エピソードまとめ
□Final
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ep.Final 英雄の雛鳥達
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村の真ん中に設立された、式典会場へ着くと、金色の像が目に付いた。
5人の大人と子供の像だった。
「これって……」
「追悼祈念の被害者像が、作られてるとは聞いてたけど…………」
「ちょっとユーゴに似てるね……」
真ん中で木の生えた植木鉢を持つ男の子の像を見てセリアが呟く。
「……ああ」
ユーゴ自身から見ても、どことなくその像は幼き自分に似ていた。
「追悼の気持ちはありがたいけど……なんつうか……なあ?」
心配そうにレオがユーゴを見つめる。
「僕なら大丈夫だよ。……レオは優しいね」
「ユーゴ……」
ユーゴは大丈夫だと言ったが、それでもレオは心配だった。
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「よし、だいぶ確認できたわね」
「これでどこから悪人が現れても大丈夫だな」
「いや……現れない方がいいと思うけど……」
力強くそう言ったレオに、セリアはツッコミをいれる。
「それにしても不可解だ……」
「なにが?」
ユーゴの言葉にセリアは首を傾げる。
「護衛に関しての僕達、学生の採用が、だよ」
「それは、ル・サント出身だからだろ?」
「……そんなパフォーマンスの意図だけで……法王の守りが薄くなるような真似をするかな………」
「ま、いざとなれば教官もいるわけだし、大丈夫だろ」
「教官ね……」
含みを持たせるようにそう呟いたユーゴに、セリアもレオも首を傾げる。
「遅くなってすまない」
凛とした声が聞こえて、セリアは振り返った。
「あ、教官!」
噂をすればなんとやらだ、とセリア達は連邦兵を引き連れてきた教官の元へ向かった。
「間もなく式典が始まる。お前達はこのまま護衛の任に就いてくれ」
「了解です。でも本当にいいんですか?私達で……」
「……聖下直々のご指名だ。従うしかあるまい。まあ安心しろ。お前達はすでにそこらの聖騎士より使える」
信頼したようにリゼットはそう言った。
「教官……」
「では、私は入り口の警備につく。あとは頼んだぞお前達」
「は、はい!」
リゼットが兵を連れて去っていき、セリア達も式典警護の為、配置に着くのであった。
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それから直ぐに式典は始まった。
「……ではこれより、法王聖下からのお言葉を賜りたいと思います」
用意されたステージの上に、青い髪に神々しい髪飾りを付けた少女のような姿をした、女性が現れた。
「挨拶の前にまずは皆で祈るとしよう。かの惨劇の犠牲となられた、ル・サント村の人々のマナが、源獣の御許で安らかなる眠りの中にあらんことを」
法王聖下の言葉に従い、皆祈りを捧げる。
「創神歴990年……今から遡ること9年前。このル・サントを語るも悍ましい惨禍が襲った。帝国による、警告もなしの民間人大虐殺。如何に戦時下といえど、あまりにも人道にもとるこの行為。到底容認できるものではない」
法王は静かにそう語る。
「しかしながら帝国は現在でも、この蛮行への関与を否定する始末……」
「……くっ」
レオがギュッと拳を握る。
「帝国はどうしてこの件だけ頑として認めないんだろう……」
セリアは長年の疑問を呟く。
「それが奴らのやり方だからに決まってるだろ。帝国のせいでばあちゃんは…………」
「レオ……」
「本当にそうなのかな?」
どこか冷めたようにユーゴはそう吐き捨てた。
「ユーゴ?」
急にどうした、と言うように2人はユーゴを振り返って見る。
「……二人とも落ち着いて聞いて欲しい」
ユーゴは何か決心したように、レオとセリアを真っ直ぐ見た。
「ようやく、僕の中で記憶の整理がついたんだ」
「どうしたんだよ、改まって……」
「レオ、セリア、実は…………」
「今だかかれえ!」
ユーゴの話し声は、突如大声にかき消された。
「なんだ!?」
急に傍聴していた民衆が、武器を取りだし暴れだした。
「聴衆がどうして!?」
三人は急いで各々の武器を手に取った。
「民間の参列者の身元は厳重に……!」
「それでも賊が紛れてたってことだろ?だったら今は法王様を守らねえと!」
そう言ってレオは猪一に駆けていく。セリアは逆に聴衆たちから距離をとって弓を引いた。
「……法王を」
ユーゴは剣を握ったまま、複雑そうな顔をして動かない。
「ユーゴ!」
動かないユーゴをレオが呼ぶ。
「ああ……そうだね。今は……そうしよう」
ユーゴはそう呟いて、レオの傍に駆け寄った。
「っしゃあいくぜえ!」
レオはそう気高く叫んで、刀を振るうのだった。
〔戦闘会話1〕
レ「くそ……まだ来んのかよ」
セ「早く対処するわよ!」
セ「ねえ……この人達が装備してるのって、リアクターよね?」
レ「つまり……帝国兵ってことか。でもこの動きは……」
ユ「訓練を受けた軍人のそれではないね。恐らくは連邦の民間人を操っているんだろう」
レ「くそっ……。相変わらず、帝国のやり口は気高くねえな!」
ユ「……本当にそうなのかな」
〔戦闘会話2〕
ユ「これで終わり……とは行かなそうだ」
セ「みたいね……。もう、なんだって、こんなことになってるのよ?」
ユ「確かにこの状況………普通じゃ考えられないよね。となるとこれは……」
セ「とにかくできるだけ、傷つけないよう制圧しないと!」
レ「ああ!気高くいくぜ!」