World End
□第13話 「その先の真実は」
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第13話 「その先の真実は」
窓から入ってくる程良い温度の風に、いけないとは思いつつ、知らず瞼が下がってくるのを、ふるりと頭を振って紛らわす。
尚護は、必死に睡魔と闘っていた。
「尚護…、院に着くまで二日もかかるんだ。
今の内に寝ておけ」
尚護の様子を見ていた周臥が声をかける。
「それに」と、ちらりと将汰を一瞥し、
「将汰も。
二人とも寝不足なんだろ?」
周臥に含みのある笑みを向けられ、尚護と将汰は幾分頬を赤くした。
何もかも、お見通しなのだ、周臥には。
尚護はそう納得し、ベッドに向かおうとして、ふと、周臥に向き直る。
「周兄、俺が起きるまで話は…」
「二人が起きたらまとめて話すよ」
だから早く体を休めろ、と暗に心配してくれている周臥に感謝しつつ、尚護はベッドに潜り込んだ。
隣のベッドに入った将汰は、やはり気疲れしていたのか、既に寝息をたてている。
しばらくそれを眺めていた尚護だが、やがて、将汰の規則的な呼吸に眠気を誘われ、小さく欠伸をして目を閉じた。
相も変わらず、暗闇になれば、嫌な光景が浮かんでくるけれど。
もう、取り乱したりしない。
背中を押してくれる兄貴分がいる。
隣を歩いてくれる友人がいる。
いつの間にか、悪夢も見なくなっていた。
尚護は久し振りに、深い眠りに就いた。
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