エピソードまとめ
□Final
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ep.Final 英雄の雛鳥達
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〔戦闘会話 VS帝国兵〕
「たかだか二人きりの増援になにができる!リアクターの方とくと味わうがいい!」
レ「リアクターか……。帝国の技術ってのはホント厄介だ」
リ「確かにな。だが我々もこいつらに味わわせてやろう。連邦のエンブリオの力をな」
レ「ああ、そうっすねえ!」
〔戦闘会話 帝国兵援軍1〕
レ「向こうも増援かよ!しかもまたリアクター持ち……」
リ「これだけのリアクターを作るのに、どれだけ源獣を削ったんだろうな」
レ「……なりふり構わない側の方が強いか……」
リ「世の中は慨してそんなものだろう」
レ「だとしても俺はこの"気高さ"を胸に、 最後まで戦い抜いてみせます!」
リ「…ああ。それも立派な"強さ"だよフルカード」
〔戦闘会話 帝国兵援軍2〕
リ「チッ…まだ来るか。これだけいたのでは、シモン達が向かった方も……」
レ「あいつらなら大丈夫っすよ!だって二人は教官の生徒なんすから!」
リ「……そうだったな。お前も今や立派なブレイズの一員だったな……」
レ「そうっすよ!帝国兵なんて教官の酷い授業内容と比べりゃ全然なんてこと……」
リ「フルカード。なにか言ったか?」
レ「いいえ!なんでもございません!」
「ふっ……」
〔戦闘会話 帝国兵援軍3〕
リ「この数……さすがは帝国領といったところか……」
レ「ですね……。本当はまだわからないです連邦と帝国、どっちの支配下にあるのが、この村の幸せなのか。けど俺はやっぱり連邦を……騎士の心を教えてくれた教官やみんながいる、連邦こそを信じて戦おうと思います!」
リ「…それがお前の今の答えなのだな。いい覚悟だならばこの任務……絶対に成功させねばな!」
〔エリア外に出ようとした場合〕
リ「そちらはシモンに任せて、我々はここを叩くぞ!」
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「これで終わり……っすかね?」
レオはそっと刀を鞘にしまった。
「ああ。……他の帝国兵も、撤退を始めているようだ。お前の言い方を借りれば……、現時点をもってカシュール村は帝国軍より"解放"された」
「……っしゃあ!やったぜえ!」
リゼットの言葉にレオは大手を振って喜んだ。
「さて、帝国兵達が使用していた。リアクターも処分しないとな」
「そうっすね。こんなもん放置して、誰かが間違えて使ったら大変なことに……」
「本当にそうかな?」
セリアと共に戻ってきたユーゴが、そう言った。
「ユーゴ?」
「リアクターが連邦に出回ることの、なにが問題なんだい?」
「なにがって、そんなの………」
「リアクターが出回って困るのは、民衆じゃない。もっと上の……源獣信仰が揺らぐとマズい人間達。要は法王や、アルコニスの……」
「ユーゴ!」
あまりの不敬な発言に、レオはユーゴを叱責するように名を呼んだ。
「お前どうしたんだよ?忘れちまったのか?俺達の…故郷のことを……。故郷を襲った、惨劇の元凶を」
「ちょ、ちょっとレオ!」
喧嘩腰のレオを見て、セリアが慌てて止める。
「……忘れるわけないだろう。あの惨劇のことがあるからこそ、今の僕にはもう……」
「シモン……」
リゼットが眉を下げ、ユーゴを見つめると、彼は顔を背けた。
「……先に、騎士学校に戻ります」
「おい、シモン!」
勝手に帰るユーゴを引き留めようと声をかけたが、彼は止まらなかった。
「……ユーゴ。俺は………お前が今、なにを見据え、連邦のなにに使ってるのか正直わかんねえよ。ごめんなユーゴ」
ぽつり、とレオが呟いて、顔を上げる。
「けどさ……それでも……。俺はやっぱりこの戦果を誇りに思っちまうんだよ。最高に気高い仲間達が勝ち取ったこの笑顔をさ」
レオが見つめる先には、笑い合うカシュール村の人々があるのだった。
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990Y.C. 森国シルヴェーア ル・サント村
「うう……」
幼きユーゴは呻き声を上げて、森の中で目を覚ました。
「レ…オ……?」
ゆっくりと起き上がりながら、倒れる前に、先程一緒に居たはずのレオの姿を探した。
「あれは……」
周りにレオの姿はなく、村の方が赤く染まっているのが見えた。
「はあ……はあ………」
ユーゴは急いでル・サント村まで走った。
「なっ……」
村の入口で、ユーゴは足を止める。
「……まさか、帝国軍が村を……どうして……。どうしてこんな……!」
村は轟々と上がる火で燃え、そこには灰色の化け物が彷徨いていた。
「くっ……」
ユーゴはぐっと拳を握る。
「……行かなきゃ。レオを……助けに……… 」
「ふざけるな!」
「え……?」
村の中へ入ろうとしたユーゴは後ろから聞こえた女の声に振り返った。
「無辜の民を傷つける任務など、あってたまるか!だからそれは……!」
「ハッ……」
声のする方へ行けば、連邦軍の鎧を着た、薄紫色のショートヘアの女性が、耳に手を当て1人で何かを呟いていた。
「それになんだあれは!なぜ村に火など……!は?」
女は耳元から聞こえた声に、驚きの声を上げた。
「これは"帝国の仕業"?なにを言って………」
「やっぱり……帝国兵が…僕達を………」
ユーゴは木の影に隠れ、女の話を聞いていた。
「いや……そういうことか。ル・サントに起きたことの責任を帝国に押しつける算段なのだな?作戦時に帝国軍の装備を纏わせたのもそのためか……」
女は耳ともに付けた小型の通信機を切り俯いた。
「……なにが、"よくやった"だ……私はいったい。なんのためにここまで……」
「そんな……」
ユーゴは、ショックから大きな声を上げてしまった。
「な、キミは……!どうしてここに………」
女は、ばっと後ろを振り返った。
「村を襲ったのは……帝国軍じゃなくて……"連邦軍"だなんて……」
「聞かれていたか……!」
女は冷や汗を流す。
「まずいな……。今ここで私が見逃したとしても、"奴ら"は些細な情報の漏れも決して見逃さない。この子は必ず殺される。ならば私にできることは……」
女は呟き考える。
「記憶改さんと共に……できれば、強烈な連邦不信を刻むこと。それが……この子を唯一、救える手段か……」
女は腰のホルダーから銃を抜いた。
「……ガスパル。例の弾使わせてもらうぞ」
そう言って、女は銃口をユーゴへと向けるのだった。
「ど、どうして……!こんなのあんまりだ!」
尻もちをついて、ユーゴがそう叫ぶ。
「黙れ。余計な口を開けば眉間を撃ち抜く」
「うう……!」
「いい子だ。では特別授業といこう」
「はあ……はあ……!」
恐怖で、ユーゴの瞳からボロボロと涙が溢れる。
「これが恐怖。そして………」
女はユーゴの耳元に顔を寄せた。
「祖国などお前の方から見限れ。愛する者のためにこそ生きろ」
「な……!」
驚いて、ユーゴは目を見開く。
「待っ……」
銃声と共に、ユーゴはぐったりと倒れた。
「これが死だ」
ゆっくりと瞼が落ちていく、ユーゴを女は見下ろした。
「……これで記憶に蓋ができただろう……」
女はユーゴから視線をずらした。
「悪かったな、少年。うまく教えてやれなくて………。私は前線を退き、もう少し学ぶべきなのかもな。"人に教える"ということについて」
銃口をしまって背を向ける。
「……お前達も、そう思わないか?アニエス……ガスパル……」
そう言って、女─リゼットは、空を見上げるのだった。