エピソードまとめ

□Final
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ep.Final 英雄の雛鳥達
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〔帝国軍 第3拠点〕
レ「よし、俺達の本領を発揮してやろうぜ!」

ユ「わかってるよ。セリアの分まで頑張ろう!」

リ「その意気だ。フォローは私に任せて、お前達は存分に暴れてみせろ」

〔兵長出陣〕
「者ども一気に畳み掛けろ!」

〔拠点制圧後〕
レ「ふう……ここもなんとかなったな」


〔道中会話〕
レ「教官が一緒にいてくれるおかげで戦場っつーのも案外楽勝っすね」

リ「あまり調子に乗るなフルカード。そういう時こそ最も命を落としやすい。目の前に集中することを忘れるんじゃないぞ」

レ「す、すみません!肝に銘じておきます!」

リ「ああ。それでいい」

ユ「……なるほど。レオ相手にも、"死"を教える"特別授業"ですか」

レ「ああ。さすがだよな、教官は!ためになるぜー」

ユ「そうだね実にためになる教えだ。心に強く刻まれるほどに」

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〔帝国軍 第4拠点〕
レ「っしゃあこの拠点も一気に叩くぜえ!」

「ま、まずいぞ。ここまで攻め込まれるなんて……」

リ「帝国側も随分逃げ腰になっているようだな」

ユ「ええ、僕達に……いや、貴女に……"恐怖"を感じているんでしょうね」

リ「……シモン。私は………」

ユ「今は目の前に集中すべきなのでは?教官」

リ「……そうだな」

〔兵長出陣〕
「お、おい!援軍はまだか!?」

〔拠点制圧後〕
レ「うっし、気高く制圧完了!」

ユ「まだまだ拠点は残っているようだけどね」

〔道中会話〕
レ「早くここ一帯を落ち着かせたら……」

ユ「ああ、すぐにセリアの待つカシュール村に向かおう」

レ「くう。腕が鳴るぜ!待ってろよ、カシュール村!俺が気高く、颯爽と帝国の支配から解き放ってやるからな!」

ユ「そうだね……」


〔道中会話〕
ユ「……教官はどう考えますか」

リ「なにがだ?」

ユ「カシュール村に関する作戦です。レオの言う通り"解放"なのか、作戦名通りの"占領"なのか」

レ「おい、ユーゴ。お前またなんだって……」

リ「構わないさ、フルカード」

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〔帝国軍 第5拠点〕
レ「ほ、ほら二人とも!戦闘に集中だ集中!」

リ「ああ、わかっている。だが一つ聞かせろ、シモン。今回の作戦への私の解釈を聞くことに意味はあるのか?」

ユ「あります。今の僕にとっては」

リ「そうか。ならばここを潰したあとに答えよう」

〔兵長出陣〕
「この俺がケリをつけてやる!」


〔道中会話〕
ユ「それで?どうなんですか?」

リ「そう急くな。カシュール村に対する連邦のアプローチは、あくまで占領。フルカードの想いを否定するわけではないが、少なくとも私は、自分や上を必要以上に正当化はしない」

レ「教官……」

ユ「そうですか。それは立派で大人な考え方ですね。でも……そういう大人こそが、淡々と悲劇を起こしていくのでしょうね」

レ「おい、ユーゴ!いい加減に……!」

ユ「なにも知らない"正義の味方"は黙ってなよ」

レ「なに!」

リ「やめろ!任務中だぞ!不和のツケをアルヴィエに支払わせるつもりか!」

レ「くっ……」

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〔帝国軍 本陣〕
「こいつら……本陣までやって来るとは……」

リ「気を引き締め直せ二人とも。私にも至らない部分はあった。そこは謝ろう。だが互いのためにもアルヴィエのためにも、今は頭を冷やして意識を目の前に向けろ」

ユ「……そうですね。ごめん……レオ」

レ「……あ、ああ。村で苦しんでる人のためにも全力でやろうぜ!」

ユ「まったくキミって人は……!」


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敵将を討ち取り、3人はそれぞれの武器をしまった。

「よし、これで終わりだな!」

「……じゃあ、村に向かおうか。セリアが待ってるから………」

そう言ってユーゴは勝手に帝国軍の本陣を出る。

「お、おい、ユーゴ……!」

レオが声をかけても無視して出ていき、パタンと扉が閉じられた。


「教官……お願いがあります」

「なんだ?」

「二人の間になにがあったかは、わかりませんが、どうかユーゴの態度を許してやって下さい」

「フルカード……」

「本当のあいつは、誰よりも優しい奴なんです」

レオは幼い頃、いつも剣術の稽古で負ける自分に手を差し伸べてくれたユーゴを思い返した。

「俺がバカみたいに気高さだけ追及して生きてこられたのも全部あいつのおかげで。だから………」

「わかっているさ。シモンを責めるつもりはない」

「本当ですか?」

レオはホッとしたように、息を吐いた。

「ああ。むしろ罰せられるべきは……私の方だからな」

「それは、どういう……」

「いつかお前には話そう。だが今は……」

「カシュール村の作戦に集中すべきですよね。でも教官……。さっき、ユーゴが村が連邦領だった頃に、連邦が村人を苦しめてたって……。連邦がそんな気高くねえこと、するはずないですよね……?」

「……フルカード。お前に連邦を信じるな、とは言わない。だがな。"信じる"という言葉を思考停止の言い訳にはするな。お前自身と、仲間の命を守るためにもな」

「……はい」

教官の言葉に、レオは静かに頷くのだった。
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