目覚めの時

□第3章
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そんなある日、安倍家では、露樹が産気付いたのだった。

露樹にとって、久しぶりの子どもだった為、難産だった。

吉昌は部屋に続く廊下を行ったり来たり、落ち着いていなかった。

「父上?」と2人の青年は吉昌を見てた。

「絶対に男の子だね」と成親は言う。

そんな確証はないはずだが、自分達が記憶があるということは必ず、『末弟である昌浩』が生まれるはずだと思っているからだ。

『だから、ソワソワしているのか』と思う昌親だった。

「あの子が生まれたら、確実に騰蛇を呼ぶだろうな」と呟く吉昌だった。

着袴の時に自ら陰陽術を昌浩に叩き込んでいた『清明』の事だ。また、呼ぶに決まっていると誰もが思った。
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