淡い恋物語
□第五章
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―彷徨の職場―
「はぁ〜」とため息をつく者は廊下を歩いていた。
「彷徨殿、今日こそは娘に会ってもらいます」とその後を追うように数人が歩いていた。
「私には許婚がいますので」といつものように断っていた。
「門のところにいる女性見たか?」とひそひそと話して彷徨の真横を通った。
「すごくかわいい娘だったな」と話す同僚。
「確か、星の…」途中で遮られた人は呆然としていた。
それもその筈だ。彷徨が彼の肩を掴んだからである。
「その人は何処の門のところにいるんだ?」といつもより低い声で言った。
「あっちの門のところです」と言って指を指す。