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□2人だけで出かけようか?
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金蝉ごめんなさい。
貴方の息子は今日、初めて学校をサボります。

心の中でそうつぶやきながらもオレは自転車をこいでいた。授業をサボったことはあっても、学校をサボったことは小学校のときも中学校のときもなかったのに。

罪悪感を抱きながらも、それでもちょっとだけ楽しいかもと思ってる自分はどうしようもない。
…まあ俺よりどうしようもない人が後ろに座ってるんだけど。ちらっと視線を寄せれば目があってしまった。


「…なんだ」
「え?あー…えっと、俺たちこれからどこ行くの?」
「何も考えないで進んでたのか?」


…2人共無計画だということが判明した。
本当にめちゃくちゃだなー…と思ったとき、俺の腹が大きくなった。三蔵にも聞こえるくらい。
うわ、ちょっと気まずいかも。


「俺、今日朝飯食ってなくてさ…」
「じゃあ行き先は決まったな」
「え?」
「そこらへんにファミレスくらいあるだろ。ほらさっさとこげ」
「う、うん!」


三蔵の言葉通りに俺はファミレス目掛けて自転車をこぐ。幸いにも近くて5分もしないでついた。

店内に入ると、三蔵がまっすぐ喫煙席に向かったからそれについていく。
煙草吸う気満々な三蔵に苦笑する。学生服だとしても三蔵にはそんなこと関係ないらしい。

朝だからか店内はすいていた。ほんの数人くらいしかいない。そういえば朝にこういうとこに来たのは初めてかもしれない。
三蔵が朝の一服を楽しんでいるなか、俺はメニューをそんなに大きくない机の上に広げた。朝用のメニューになっているのか昼や夜とは頼めるものが違うらしい。


「どれも美味そうだな!三蔵は何食う?」
「俺はいらねえよ。食ってきた」
「そっか。なあなあ、トーストとサラダと目玉焼きのセットとホットケーキ頼んでいい?あ、ベーコンとソーセージどっちがいいと思う?それとデザートもいるよなやっぱり」
「朝からどんだけ食う気なんだてめぇは」
「え?普通じゃね?」
「普通じゃねえ。というか見てるだけで胃もたれしそうだから減らせ」
「え〜」


あまり納得できなかったけど、三蔵がおごってくれるって言ったから素直に従った。とりあえず俺はホットケーキを、三蔵はコーヒーを頼む。
それから10分くらいするとすぐに運ばれてきた。

うん、すげえ美味そう。メイプルシロップの香りが心地いい。ホットケーキは2枚。
そのうち1枚を4分の1くらいにカットしてからオレは一口でほおばった。


「…もっとゆっくり食ったらどうだ?」
「いーの。このほうが食ってるって感じするんだから」


そう言ってまたホットケーキを食べる。やっぱ美味い。ホットケーキってよく焦がしちゃうからうまくつくれないんだよな。実はけっこう難しい。

三蔵は煙草片手に、なんだか上品にコーヒーを飲んでいる。なんかどっかの偉い社長みたいな感じだった。


「で、この後どうする?」
「お前はどうしたい」
「質問に質問で返すなよ…。三蔵はサボったときどこで何してんの?」
「…家だな。ずっと寝てる」
「……あまり参考にならないかも」


これから三蔵の家に行って寝るってのは却下。三蔵の家は気になるけど、せっかくサボってるんだからもっと別のことがしたい。三蔵もしたことないようなこと。
そこでふとひらめいた。


「あ、じゃあゲーセン行きたい!」
「ゲーセン?」
「三蔵ってゲーセン行ったことなさそうだし」
「…まあ、ないな」
「だろ?行こうぜ!すっげえ楽しいから!」
「……」


そしてその提案は採用され、俺たちは食べ終わるとすぐにゲーセンに向かった。
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