パラレル-

□それはある日の素敵な接触
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ロビンに頭や身体を撫でられること。
風呂から上がった後に、ドライヤーとかいう奴で身体を乾かされること。
ロビンの膝の上で、背を撫でられながらデレデレと気持ち良さそうに鼻の下を伸ばすサンジを見ること。
飼い主にすら触れられるのをあまり好まないゾロが、ロビンに触れられて平気なはずは当然無く、身体を洗われている間だけは尻尾の先までガチガチに身を張り詰めさせてどうにか耐えることができるが、それが済んでバスタオルで身体を拭かれた後はもうそれ以上耐え切れずにダッシュでロビンの傍から離れてしまう。
いつも陽の元でサンジに手伝ってもらいながら丹念に舐め乾かしている毛を、煩くて熱いばかりの人工の風で乾かされるのは気持ち悪かったし、自分を放っておいてロビンにデレデレと甘えているサンジを見るのもなんだか妙に癪だった。

「……ふん、そういうてめぇは、随分とあの女に懐いてるみてぇじゃねぇか」

昨日などはロビンと二人仲良く頬を擦り寄せ合って、まるで煮崩れしかけた煮物みたいに顔を綻ばせていたのだ、こいつは。
思い出したら何故か腹の中がムカムカしてきてボソッと呟くと、サンジが嬉しそうにニヤッと笑って尻尾を巻きつけてきた。

「なんだゾロ、もしかしてロビンちゃんにヤキモチ焼いてる?」
「なっ、んなわけあるかアホ!」
「はいはい、テレないテレない。あ〜んもう、可愛いなぁゾロってば!」

喉を鳴らしながらぎゅむぎゅむと抱きついてきたサンジが、嬉々として口元や喉元をぺろぺろと舐めてくる。
ゲシゲシと蹴りを入れていた足までいつの間にか深く絡ませられて、仰向けになった身体に圧し掛かられていた。

「…ん…っ……」

擦りあげられた尻尾から、甘い痺れがじわりと脊髄を駆け上がる。
腰がトロリと蕩けて熱を持つ。
我慢できずにゴロゴロと喉を鳴らしながら口元に触れるサンジの耳をカプリと甘噛みすると、痛そうにちょっとだけ顔を顰めたサンジが、笑いながらお返しとばかりに首筋を甘噛みしてきた。
ヒクン、と思わず首が竦む。

「くくっ、あんたって本当に可愛い…。心配しなくても、俺はいつだってあんたに夢中だよ?」

あんたのこの宝石みたいに綺麗な眼も、濡れ羽色の柔らかな毛も、しなやかな四肢も、男前なのに天然さんな性格も、みんなみんな、だぁい好き。
屈託なくそう囁きながら、甘えるようにスリスリと白い頭を腹の辺りに擦り付けてくるサンジは、まるで満腹になって寝そべっているときみたいに幸せそうに見えて。
そのふにゃりと雪崩を起した笑顔を見ていると、腹の中がほっこりしてきて、嘘でも「ウゼェ、離せ」なんてゾロには言えなくなってしまった。

「……アホサンジ」

小さく悪態をついて、サンジの頭を抱き締める。
満足気にゴロゴロと白い喉を鳴らし、やがて腹の上でスウスウと寝息を零しだしたサンジにゾロは小さく笑みを零した。
白い項に顔を埋め、洗い立ての石鹸の匂いとサンジの匂いをかぐ。
ポカポカと温かな体温と陽気に誘われて、ゾロもゆるゆると廻ってきた眠気に身を委ねた。








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