エピソードまとめ
□Final
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ep.Final 英雄の雛鳥達
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3人はディランブレ戦傷地帯を進んで、カシュール村の前まで着いた。
「……そろそろ、村に着きそうですね。でも、あれは……」
カシュール村より少し手前の獣避けの門の前に帝国兵が並んでいる。
「奴らの増援が来たぞ!絶対に村へ入れるな!」
「どうやら私達の到着を待たず、作戦は開始されたらしい」
「ということはセリアが……!くそっ……!」
そう言ってユーゴが1人で駆けていく。
「あ、おい。ユーゴ!」
「ああ……」
「がはあ……」
ユーゴは門番の兵を切り倒し、勝手に1人で先に行った。
「教官!急いで加勢しないと!」
「ああ。だが、その前にフルカード。……心の準備はできたか?」
「……はい」
レオは静かに頷いた。
「教官と話したら少しだけ整理がつきました」
「そうか。なら行くぞ!」
そう言って2人が門の中へ飛び込むと、大量の帝国軍が待ち構えていた。
ユーゴの姿はなく、おそらく無理やり突っ切って居たのだろう。
レオは刀を、リゼットは双銃を構え、帝国兵へ向かっていった。
〔戦闘会話〕
レ「確かにこの世界には、色んな事情や考え方があって……俺にはまだ正解がなにかなんて、わかりそうもない」
リ「……誰もがそうさ」
レ「ですよね。でも、だったら今はとにかく 俺は俺の信念を……ばあちゃん譲りの気高さを胸に、この戦争を生き抜くだけです!」
リ「……良く言った。さすがは私の生徒だ」
レ「当たり前っすよ!教官!」
戦闘後。
レ「よし片付いたな」
リ「では村に突入するぞ、フルカード!」
レ「はい。カシュール村を……帝国軍から"解放"しましょう!」
リ「……ああ。そうだな」
レ「待ってろよセリア……ユーゴ」
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カシュール村の入口前に連邦兵が1人、男の子と女の子の子供達を守るように居た。
「あなた方は……」
「増援だ。まったく、なんだこの在り様は」
村の手前で既に見えるのは帝国兵と連邦兵の死体と、民間人達の死体だった。
「村の被害を最小限に抑えるための作戦ではなかったのか!」
「す、すみません」
リゼットの叱責に、兵が謝る。
「先にいた他のブレイズはどうした?」
「それが……、作戦開始前に我々の上官と揉めたあと、今は誰よりも奥に切り込んで……」
「なっ、どうしてそんな……」
レオが驚いて目を見開いた。
「セリアさんはあなた方の到着を待ってから、攻めるべきだと進言したのですが、上官がそんなものは待っていられないと……」
「チッ。その上官とやらが功を焦ったか」
「村の被害を顧みずに?なんつう気高くない戦いだよ……。でも、なんでセリアは一人で………」
「我々に無駄死にはさせられないと、無茶とわかりながらも先陣を切ってくれたんです……」
連邦兵は申し訳なさそうに説明する。
「セリア……」
「フルカード。一刻も早く加勢するぞ」
「はい!」
2人は急いで村の中に入った。
「あ、あれは……!」
入ってすぐのところで帝国兵たちが老人を囲って居るのが見えた。
「村長!貴様よくも裏切ったな!」
「そ、そんなことは決して……!」
「今まで獣から村を守ってやった恩を忘れやがって!」
「お……恩?貴方達帝国にはずっと相応の対価を払って……」
「黙れ!裏切り者は死ねえ!」
そう言って帝国兵は老人へ剣を振りかぶった。
「させるかよ!」
レオが2人の間に割り込んだ。その後ろでリゼットは帝国兵達へ銃口を向け、牽制した。
〔戦闘会話〕
「な……貴様らは……」
レ「そんなの当然正義の味方………いや。ただ気高くあらんと決意した、半人前の一兵士さ!」
リ「ふっ……」
「連邦兵か!この村からさっさと出ていけえ!」
レ「それはこっちの台詞だぜ!」
〔エリア外に出ようとした場合〕
リ「目の前に集中しろフルカード!」
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「大丈夫っすか」
帝国兵を倒し終え、レオは老人に声をかけた。
「……ええ、ありがとうございました」
老人は深々と頭を下げた。
「礼なんていらないっすよ。元はと言えば、俺達連邦軍の責任でもあるんで」
「……やはり、さすがなものですなあ。連邦の騎士様というのは」
「はは…、まだ見習いですけどね」
「そんなことは関係ありません。実に誇り高く高潔であらせられる」
「……そう言ってもらえるとありがたいっす」
「以前にも騎士見習いの方々に、お助けいただいたことがありましたが、あの方々といい貴方といい……」
老人は以前この村に任務で来ていた、プラチナブロンドの好青年と、メガネを掛けた目付きの鋭い少女を思い返していた。
「フルカード行くぞ」
話が長くなりそうなのに気づいて、リゼットが声をかける。
「りょ、了解です!じゃあ俺はこの辺で。早く逃げて下さいね!」
老人にそう声を駆けて、レオはリゼットの共に掛けた。
「はい、ご武運を」
老人はそうレオの背中に投げかけるのだった。
〔移動会話〕
リ「アルヴィエは村の奥に向かったと言っていたな」
レ「はい。急ぎましょう!」
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村を左側へ走って行くと、また帝国兵集団を見つけた。
「いた……!」
帝国兵達の前には、セリアと膝を着いたユーゴが居た。
「セリア!……ユーゴも!」
「…レオ来てくれたのね……」
レオとリゼットの顔を見て、セリアがホッとした様な顔をした。
「よく耐え抜いたな。ここからは私達に任せておけ」
「いえ……僕もやりますよそれが任務ですから……」
「でもユーゴは私を守って怪我を……
「こんな傷……なんともないさ………」
そう言ってユーゴが怪我を押して立ち上がる。
「言ったはずだ。生き残ることを優先しろと」
「その通りだぜ、ユーゴ」
ここは任せろと言うようにレオが刀を構えて前に出る。
「二人は逃げ遅れた村人がいないか見て来てくれよ。それだって解放作戦にとって、大事なことだろ?」
「………わかった。頼んだよ、レオ」
渋々と言うように頷いた後、ユーゴはセリアと共にこの場を離れていった。
「さて……ここからは私達の仕事だ。やるぞ、フルカード」
「了解です!行っくぜえええ!」
2人ともしっかりと武器を握って帝国兵達へ向かっていくのだった。