第5巻マ
□第144話 アレックスの初実戦!
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「ん?なんだ?背中が痛い。」
「やっと起きたわね。」
私が目を覚ました時には既にアーサーさんの店の前だった。
どうやら、ニーナが引きずってきたようだ。
「背中が痛いのだが・・・・」
「さっさと起きないからよ。ほら、入るわよ。」
私の寝巻は背中がボロボロになっている。
ここまで来ては仕方がない。私はボロボロの寝巻のままアーサーさんの店に入る。
「おはようございます。新しいファッションですか?」
アーサーさんは背中がボロボロになった私の寝巻姿を見て笑いながら言う。
「まあ、そんなところです。情報はありますか?」
「あるにはありますけど、密林にドスファンゴがいるくらいなのですけど。」
ドスファンゴか・・・。
アレックスの実戦訓練には良いかもしれないな。
「わかりました。行きます。」
私は契約書にサインをして情報料を支払い家に戻る。
「ただいま、アレックス、今日は初実戦だ。」
「え?そんな、まだ無理ですよ。」
アレックスは不安げな顔をする。
「大丈夫だ。今日はドスファンゴが相手だし私達がフォローをする。」
「マリーお姉様、どうしましょうか?」
アレックスは師匠であるマリーに尋ねる。
「・・・・・そうですね、ドスファンゴだったら大丈夫だと思いますよ。エバンスさん達もいますし。」
「わかりました。お兄さん、ニーナさん、メアリー、アシュリー。ご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしく。」
「それは良いけど、アレックスの武器はどうするの?まだ何も決まっていないでしょ?」
セフィリアが的を射た発言をする。
「わ、忘れてた。」
私達は朝食を済ませピーターさんの店へ向かう。
「ニ、ニーナさん。いらっしゃいませ。武器ですか?」
どうやらピーターさんにはニーナ以外の人間が見えていないようだ。
「よし、アレックス、まずは大剣を持ってみるのだ。」
私はアレックスに大剣を手渡す。
「これはずっしりきますね。」
アレックスは適当に振り回してみるが違和感がある。
「次は片手剣だ。」
「これは使い易いです。これが良いです。」
「ちょっと待ってください。メアリーちゃん、これでアレックスを攻撃してください。」
ピーターさんは木で作った双剣をメアリーに手渡す。
「・・・は、はい。」
ピーターさんは更にメアリーに何か耳打ちをする。
「アレックス君は盾でメアリーの攻撃を防いでください。」
「わかりました。」
メアリーは普段とは違いでたらめに双剣を振り回す。アレックスは完璧にメアリーの攻撃を防いだ。
「どうやらアレックス君の武器は片手剣で決まりのようですね。」
私は片手剣の代金をピーターさんに支払う。
「アレックス君、これは私からのプレゼントです。」
そういってピーターさんはアレックスにイャンクックの防具一式を手渡す。
「あ、ありがとうございます。大事に使います。」
アレックスは本当に嬉しそうに早速防具を装備する。
「ありがとう、ピーターさん。」
ニーナがピーターさんの手を握って感謝する。
「い、いえ、いやぁ・・・・・」
ニーナは振り向き私に向かってVサインを出す。
・・・・悪魔だ。
「それでは密林に向かうぞ。」
私達は密林へと向かう。
「ドスファンゴごとき私の大剣で一撃で葬ることができるが今日はアレックスの修業だからな。」
私は相当調子に乗っていた。
「お師匠様、うしろ。」
「ん?・・・・・にぎゃ〜〜〜〜。」
振り返ると私の眼前にドスファンゴが迫っていた。私は必死にかわす。
「お兄さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。ドスファンゴの突進をかわして立ち止まった時に攻撃するのだ。」
「はい、やってみます。」
アレックスは立ち止まったドスファンゴに向かっていく。
「くらえ。」
アレックスは片手剣の長所である手数でドスファンゴを斬りつける。
「アレックス、離れるのだ。」
「はい。」
ドスファンゴが突進する。
「すごいね、アレックス。」
アシュリーがアレックスに駆け寄る。
「アレックス、ドスファンゴが来るぞ。」
アレックスとアシュリー目掛けてドスファンゴが突進する。
アレックスはアシュリーの前に立ち盾で突進を防ぐ。
「大丈夫か?アシュリー。」
「うん、ありがとう。」
アレックスはすぐにドスファンゴに反撃する。
ドスファンゴは反転し逃げ出す。
「逃がしてはダメよ。」
ニーナが慌てて追うが追い付きそうにない。
「ニーナさん、私に考えがあります。」
メアリーがニーナに何かを話す。
「エバンス、大剣を出して。」
「あ、ああ。」
私が大剣を取り出すとニーナとメアリーが私を抱え上げる。
「な、何を?・・・・・ま、まさか・・・・」
「行って来〜〜〜い!」
「どっひゃ〜〜〜!!」
私はニーナとメアリーに勢いよく投げ飛ばされる。
私の大剣は勢いよくドスファンゴの背中に突き刺さりドスファンゴは絶命する。
「よっしゃ〜〜。」
ニーナとメアリーはハイタッチをかわす。
「お疲れ様、アレックス。」
「ありがとう、アシュリー。みんなのお陰だよ。」
「ほら、ほら、帰るわよ。お二人さん。」
メアリーの冷やかしとも取れる発言で二人は私達のもとに駆け寄ってくる。
「さて、帰るか。」
私達は家に戻る。
「おかえり。どうだった?」
「はい、みなさんのお陰で討伐できました。」
「そう。で?これからはアレックスも連れていくの?」
「いや、もう少し修業をさせよう。」
「わかったわ。」
「でも、最後のお兄さん、かっこよかったですね。空を飛んでトドメを刺しましたからね。」
「何それ?」
セフィリアが不思議そうに尋ねる。
「説明するより見たほうが早いですよ。」
メアリーが言ってニーナと共に私を抱え上げる。
「や、やめて。どっひゃ〜〜〜〜。」
私は勢いよくセフィリアに抱き着く。
「・・・・良い根性してるわね、馬鹿ハンター。」
「こ、これは不可抗力だ。・・・だから、・・・・・ぎゃぴ〜〜〜〜!」
・・・・つづく。