海賊-

□シガレット・ビター
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1.


ナミが予測したとおり、2日後の昼、船は次の島へと到着した。

「ロビンの話だと、ログポースが貯まるまで3日位かかるらしいから…陸に降りる前に、船番きめちゃいましょう」

今にも飛び出していきそうに、うずうずと身体を揺らすルフィの首根っこを押さえながらナミが言う。
錨を完全に下ろしきったゾロは、皆の方へとそっと振り向いた。

「とりあえず、チョッパー、午後の見張りお願いできる?」
「おう!任せろ!」

可愛らしく胸を張るチョッパーの姿に、周りの空気が綻ぶ。

「夜はサンジ君、お願いね。明日の午前はロビンで、午後は私が残るわ」
「そんな、ロビンちゃんもナミさんも、船番なんてしなくていいですよ〜!代わりにこの長っパナかクソマリモにでもさせればいいんです!」
「うーん、ウソップを船番にすると、ルフィのお守りがいなくなるのよね……。じゃあ、ルフィとウソップ、明日の午前の番をお願い。午後はそのまま私で、夜は……ゾロ、お願いね。3日目のお昼には全員いったん船に戻ってきて、その後手分けして買出ししましょう」

含みのある言い方に、ゾロは軽く眉を顰めた。
頷きだけで返事を返すと、ナミの目が楽しげに細められる。

「……?」

不思議そうに、ナミと自分を見比べるサンジの視線に気づいて、ゾロは益々眉を顰めた。

「……一応お金は渡しておくけど、くれぐれも無駄遣いしないように!それから絶対に揉め事は起こさないでね!ウソップ、ルフィのお守り頼んだわよ。何かあったら、置き去りにするからね?」
「うっ…ががが頑張るけどよ!けど、アイツが暴走したら止められる自信はねぇぞ俺は!ゾロが一緒に居れば…っ」

何とか対処できるんじゃねえか?と続けようとして、ウソップはそのまま言葉を飲み込んだ。
突然、斜め45度後方から、凄まじい殺気が放たれたからだ。
ウソップの記憶違いでなければ、そこに居るのは確か……金髪のクソコックだ。
事実を言おうとしただけなのに、なぜ?とダラダラ冷や汗を流すウソップを他所に、

「あら、ゾロは駄目よ」

ときっぱりとナミが言った。
人間の1人や2人射殺せそうだった視線が逸れ、ウソップがこっそりと息をついた。

「ゾロには、私とロビンの買い物に付き合ってもらうことになってるの。だから、駄目v」

ぎょっと目を見開いてサンジとゾロがナミを見る。

「…そんな、こんなクソマリモじゃなくて、俺をお供に連れて行って下さいよ。喜んでどこまででもお付き合いさせて頂くのに〜」

へラッと引きつった笑顔を浮かべてサンジがナミの手を握ろうとすると、ナミはさりげなくその手をかわしながら、にっこりと笑って言った。

「……そんなに、女の子とゾロを一緒に居させたくないの?」
「べ…っつに、そういうわけじゃ…ナミさんとロビンちゃんと、一緒に居たいだけだよ?」
「そう?でもごめんね〜、もうゾロに頼んじゃったの。…ゾロも、買いたいものがあるって言ってたから…」


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