エピソードまとめ

□Final
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ep.Final 英雄の雛鳥達
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【CHAPTER1 ル・サント村追悼記念式典】
999Y.C. 森国シルヴェーア ル・サント村
〔操作キャラ:セリア〕


「帰って来たな……」

「うん……」

レオとユーゴは、高台から自分達の故郷を見下ろしていた。

「ここで行われる祈念式典とかいうのに、法王様が参列するから俺達でその護衛をすんだよな。ま……大抜擢ってヤツか」

「……いや、違うさ。僕らは見世物に抜擢されたんだ。健気な"惨劇の生存者"……としてね」

「それは……」

「ほら二人とも!なに暗くなってるのよ!」

そう言って、二人の幼馴染であるセリアが背を叩いた。

「セリア……」

「どんな理由でも超重要任務なのは、変わらないでしょ?だったらブレイズ代表として、頑張らなきゃ!」

「あ、ああ……」

「そうだね……ごめん、セリア」

「……ホント、俺達って、セリアがいないとダメだな」

「まあ、特にレオはね」

「な、なんだよ、お前だって……!」

「レオ……ユーゴ……」

空元気で、そういい合う2人に、事件が起きた当時、村にいなかったセリアは引け目を感じていた。

「頑張らなきゃ……私も……」

そう言ってセリアは小さく意気込んだ。

「じゃ、とりあえず式典が始まるまでは、整備が必要そうな場所を見ておきましょう」

セリアはできるだけ明るく、2人に声をかける。

「とは言ってもこの村で知らないとこはないけどな………」

「ひとまず村の右手にあった、広場に行ってみようよ」

「そうね」

ユーゴの提案に頷いて三人はル・サント村の中を歩いて回るのだった。


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〔イベント会話 右の広場〕
「この辺でよく遊んだよな……」

広場に生える大きな木を見上げながらレオがそう呟く。

「うん……。僕にとってはあの時間が、一番の幸せだったよ」

ユーゴはしみじみとそう話す。

「んなおおげさな」

「いや本気だよ。あの時間が僕のすべてだった」

「あー……確かにユーゴの家って少し厳しかったもんね」

「ああ」

懐かしむようにセリアが言えば、ユーゴは静かに頷いた。

「もちろん心から尊敬できる両親ではあったけど、温かみ……というのには、少し欠ける家だったから」

「逆に、俺達三人が揃うと馬鹿なことしがちだったよな」

しんみりとしたユーゴを気を変えようと、レオが話題を振る。

「それね。なんか三人揃うと妙に知能指数下がるのよねえ」

「ふふ……そうだね」

二人の気遣いに気づきながらユーゴは小さく笑った。

「本当に幸せな時間だったよ。さあ、行こうか」

「うん。お菓子屋さんが、あった所とかはどうかな?」

セリアは次の場所を提案する。

「ああ、セリアに任せるよ」

ユーゴがそう言って、セリアはそのまま広場を下ってすぐの所にあったお菓子屋さんへ足を運ぶのだった。


〔イベント会話 崩れたお菓子屋さん〕
「……ここも懐かしいな」

建物は崩れ廃材と化して閉まっていたが、お菓子屋の看板だけ残っていた。

「村の人達にも人気でよく人が集まってたよね」

ユーゴの言葉にセリアは小さく頷いた。
甘いものが好物のセリアは、よくここに来ていたからよく覚えている。

「そういや今日は、俺達以外に誰か来るんだっけ?」

ふと、レオが任務の話を始める。

「式典には多くの聴衆も参加するそうよ」

「へえ……。俺達はともかく、他の人達にとってもそんなに重要な式なのか」

「というよりは、法王様が参加するからでしょうね」

「間近で見られる機会なんて、そうそうないだろうからね」


セリアとユーゴの説明に、「なるほどなー」とレオは納得した。

「だからもうすぐリゼット教官も、連邦兵を引き連れて警護に来るはずよ」

「教官か……」

急にユーゴの表情が、鋭くなった。

「彼女が来たところで、本当に安全性が保たれるのかな?」

「ユーゴ……?」

トゲのある言葉を放つユーゴにレオが首を傾げる。

「いや、ごめん。なんでもないよ」

「ううん……」

とても、なんでもないというような顔をしていないユーゴにセリアは少し戸惑いながら重々しい空気を変えようと、移動を決める。

「次はどうしようか?」

「……僕らの家の方でも見ておく?」

「そうだな……」

あまり乗り気ではなさそうにレオが頷いて、三人は村の西側へ歩いていった。


〔イベント会話 レオの家周辺の廃墟〕
「……ここってレオの家があった辺りだよね」

「うん……」

懐かしむように、ユーゴが頷く。

「あの頃のレオはホント、泣き虫だったな」

「そうそう。アデールさんに叱られてはすぐ泣いちゃって」

「う……!」

ユーゴとセリアの懐かしい話に、レオは言葉を詰まらせる。

「でも、そんな日には決まってレオの家からカレーの匂いがしてたっけ」

「厳しさと優しさを併せ持った、本当に素敵な人だったよね」

ユーゴの言葉にセリアは、「ええ」と頷いた。

「……本当の意味で"気高い"方だったと思う」

「ばあちゃん……。俺は帝国を許さない……」

レオは小さく呟いた。

「……ばあちゃんの気高さを汚した奴らを絶対に……」

「レオ……」

また、空気が重々しくなってしまった。

「じゃあ、次は……」

「水場の方を見に行ってみようか?」

「ええ、そうね」

ユーゴの提案に直ぐに頷いて、三人はまた場所を移動した。



〔イベント会話 水場〕
「ぐっ……!」

滝の前に着くと、レオが急に頭を抑え、その場にしゃがみ込んだ。

「え、ちょっとレオ!大丈夫?」

「あ、ああ……大丈夫だ。ただこの景色を見た瞬間……、なにかを思い出しそうに……」

そう言ったレオはまだ頭を抑えている。

「この辺りって……」

「特に印象的な出来事は、なかった気がするけど?」

ユーゴとセリアは顔を見合せた。

「いや……村に住んでた時じゃなくて……。惨劇後に一度、俺一人でこの辺に来て……」

「あー、そういえば、レオが家出したことあったわね」

「あの大騒ぎになった時か」

ああ……、とレオは小さく頷いた。

「……そうだ、俺はここで……。あの黒い騎士様に刀を習って…………」

「黒い騎士様?」

「刀?」

ユーゴとセリアはレオの言葉に首を傾げた。

「でも、そのあと…………紅い女が俺になにか……うっ!」

レオはまた痛むのか俯き頭を抑えた。

「レオ!」

「ダメだ……。思い出そうとすると、酷い頭痛がして…………」

「大丈夫かい?」

「ああ……。大事な任務前に、これ以上はやめておくよ。この件を深掘りするのはあとだあと」

そう言ってレオは深呼吸をして立ち上がった。

「そうね。じゃあ行きましょうか」

「ああ!」

そう言ってセリアとレオが歩き出す。

「……黒い騎士に紅い女……か」

レオの背を見ながらユーゴがぽつりと呟いた後、急いで二人の後を追う。


「あとはどこ回っておこっか……」

「式典会場も見ておいた方が、いいんじゃないかな?式は村の一番奥で行われるはずだから」

「じゃ、行こうぜ……」


そう言って三人は水場から離れ、村の真ん中へ移動するのだった。
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