エピソードまとめ
□Final
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ep.Final 英雄の雛鳥達
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【CHAPTER4 僕の正義 君の正義】
999Y.C. 森国シルヴェーア アンスワン森林
(操作キャラ:ユーゴ)
「ここは……」
転移に巻き込まれたユーゴは、到着したその森の中をぐるりと見渡した。
「マナの揺らぎで意図せぬ地点に転送されてしまいましたね。式典会場からそう遠くない地点のようですが………ユーゴくんは、なにかご存知で?」
ユーゴの手を掴み、転送に巻き込んだ本人がそう尋ねてきた。
「ふざけないで下さい。そう易々と情報など……」
そう言ってユーゴは剣を抜いた。
「そもそもなぜ転送に僕まで引き込んだのですか?波々斬の時とは違います。連邦所属の僕としては当然……」
「あはあ」
赤狼将ラプラスが嗤う。
「今ここでアタシ達と交戦して、あなたに勝ち目があるとでも?」
「関係ないですよ。これは騎士としての誇りの問題だ」
「ふむ。それは実に見事な覚悟だな!」
感心したように白狼将アレクサンドラがそう言った。
「お前とは、いい食事ができそうだ!」
「アレクサンドラ……。そんなことを言われたら、彼の気力が萎えてしまいますよ」
呆れたようにアウグストが言えばアレクサンドラは首を傾げた。
「そ、そうなのか?」
「え、いや……」
困ったようにユーゴは顔を背ける。
「ホント、白犬って空気読めないわよねえ」
「う、うるさいぞ、赤猫!お前に言われたくない!」
「本当に驚くほど対峙する気力が萎えてきましたよ……」
〔イベント会話 アレクサンドラ〕
ユ「貴女は、狼将が一人……白狼将なんですよね……」
アレ「そう警戒するな。……というのは状況的に難しいかもしれないが、命の恩人たるお前の背を斬ることはありえないさ」
ユ「敵相手に随分義理堅い方なんですね」
アレ「そうだろうか?受けた恩には素直に感謝するのが当たり前だろう?そしてお前になにかあった時は次は必ず私が救うよ」
ユ「え……」
アレ「どうした?妙な声を出して」
ユ「あ、いや……、そんなことを言われると 思っていなかったので………」
〔イベント会話 ラプラス〕
ラ「さっさと行くなら行ってちょうだい。これ以上はだるいから、アタシはパスするけどお。いいでしょ、アウグストちゃん?」
アウ「お好きにして下さい」
ユ「相変わらずな人ですね……。帝国には貴女みたいな方が多いんですか?」
ラ「は?アタシみたいな美人、滅多にいるわけないじゃない」
ユ「いや……そうではなくてですね。軍の雰囲気というか………」
ラ「ふうん。気になっちゃうお年頃なのねえ。ま、ここにいる以外だと、バスチアンちゃんみたいな堅物天然ちゃんもいるわよ」
ユ「それって黒狼将のことですか?酷い言いようですね……」
ラ「あとあなたくらいの子なら、ドジっ子少尉ちゃんとか野蛮なボウヤもいるわよ。帝国に来たら仲良くしてあげて」
ユ「それだけ聞くと帝国って妙な所ですね……。でも……そういう意味では騎士学校と変わりはないか………」
ラ「じゃ、アタシはもう行くわ。ばいば〜い♪」
〔イベント会話 アウグスト〕
アウ「まあ波々斬の時と同様、すぐに仲良しこよしとはいかないでしょうが。現状、我々と貴方の目的は一刻も早く、式典会場に戻るという点で、共通していると思いますよ」
ユ「……え?レオ達と合流したい、僕はさておき。なぜ法王殺害に失敗した貴方達まで式典会場へ?」
アウ「やはり一番は法王への再挑戦ですかね」
ユ「は?先ほど、法王の力の前に圧倒的な敗北を喫して、あまつさえ首をはねられかけていましたよね?」
アウ「確かに、危なかったですね。助かりましたよ、ユーゴくん」
ユ「あれは……貴方ではなくレオのために……。じゃなくて、あの大敗を経て尚また法王に対峙すると?」
アウ「私の見立てでは先の一件で法王もかなり消耗しています。むしろ今こそが最大の好機ですよ」
ユ「そうですか……」
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「さて、どうされますか?」
3人と話し終えたユーゴにアウグストが尋ねる。
「貴方は我々と共に?」
「……アウグストさん。貴方は先ほど今が最大の好機だと言いましたけど、……怖くはないんですか?圧倒的な強者に踏みにじられることが」
「恐怖がないとは言いません。ですが……それを乗り越えた先でしか掴めない希望もある」
「恐怖を乗り越えた先の希望……」
「惑わされるなよ」
「え?」
アレクサンドラの言葉にユーゴは首を傾げた。
「やたらと綺麗な言い回しをしているが、この男は昔から危険な博打を好むだけだ」
「酷い物言いですね」
「お前の博打任務に付き合って、今まで何度 死にかけたと?」
アレクサンドラが睨むと、アウグストは微笑んだ。
「……今後も頼りにしてますよ。アレクサンドラ」
「お、お前という男は……!」
2人の会話を聞きながらユーゴは考えをまとめた。
「……わかりました。式典会場まではご一緒しましょう。無謀な博打の行く末に、少しだけ興味が湧きましたし」
「ふふ。そうですか。それは光栄ですね」
「よろしく頼むよ」
「はい。では行きましょう。この森を辿れば村に戻れますから」
そう言って、ユーゴは2人とも共に、アンスワン森林を北に進んで行くのだった。