エピソードまとめ

□Cross roads
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ep.1 波々斬ノ国の乱
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〔道中会話〕
アウ「ところで連邦の貴方がなぜ波々斬ノ国に?」

ユ「……ぼ、僕にそれを聞きますか?」

アウ「ちなみに私は、この国と裏で手を結びにやって参りました」

ユ「言うんですかそういうの!」

アウ「帝国宰相が中立国に来訪している時点で、すでにその意図は明白でしょう」

ユ「それはそうですが……」


〔道中会話〕
ユ「僕は……ブレイズとして"見学"に来てまして」

アウ「なるほど。確かこの国には近く、士官学校が新設されるとか。そこに合わせての"見学"……なるほど。学校とはいえ、軍事分野で連邦に助力を仰ぐとは、どうやら帝国の分は悪そうです。やれやれ。私の外交は徒労に終わりそうですね」

ユ「……"見学"の一言からそこまで考えますか……」


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998Y.C. 波々斬ノ国 始原の滝

「この場所は……」

「始原の滝と呼ばれる、隠れた名所です」

2人が滝の傍に寄ると水の中から、ぴょんぴょんと、青いカエルのような獣が飛び出してきた。

「獣ですか……」

アウグストは杖を前に向ける。

「ユーゴくん我々は今命を預け合う仲間です。仲良く共闘といきましょう」

「え……」

「どうされました?呆けた声を出されて」

「い、いえ。失礼かもしれませんが、"仲良く"っていう言葉が驚くほど似合わなかったので……」

「……ははは!確かにそうですね!」

ユーゴの言葉を聞いてアウグストはとても楽しそうに笑った。

「ですがそれが出るということは、本心だということでもある。そう解釈してもらえると幸いです」

「……変な人ですね」


そう言いながら二人は獣を倒して行った。


「我々の仲の良さが生んだ勝利ですね」

「そ、そうですね……」

ユーゴは少し顔を引き攣らせながら、話題を変えるため、滝の方を見た。

「ほら見て下さい」

アウグストもユーゴの隣に立ち滝を見上げた。

「……不思議な色合いですね。ワタムスビとサンカラの影響が混成した結果ですか……。これは面白い」

「アウグストさん?」

「この水の性質を……、二つのマナの混成による特殊反応を研究できたのなら、人々の暮らしをより良いものにできそうです」

「え?」

ユーゴは、先程自分が思ったことと全く同じ事をアウグストに言われて驚いた。

「どうされましたか?」

「い、いえ」

「それにしても非常に惜しいです。この滝が我が帝国にあれば……」

「あれば……研究ができたと?人の暮らしを高める研究が……」

「ええ……。さて、いつまでも観光している場合ではありません。先を急ぎましょう」

「……はい」

頷いてユーゴは滝から離れる。

「道は途切れていますが、どこかに隠された入り口があるはずです」

始原の滝の周りは観光スポットだから、落ちないように柵で囲んであるのだが、1箇所不自然に壊されていて、その下を覗いてみれば道が続いていた。
二人は崖から飛び降りて、そこから滝の裏へ向かうと、洞窟があるのを発見し、足を踏み入れた。


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998Y.C. 波々斬ノ国 紺碧の岩室


〔道中会話〕
ユ「ここが敵の根城……」

アウ「恐らく。私が"人捜し"をする上で避けては通れない場所です」

ユ「人捜し?今更ですがなぜ、宰相ともあろう方が単独で……」

アウ「実を言えば、私は外交相手である親帝国派という連中を信用しておりません。特に、今日の会談でジャハナと名乗った男は」

ユ「それは……その方が実は、連邦寄りの人間だと?」

アウ「それならまだシンプルだったのですが、どうやらその男……現在、反乱を起こしている"愛国者"つまりは、鎖国派の人間だったようでして」

ユ「なっ……!」


〔VS愛国者たち〕
「侵入者どもだ!生かして帰すなあ!」

戦闘後。
「……我らワタムスビ様とともに……」


〔道中会話〕
ユ「……となると、貴方は騙されてこの国におびき出されたと?」

アウ「お恥ずかしながら。事態は案の定、最悪の方向に転びました」

ユ「だから貴方は会談を抜け出して……。では、人捜しというのは、お仲間がどこかに囚われてしまったとか?」

アウ「半分正解といったところですね」


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この洞窟を根城にしてるのは辺りのようでテーブルや椅子が置かれ、飲み食いした後があった。奥へ進むと天然の岩壁に穴が空いており、そこをガラスで塞ぎ海の中を一望できる部屋になっていた。そこに2人の男が居て、ユーゴとアウグストは木箱の裏に隠れた。


「こんな大事な時に、なぜこの場所がバレたんだ!」

「無駄口を叩いている場合か!撤収急げ!」

「くそ、こんなことになるなら俺もサザナミ洞窟に……、障壁強化班の方に行きたかったぜ」

「……障壁強化?」

聞こえてきた言葉にユーゴは首を傾げる。

「それだけどよ。本当に信用できるのかね。帝国の技術提供で作られた制御装置……。ワタムスビ様の障壁を、さらに強化する装置なんて」

「な……!」

驚いてユーゴはアウグストの顔を見る。

「アウグストさん。技術提供って本当ですか?」

「事実ですよ、ただし……」

「ただし?」

「ユーゴくん!」

アウグストは大きな声を出し、杖を構え立ち上がった。

「く……いつの間にこんな……!」

周りを愛国者たちが囲んでいた。

「……敵の機密に気を取られ過ぎましたね。さあ、頼みますよユーゴくん。貴方の存在はとても心強いので」

「よく言いますよ。とても僕の力が必要だとは思えませんね」

そう言いつつユーゴは長剣を構えた。

「……貴方はどうも自己評価が低いようだ」

「私が存分に動けるのは、貴方の補助のおかげでしょうに」

「僕はただ……いつものように戦っているだけで……」

「そうですか"いつものように"ですか」

「ならば貴方の所属する隊は実に幸福ですね」
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