海賊-

□その曖昧な距離 
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1.


手を伸ばす先に、一縷の光。

掴めない腕の代わりに影を踏む。

ねえ。

そんなに遠くに行かないで。

貴方はいつも生き急ぐ。

どれだけ抱きしめても、

どれだけ身体を繋げても、

どれだけ言葉をつくしてみても、

甘えて擦り寄って来た数分後には

するりとこの腕から抜け出して行ってしまう。

未練など微塵も感じられない、潔いその背中に。

引き留めそうになった手は

いつも虚しくシーツを掻くのだ。



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