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□彼は霧…
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それは、いきなり窓から颯爽とやってきた。

「お久しぶりですね」
「…骸……」

骸と会うのはリング戦のとき以来だ。
それまではよくオレにちょっかいかけにきていたのに、あの日から突然こなくなった。

「…今まで何してたんだよ」
「『何してた』?水牢の中にいたんですよ。貴方は知っているでしょ?」
「!」

そうだ。
骸は暗く冷たい場所で、たった1人でいるんだ。

―同情するなよ―


ふとリボーンの言葉を思い出した。
確かに骸はたくさんの人を殺した。

でも、でもオレは…


「……綱吉君?」
「…えっ?何?」
「せっかく来たのに何を考えてるんですか」
「そ、その…」

この気持ちは同情なんかじゃない。違うよ。

この気持ちは…!

「むく…」
「時間です」
「!」

そう言って骸はオレの言葉をさえぎった。

そしてどんどん骸の体が薄れていく。

「あ…っ」
「また会える日を楽しみにしていますよ」
「待って…待って骸!」

とっさにのばした手も彼を掴むことはできなかった。

そう。彼は霧…

オレなんか、決して手にすることはできない。

でもこの気持ち…

“骸を好き”ってキモチは、抱いててもいいよね…?






end
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