エピソードまとめ
□Final
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ep.Final 英雄の雛鳥達
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〔獣の群れ〕オタグリ、ワービー、ウリドン
「獣ですね……!」
「ああ……。お前達三人は同郷の出身だったな」
「ええ、そうです。いわゆる"幼馴染み"ですね。ほとんど家族と言ってもいい」
「家族同然の幼馴染み……か。確かお前達の故郷は……」
「え?なにかおっしゃいましたか?」
「ああ……すまない。戦闘中に話すことではなかったな。さっさと終わらせるぞ!シモン!」
「了解です!」
獣討伐後。
「よし、片付きましたね。えっと……村へ行くには、この五差路を左に行けばいいですよね?」
「ああ。そのはずだ」
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999Y.C. 森国シルヴェーア アンスワン森林
〔道中会話〕
「それでなんの話でしたっけ?」
「ああ……。まあたいした話じゃないさ……。お前は常にフルカード達を最優先に考えているのだな」
「はい。大事な家族のようなものですから、なにを犠牲にしても守りますよ」
「そうか」
「すみません。軍人たるもの、やはり大事なものを問われたら……、"法王聖下"や"源獣様"と答えるべきでしたか?」
「構わないさ。個人の感情に根ざした信念は強いからな。……ただ、シモン。身内最優先の考え方は時に祖国への失望にも繋がるぞ。私やガスパルのように………」
「ん?」
〔獣の群れ〕オタオタ、ガルル、クランチャ、ガルグラン
「そういえば教官とガスパルさんって、どういったご関係なんですか?」
「関係だと?」
「あ……いえ、答えづらいなら別に……」
「そんなことはない。お前やフルカードと同じ、昔馴染みというヤツだ」
「へえ、そうだったんですね。ということはお二人も同郷の……」
「ああそう……いや、シモン。今は戦闘中だ。悠長に話している場合ではないぞ!」
「そ、そうでしたね!」
獣討伐後。
「邪魔者は消えたな行こう。腹を割って話すというのは、意外と難しいものだな………」
「教官大丈夫ですか?なんだかお疲れのようですけど……」
「……気にするな」
〔道中会話〕
「それで?ガスパルさんとは……」
「ああ、その話か。お前が言っていた通り同郷の人間だよ。子どもの頃は妹のアニエスと共によく遊んだ仲だ」
「へえ。教官って、妹さんがいらっしゃるんですね」
「ああ。アニエスは………、この世に自分の居場所などないのだと主張するガスパルに、花畑を作ってやるような優しい子だったよ」
「だった……?」
「……亡くなったよ幼い頃にな」
「え……」
「こんな時世だそう驚くことでもあるまい。……まあ、私とガスパルにとっては最大の転機だったがな。お前が気にすることじゃない」
「教官……」
「……少々喋り過ぎたな。忘れてくれ」
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コルテン村の門の前に、ガルルやガルグランなど、大量の獣が群がっていた。
「な!あれは……!」
「まずいな……。村に侵入される前にここで片付けるぞ」
「はい!」
2人は武器持ち、獣の群れへと走った。
〔戦闘会話1〕
「こいつが村を襲っているという、獣でしょうか?」
「どうだろうな。だがいずれにせよ、放置するわけにはいかない。まずは、こいつを倒して村の安全を確保するぞ」
「了解です!」
〔戦闘会話2〕
「なかなかしぶといですね……」
「どうした?逃げ帰りたくなったか?」
「いえ、それはないです。教官が一緒だと思うと何者にも負ける気がしませんから」
「そうか……。今はそれでもいいが、お前ももっと剣を磨き、この程度の相手、一人で叩けるようにならねばな」
「そうですね………。いつかそうなれるよう、教官の下でもっともっと学ばせて下さい!」
「ふっ」
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「とりあえず片付きましたね」
獣を倒し終わり2人は武器を収めた。
「ああ。だがこれで一件落着とは思えん。村で状況を確認しよう。……時にシモン。……お前は私の顔に覚えはあるか?」
「え?……すみません、なにを尋ねられているのか……」
「……そうか」
「逆にお尋ねしますが、教官は僕になにか覚えがあるんですか?」
「それは……」
「おいそこのあんたら!ちょっといいかい」
リゼットが言い淀んでいると、後ろから大声で話しかけられた。
「あ……、村の方でしょうか。僕達のこと呼んでいるみたいですね。行きましょうか教官」
「そうだな………。……シモン」
「はい?」
「お前の疑問に関しては、改めて説明する機会をくれ」
「……ええ、楽しみにしています」
「ああ……。では、行こうか」
複雑そうな顔をして頷き、リゼットはユーゴ共に、声をかけてきた男の元へ向かうのだった。