Novel
□ふたり
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“毎晩決まった時刻に立ち入り禁止になっている古城から笑い声ともに花弁が大量に落ちてくる”
・・・・という情報を得た教団はイノセンスと関係深いと見て現場にエクソシストを向かわせた。
向かったエクソシストは神田とアレン。同行した捜索隊は3人。
いつもの様に列車に飛び乗り、座席で任務に関する資料に目を通していた。
アレンがポツリと呟く。
「・・・・・古城から笑い声と・・・花弁が・・・・・?」
「大方、イノセンスの仕業だろうな。」
ふと、固まっているアレンに気付き声をかける。
「・・・・・おい?」
「・・・・あ、ど、どうしました?」
気づいたのか慌てて返事をするアレン。
そんな彼にため息を一つ零し、呆れる。
「どうしたってそれは俺の台詞だ・・・。いきなり固まりやがって。何かあんのか?」
「い、いえ・・・な・・・何もっ!!」
あははは・・・と笑い誤魔化すアレンを不審に思い皺を寄せる。
「俺に隠し事するつもりか?てめぇ」
いつもより低音の声にビクと身体を揺らし視線を下に落とす。
「その・・・・古城から笑い声・・・・と・・・・花びらが・・・降ってくるっていうの・・・イノセンスの所為ですよね・・・?」
「・・・・その可能性が高いから俺達が向かってるんだろうが」
「そ、そうですよね!?・・・・・そうだと、いいなぁ・・・・・」
少し顔を青くし、語尾を弱める相手に、もしかして、と思う。
「・・・・・お前・・・・・怖いのか?」
「な、何で分かったんですか!?ってあぁっ!!!」
図星を突かれ、思わず本音を口に出してしまい慌てて口を塞ぐも、時既に遅し。
一方の神田は僅かに口が弧を描いている。
「そうか、お前怖いんだな?今回の任務」
確認するように言葉を綴じる彼に、アレンが赤みを帯びている頬を膨らます。
「それがどうしたんです!馬鹿にでもするんですか!!」
「可愛いと思った」
「ほぇっ!」
罵倒の言葉が飛んでくると思っていたにも関わらず、余りにも予想外な返事が来、間の抜けた声が出る。
「い、今・・・・なん・・・と・・・?」
聞き間違いかと自分の耳を疑い、もう一度聞き返す。
「だから」
くい、と腕を引き腕の中に収める神田。そっと相手の耳に口を寄せる。
「可愛いって言ったんだよ」
「〜〜〜〜っ!」
耳元で囁かれたアレンは真っ赤になり、必死に手で顔を隠そうとするが手を押さえられる。
「可愛い。だから隠すな」
またもや同じことを繰り返され、羞恥で瞳が潤む。
そんなアレンを見、ふっと笑み、相手の頬に手を添え目を合わせる。
「冗談なんかじゃ、ねぇからな?」
唇を合わせ、離れ際にアレンの口元を軽く舐める。
「〜〜〜〜っ・・・・・」
きゅぅ、と顔を見られないように神田に抱きつくアレン。
神田は満足そうに銀髪を梳いていた。
任務先の古城に足を踏み入れたとき、
恐怖感から神田の腕にしがみついてるアレンと、満更でもなさそうな神田がいたのは、また別の話。
おわり
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