10年経て

□気まずい2人
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綱吉と喧嘩したまま年を越した。


ずっと気まずく、隣の家だというのに年越しの挨拶もしないまま3学期が始まった。



「じみさん、ますます美人になってね?」
「やべーー、俺マジであいつ好きかも」

クラスの雰囲気はいつもに増して鬱陶しく、私は必要以上にイライラしていた。
放課後、クラスメートの宿題を集め、教室を出ると「やあ」と声をかけられた。

「ひ、雲雀さん...!!」
「明けましておめでとう」
「明けましておめでとうございます」

そこに居たのはクリスマス以来の雲雀さんだった。その姿と、低い声で停電の時の事を思い出し、体がカーッと熱くなる。


「ワオ。何その反応?やっと僕のこと好きになったの?」
「な、何がですか?」
「ムスっとしてたのに、声かけた瞬間、顔赤くしちゃってさ」
「ち、違いますよ!この前、変な事したから!」
「してないけど」
「しました....!!」
「じゃあ金輪際声をかけたらいけない?」
「くっ.......」

それは少し寂しい。
言葉に詰まっていると、雲雀さんは私の顔を覗き込んだ。

「ふ、可愛いね」
「.....っ!揶揄わないでください////」

私は本当に、雲雀さんから言われる可愛いだけにはずっと耐性が付かないようだ。

「そ、そんな事より私急いでるんですけど」
「委員会でしょ?僕も出席するからね」
「職員室に寄らないといけないんです」
「そう、じゃあ一緒に行こう」

雲雀さんは私が持ってた30冊ほどのノートを持ってくれた。

「良いですよ、私の仕事なんで....あっ、雲雀さん!」

雲雀さんは先にスタスタ歩いて行ってしまった。
一緒に職員室行くと、職員室の空気は雲雀さんによって凍りついていた。
そして委員会に向かう。
もう開始時間 1分前なのに雲雀さんは優雅に歩いている。

「雲雀さん早くしないと始まっちゃいますよ」
「僕が居ないと始まらないから大丈夫」

なるほどと思いつつひょこひょこ後をついて行った。

ガラッと雲雀さんが会議室に入ると、風紀委員はお辞儀をし、委員長たちは背筋をピンとさせた。
「始めて」

私はそそくさと自分の席に座った。
委員会は学期初めだけ。つまり今回は3回目にして最後だ。
そして来年度の生徒会長、委員長候補の名前を挙げるという議題も出た。

生徒会長が順番に候補を聞く。
「風紀委員は......」
「風紀委員は変わらず。僕が委員長で草壁が副委員長だよ」


え!?あの人3年生だよね?!卒業しないの!?何でもありなの!?

生徒会長はですよねって感じで黒板に文字を書いていく。

「それと新しく。風紀委員に秘書を入れる。
彼女」
雲雀さんは指を指した。私に。視線が一気に集まる。

「ええぇぇぇえ!?何言ってるんですか絶対嫌ですよ!!!」
「今年に入ってから爆弾持ち込んだり、裸で暴れる草食動物が出てきたからね。仕事が増えたんだ。異議ある人、いないよね?」
「はいはいはい!ちょっ!無視しないで下さいよ!何で?ねぇ!」

生徒会長は私の名前を黒板に書いていく。
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