海賊-

□Nude
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1.


いつものように、美味くて騒がしくて、まるで嵐のような夕食の後。
挨拶もそこそこに、腹のはちきれそうになったルフィがキッチンを飛び出していこうとするのを、チョッパーが慌てて呼び止めた。
「風呂に入るなら一緒に入ってくれ」と小さな踵をもじもじさせながら言うのを何気なくテーブルの向かいの席で聞いていたゾロは、ふいに興味が引かれて二人を見守った。
ルフィがすぐに、いいぞと答え、ホントか?とチョッパーがその円らな瞳を輝かせる。
楽しそうな二人の様子に、ふうん、と首を傾げて、ゾロはぐいっと残りの酒を煽った。
口元を指先で拭いながら、ルフィの名を呼ぶ。

「何だ?ゾロ」
「いや…、二人で風呂、入るのか?」
「おう!チョッパー洗うと面白ぇんだ!!モコモコの毛がツルツルんなって、すっげー気持ちいいんだっ」

ししっと独特の笑みを満面に浮かべながらルフィが言うと、チョッパーが照れくさそうに帽子を踵で押さえた。

「俺一人じゃ、自分の身体上手く洗えねぇんだ。だからいつもルフィとかウソップと一緒に入って洗ってもらってるんだ」
「へぇ…知らなかった。じゃあ今日は、俺と一緒に入るか?」
「「「え!?」」」

ルフィの言葉とチョッパーの様子に目を細めてそう口にした途端、四方からぎょっとしたような声が上がった。
一つはチョッパーの、もう一つはルフィの、そしてもう一つはシンクで皿を洗っていたサンジの声だった。
嬉しそうに瞳をキラキラさせるチョッパーとは対照的に、ルフィとサンジはあからさまに嫌そうな顔でこちらを凝視してくる。
刺すような視線に怯んで、傍に来ていたチョッパーの身体を無意識に抱き寄せると、突き刺すような視線がますます鋭くなった。

「…何だよ急に…お前らそんなにチョッパーと風呂、入りたかったのか…?」

困惑して尋ねると、ルフィが駄々っ子のように両足をバタバタさせて、「俺もゾロと入りてぇ!」と叫んだ。
その言葉にサンジがスポンジを握り千切る勢いで引き絞りながら、青筋立てたエライ形相でルフィを睨んだ。

「あ!?なんか言ったかクソゴム!」
「俺もゾロと入りてぇ!」
「〜〜っ忌々しい言葉を繰り返してんじゃねぇよゴム!それ以上言ってみろ!簀巻きにしてメリーさんから吊るすぞコラァ!」
「ひでぇなサンジ〜!何でお前がそんな怒るんだ〜?」

わかんねぇ、と首を傾げるルフィに、キイキイとヒステリーを起こした女のようにサンジが怒鳴りつけている。
どうしよう、と視線を彷徨わすと、ナミが今の内に風呂に行けとジェスチャーしてくる。
その隣ではロビンとウソップが肩を竦めて笑っていて。
行くか?と腕の中の小さな船医に目で尋ねれば、こくんと可愛らしい頷きが返ってきた。
そっと気配を殺してキッチンを出る。
ドアを閉めた後も漏れ聞こえてくる怒声に、その内ナミが拳骨を落として強制終了させる姿が思い浮かばれて、ゾロは密かに溜息をついた。



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