エピソードまとめ
□Cross roads
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ep.1 波々斬ノ国の乱
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〔飲食街会話 おじさん〕
「あんたら仲が良さそうだね。恋人同士かい?」
レ「い、いや。そういうんじゃないっす」
アレ「ああ。食を目的に共に行動する関係だ」
「そうかいそうかい。一緒にメシを食べるカップルは、うまくいくって言うからな。まあ頑張んなよ」
〔飲食街 カップルの女性〕
「あら外から来たの?この飲食街のオススメは、グリーンカレーと角煮とヨーグルトかな。食べ合わせなんて気にせず楽しんでね」
〔飲食街 スパイシーグリーンカレー〕※レシピ
アレ「む、これは……」
レ「な、何事ですか?」
アレ「……キミは気付かないか?」
レ「まさかまた獣が……!?」
アレ「……目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませ。そうすればわかるはずだ」
レ「は、はい!目を閉じ感覚を研ぎ澄ます……」
アレ「どうだ感じられてきたのではないか?この……独特なスパイスの香りが!」
レ「……は?」
アレ「前菜代わりに超特盛でいただくとしよう!」
レ「……え」
アレ「どうした、レオ。反応が遅いぞ!しっかり私に付いてこい!」
レ「あ、はい……。じゃあ俺も超特盛で……。……俺、憧れる人を早まったかなあ……」
〔移動会話 その1〕
レ「つ、次はどこっすかね?」
アレ「そうだな……。先ほどとは違う系統を攻めよう」
〔飲食街 味わい濃厚ヨーグルトドリンク店〕※レシピ
レ「そういえば、アレクサンドラさんも観光で?」
アレ「観光ではないが……今は人を探している」
レ「え、いいんすか?俺なんかと観光してて」
アレ「ああ、問題ないだろう。どうせこの辺りで遊び回っているだけだろうからな。………アウグストも赤猫など放っておけばいいものを。なぜ私まで会談から抜けさせたのだ……。まあ、そのおかげで、こうしてグルメ探訪を……」
レ「アレクサンドラさん?」
アレ「……いや。なんでもない。それよりこのドリンクは美味そうだな」
レ「味わい濃厚ヨーグルトドリンク……っすか。確かに飲みやすそうですね!」
アレ「では、ひとまず、樽一杯分いただこうか」
レ「な……!?そ、そんなに?」
アレ「どうした?飲みやすそうなんだろ?」
レ「そ、そうですね………。ばあちゃん……。俺、今、本当の絶望ってヤツに直面してるよ……」
〔移動会話 その2〕
レ「……あの、まだ行く気っすか?」
アレ「ああ。いい具合にお腹が空いて来たからな」
〔飲食街 山盛り肉のとろとろ角煮風店〕※レシピ
「そこのお二人さん。山盛り肉のとろとろ角煮風はいかがかな?」
アレ「と……とろとろの山盛り肉だと……!?では手始めに山を五つほどいただこうか!」
レ「はあ!?」
アレ「なんだレオ?「」
レ「え、いや、一つでもめっちゃ量ありそうっすけど……」
アレ「……そうか、すまないな。どうやら私は、"キミのレベル"を少し買い被ったようだ」
レ「……え?」
アレ「肉は肉でもとろとろなんだぞ?ならばいくらでも食えるとは思わないか?」
レ「そ、そうっすかね。……わかりました!俺だって気高くぺろりっすよ!」
アレ「そうか。良い心意気だ」
〔移動会話 その3〕
レ「も、もう終わりですかね……」
アレ「いや、実はずっと食べたかった幻の一品があってな」
レ「幻の?」
アレ「ああ。そう聞くと行かざるを得ないだろ?」
レ「わかりましたよ……」
〔飲食街会話 女性〕
「幻のプリン……。朝から並んで、ようやく手に入ったけど、誰かに盗られないように急いで食べたせいで、全然味わえなかったわ……」
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色々な料理を食べ歩いたアレクサンドラとレオは、飲食街の左側にある、スイーツ店に向かった。
「はいはい、幻の一品"太陽のマンゴープリン"本日最後の一つだよお!」
「最後の一つ……!」
「どうにか間に合ったな」
アレクサンドラは店主に声をかけ、マンゴープリンを購入した。
「さすがは私が、5年以上前から渇望し続けたご当地グルメだ」
宝石のような青い輝きのあるゼリーと太陽のように輝く黄色いマンゴープリンが融合した美しい1品に、アレクサンドラはうっとりとした。
「そ、そんなにずっと食いたかったんすか?」
「ああ。波々新ノ国に来られるとは思わなかったからな。私にとって"夢"の一つだと言ってもいい」
「そりゃ……良かったっすね」
「よし、レオ。早速二人で半分にして……」
アレクサンドラがそう言えば、レオはいやいやと両手を前にだして振った。
「い、いや、俺は…いマジで腹が一杯なので……」
「そうか?そういうことならば遠慮なく……」
頂こうとアレクサンドラがスプーンをプリンに刺そうとした時だった。
「ええ!?マンゴープリンもうなくなっちゃったの?」
そんな女の子の声が聞こえて、二人は振り返った。
「妹に買ってあげたかったのに……」
「妹さん?」
店主が聞き返すと、女の子は小さく頷いた。
「うん……。今、風邪ひいてて……あんまり食欲なくて……。プリンなら食べれるかなって……」
「………ふう」
アレクサンドラは大きく息を吐いて、レオは首を傾げた。
「アレクサンドラさん?」
「レオ。どうやら私もキミと同じようだ」
「え?」
「急に腹が一杯になってしまった。これではせっかくのグルメも、美味しく食べられそうにないな」
アレクサンドラのその言葉の意図することががレオには伝わった。
「……そうっすか。じゃ、どうするんです?」
「……決まってる」
そう言ってアレクサンドラはマンゴープリンを持って、店の前でしょんぼりしている女の子へ声をかけたのだった。