第1巻

□第9話 謎の男×鉱産物×驚き
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突然の申し出に私は答えに詰まった。当然だろう。見ず知らずの男に武器を渡すなど危険極まりない。

「あなたはこれをどうするつもりですか`」
私は探りを入れてみた。

「別にどうもしねえべ。見るだけだべさ。」

食えない男だ。私の探りに全く動じない。こういう答えがもっとも決断を困難にする。普通なら断るのだが彼には一片の敵意も感じない。

「見るだけですよ。」

私は男に大剣を渡した。

「これは包丁だべか`オメエさん、こんなバカでかい包丁だと切りにくいべ`」

私の周りというよりこの村全体がマトモではないようだ。

「それは大剣といってモンスターを倒す為の武器ですよ。」

この村に来てこの説明をするのは何度目だろうか・・・・。

「へぇ〜、武器だべか。しかし何でこんなへっぽこな武器を使ってるべか`この村の鉱産物を使えばもっといいものが出来るべさ。」

鉱産物を使えばって作れる人がいれば頼んでるよ。そもそもこの村の人達は大剣を知らないじゃないか。

「作り方がわからないんですよ。それに鉱産物って言ってもいろいろありますし。」

「ならオラが作ってやるだ。」

え`あんたに作れるの`大剣を包丁って言ってたんだよ。

心のツッコミが口に出そうになった時、誰かが訪ねてきた。

「こんにちわ。アルバートさんはいらっしゃいますか`」

なんとセフィリアとマリーだ。

「あ〜〜、馬鹿ハンター。なかなか帰って来ないと思ってたらこんな所で何してんのよ`」

「いや、村の全体を見ておくいい機会だと思ったから。」

こいつには死んでも迷子になったとは言えない。

「この男、泣きそうな顔でキョロキョロしてたべ。」

おっさんヤヤヤ余計な事を言うなヤヤヤヤヤヤ

「へ〜、ふ〜ん。迷子になったんだ`あなたそれでもハンター`」

ハンターは迷子になってはいけないのか`なんてヘリクツを言っても仕方ない。

「セフィリアこそ何の用だ`」

「私は迷子じゃなくて、おばあちゃんに頼まれた物を取りに来ただけよ。」

嫌な女だ。しかし村長から頼まれたものってココは何か商売をしてるのか`

「あの〜、おばあちゃんの使いでアルバートさんに用事があるんですけど・・・」

「オラがアルバートだべ。おばあちゃんっていうのは村長のことだべか`」

まだセフィリアが村長の孫だと知らない人もいるのか。

「はい、村長の孫のセフィリア、21才です。」

さすがの私も口に出してツッコミをいれた。

「ウソはダメだaa21才で学者の訳がないだろ。」

確かに21才と言われても信じたくなる容姿だが・・・・・。

「失礼ね。私は16才で博士号をとった正真正銘の21才の学者よ。」

「本当なのか`マリー」

なぜか私はマリーに聞いた。セフィリアのストーカーのマリーなら知ってると思った。

「はい。本当ですよ。史上最年少の博士号取得者で雑誌にも載りました。だから私セフィリアさんに憧れてるんです。」

それならばマリーは一体何歳なんだ`まさか高校生`私はおそるおそるマリーに聞いた。

「セフィリアが21才ならマリーは高校生か`」

「え`私そんなに若く見えますか`嬉しいです。こう見えても26才です。」

aaaaaaa私より年上aう、うそだ。でも女なら下にサバ読みしても上にはしないだろう・・・・・。

呆然とする私を尻目にセフィリアはアルバートさん話しかける。

「アルバートさんって鉱石の細工職人なんですね`」

「ああ、そうだべ。そんで今、そこの兄ちゃんの武器を作らせてくれって頼んだべさ。」

まだショックから立ち直れない私を無視して会話が進む。

「この村の鉱石で作った武器ならあのオンボロ大剣よりははるかに良い物が作れるわね。アルバートさん、私からもお願いするわ。」

私の武器を私の承諾なしに勝手に作るなヤヤヤ




こうしてエバンスの武器は彼の意向に関係なく勝手にパワーアップした。
ちなみにエバンスが正気を取り戻したのは3日後のことである。


・・・・・・つづく。

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