあらゆる方向からボールが飛んでくる。
「どっひゃ〜〜〜!!」
さすがにこれは厳しい。しかし負ける訳にはいかない。
私は集中力を高めてボールを避ける。
「私ばかり狙われていないか?卑怯だぞ。」
「みなさん、正々堂々と勝負したいですから平等に狙ってください。」
「わかったわ。」
私とアレックスは必死にボールを避ける。
「そこまでです。」
マリーが終了を告げる。
結果は私が2回、アレックスが4回だった。
「つ、疲れた〜〜!」
私とアレックスはその場に倒れ込む。
「アレックス、よくここまで成長したな。」
「はい。マリーお姉様とセフィお姉さんのおかげです。」
私達は寝転びながら健闘を称え合う。
「お疲れ様、大丈夫?」
セフィリアが私に近づく。ちょうどその時アレックスが起き上がりセフィリアはアレックスにつまずいて私のほうに倒れてくる。
「危ない。」
私はセフィリアを支えようと手を出したが【いつもの胸を掴む】が頭をよぎり手を引っ込める。
あ・・・・・。
手を引っ込めた為に私の唇とセフィリアの唇が重なる。
「な、なんで支えないのよ。バカ〜〜〜!!!」
バキッ!!!
「ぎゃぴ〜〜〜〜!!」
・・・・つづく。