雲の上のピアニスト

□コントロール
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「委員長!おはようございます!」
「おはよう」
「昨日の下校時刻違反者はゼロでした!」
「ふああぁ......」


昨日はいつも以上に眠れなかった。
いくら寝ようとしても「雲雀さんは優しい」と言ってきた時の美玲の顔を思い出しては胸が苦しくなった。

「はぁ.....」
「委員長、何か悩み事でも.....?」
「僕が?」
「い、いえ!ため息が多かったので....」

無意識にため息が何度も出ていたようだ。


「僕に悩み事なんてあるわけないでしょ」
「で、ですよね!」
「じゃあ、見回り行ってくるから」
「はっ!行ってらっしゃいませ!」


朝の報告を受けて僕は校内の見回りに行った。
授業をサボってる生徒がいれば咬み殺す。


と言っても、授業をサボっている生徒なんてそう居らず。
校内を一周すればそのまま屋上へ向かうのが僕の日課だ。



廊下からグランドを眺めると1-Aが体育の授業でマラソンをしていた。
僕は無意識に美玲を探した。

先頭を走るのは山本武。
そして男子のビリには沢田綱吉と獄寺隼人....。
獄寺隼人が沢田綱吉の背中を押しながら走っている。



そしてその後ろに.......美玲がいた。

(足おっそ.....)


彼女はどうやら体力がないらしい。
そういえば昨日もすぐ息を切らしていた。
ピアノを何時間も弾けるというのに不思議な気もする。
彼女の走りを見ていると、苦しそうな顔をしながら僕に気がついた。

僕の顔を見て緩んだ笑顔を見せてきた。


まただ。
また、胸が苦しくなった。

彼女は前を向いてペースを上げて沢田綱吉を抜いた。
そしてまた、僕を見て小さくピースしてきた。

すると足がもつれた。

「!」



転びかけた美玲を獄寺隼人が服を引っ張ってとりとめた。

「はぁ....」

危なかった。あのまま転んでたら手を怪我していたかもしれない。
会話は聞こえないが、獄寺隼人は美玲に文句を言っていて美玲はペコペコしながら走っている。
仲良いのかな......。



また胸が苦しくなった。






僕は屋上に向かうことにした。





(「てめ!10代目の前で転んだら10代目が怪我するだろ!何よそ見してんだ!」
「ごめんなさい〜!!」
「ぜぇぜぇ......」(疲れすぎてツッコミどころじゃないツナ))
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