エピソードまとめ
□Cross roads
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ep.1 波々斬ノ国の乱
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「……わあ、想像以上の賑わいね」
街の中心地へ着くと、セリアは感嘆をあげた。
「なんかワクワクするな!」
レオも心を踊らせる。
「さて、これからどうしようか?」
ユーゴの質問に、2人はハイハイと手を挙げる。
「俺はメシが食いたい!」
「私はとにかく買い物!」
「僕は観光名所を見て回りたいけど……」
「……見事に意見が分かれたな」
レオの言葉に頷きながらユーゴは、少し考える。
「仕方ないね。滞在時間も限りがあるし、今日は別行動といこうか」
「賛成!」
セリアがそう言えば、レオも賛同するように頷いた。
「じゃあ、用が済んだら王宮に戻ってくるってことで」
「だね」
「……ついにオノコロショッピング……。あーん、もう、夢が膨らむなあ!」
「女の子が旅先での買い物にかける情熱って……」
「わっかんねえよなホント……」
セリアの熱量に男2人は気圧されながら、とりあえず、また後でと、それぞれ行きたい場所に散った。
「ふんふんふーん、お買い物〜♪」
セリアはルンルン気分で左側のショッピングエリアへ向かった。
「ミシェル達へのお土産はもちろん……。レオ達にもこっそり、お揃いの物、買いたいわね」
可愛らしいサプライズを考えながら、セリアはショッピングエリアへの扉を開いた。
「ああ……素敵なお店がこんなにたくさん……。よーし、じゃ、早速……」
そう呟いてセリアは立ち並ぶお店を見て回るのだった。
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〔ショッピングエリア会話 入口付近少女〕
「ねえ聞いた?連邦の商品が入荷したようなの!気になるわよねえ」
セ「いや……それだったら、いつでも買えるしいいかなあ……」
〔ショッピングエリア会話 入口付近2人組女性〕
「この街で買い物すると疲れるわよねえ」
「そうよねえ。普段でもつい色んなお店見ちゃうのに、最近は各国の商品が来てるから、体がいくつあっても足りないわよ」
「わかるわー」
「さあ少し休んだら第二回戦、行くわよ!」
〔ショッピングエリア会話 入口付近幼女〕
「お姉さんお外の人?カッコいいお洋服着てるね」
「そう?貴女が着てるのも可愛いわよ」
「えへへ、いいでしょー!あ、そうだ!交換こしようよ!そうすれば私も、お外の人みたいになれるから!」
「うーん。ちょっとサイズが合わないかな……」
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セリアがショッピングエリアの中へ進んで行くと、ピンクの縦巻き髪の女性が何やらオノコロの男性に絡まれているのを見かけ、足を止めた。
「貴様、我が国の人間ではないな!」
「そうだけどお?なにか問題でもお?」
女性は語尾を伸ばしながら不思議そうな顔をして、絡んできた男を見た。
「よそ者は今すぐこの神聖な国から去れ!」
「え、いやよ。まだショッピングの途中だもの」
「な、なんだと……!」
女性がスッパリと断れば、男は顔を真っ赤にした。
「少し痛い目を見ないとわからないようだな……」
「……ふーん、そっちがその気なら……」
「ちょっと聞き捨てならないわね!」
そうセリアは大声を張って、2人の元に割り込んだ。
「なんだ貴様は!」
「私も他国の人間よ!それがなにか問題あるわけ?」
「なんと汚らわしい……」
「どっちがよ!私に言わせればね……。乙女の楽しい時間を邪魔するヤツの方が……よっぽど、野暮なワルモノよ!」
「あはっ、その通りね!」
女性はセリアの言葉を受けて楽しそうに笑った。
「もういい……貴様ら無事に帰れると思うなよ!」
そう言って男は剣を抜く。
「お姉さん、ここは私が請け負うから早く逃げ……」
弓を構えながら女性へ話しかけて、セリアは固まった。
なぜなら、女性も同じように弓を構えたからだった。しかもその弓は……。
「気が変わったわ。少し……一緒に遊びましょうか」
「リアクター!?あ、貴女は……」
女性が使っているのは、セリア達の住む連邦の敵国である帝国製のリアクター弓だった。
「ほら来てるわよ、構えなさいお嬢ちゃん♪」
「は、はい!」
女性に促され、そうだった、とセリアは慌てて弓を構え直すのだった。
「く……。覚えていろ!」
2人にボコボコにのされた男は、捨て台詞を吐いて逃げていった。
「あ、ちょっと!」
追いかけようとしたセリアを女性が引き止めた。
「やめときましょ。殺すのも面倒だわあ」
「こ、殺すって……」
驚いてセリアが彼女の顔を見上げれば、何食わぬ顔で微笑んでいた。
「それに今、なにより優先すべきは乙女の……」
「……ショッピングタイムでしたね」
「せいかーい♪えーと……」
名前なんだったかしらと女性がセリアの顔を見つめた。
「あ、セリアです」
「セリアちゃんにはご褒美として、アタシとの一日デート権を進呈しまーす♪」
そう言って、女性はセリアの腕に自分の腕を絡めた。
「……え?」
「というわけでえ、早速、二人でお買い物にレッツゴー♪きっと二人の方が楽しいわよ?」
「まあ……それはそうかもですね。じゃあ、よろしくお願いします。えっと……」
「ラプラスよ」
セリアが名が分からず困っていると、女性はそう名乗った。
「ラプラスさん?……あれ?なんかどこかで……」
セリアが小さく首を傾げる。
「よくある名前だものねえ、そんなことよりい」
早く行きましょ、と言うようにラプラスはセリアの腕を引く。
「そうでした。お買い物しないと!どのお店を見ましょうか?」
「そうねえ……。隈なく全部っ!かしら♪」
「いいですね!そうしましょう!」
こうして、セリアとラプラスのお買い物デートが始まるのだった。