エピソードまとめ

□ラウル
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ep.2 最年長者の頑張り
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「だからこれはあたしが作った物なの!」

マーケットの奥でそんなリディの声が聞こえた。

「うわあ……トラブルの臭い……」

奥へ行くと聖痕騎士に捕まっているリディとエドが居た。

「……あの、この二人がなにか?」

恐る恐るとラウルは声をかける。

「そちらの子がリアクターを所持していた。帝国からの密輸入品の疑いもある。詳しい入手経路の聞き取りをしたのだが……」

「あたしが作ったって言ってるでしょ!」

「これだ」

リディの言い分に騎士も困った顔をしていた。

「ああー………」

「すまん。弁解のしようがなくて。リアクターを持ってるのも事実だし、素性も答えたくないようだし……」

エドも雇用主の情報を勝手に話す訳にもいかず、すっかり困っているようだった。

「でも正直に事情を話すしか、ないんじゃないかい?」

「まあ、そうだよな…………」

エドはリディの様子を伺いつつも、話せる範囲で聖痕騎士に説明をした。

「そういうわけでこいつの家は複雑でな。実家からっ匿ってやってるんだ。……見逃してくれないか?」

「ううむ……。まあ子どもだしそういうことなら……。ただし、そのリアクターは悪用しないように」

「護身用さ。オレがきっちり見ておく」

「はは。エドはすっかり保護者だねえ」

見逃して貰って3人は騎士から離れる。

「二人は先に集合場所へ行っててくれるかな?」※

「わかった。行くぞ、リディ」

「ええ」

そう頷いて2人は東門へ歩いていった。

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※エドとリディを先に迎えに行った場合。
「じゃあ先に門に行ってて。お兄さんはアナマリアちゃんとシャルルを探してくるから」

「まったく……どこに行ったのかしら」

「トラブルに巻き込まれてるんじゃないだろうな」

「……それ、キミ達が言う?」


※アナマリアとシャルルを後から迎えに行った場合。
「二人は先に集合場所へ行っててくれる?」

「わかりましたわ!」

「あんまり待たせないで下さいよ」

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「よし、これでみんな揃ったな。改めて集合場所へ向かおう」

そう言って、ラウルはマーケットエリアの南側にある東門広場へ向かった。
到着すると東門の前に4人は今度こそちゃんと集まっていた。

「ラウル、遅いですわよ!」

「どこをほっつき歩いてたんですか」

アナマリアとシャルルが口々にそう言った。

「ここで怒られるの絶対おかしくない!?」

「トラブルもあったが、ようやく出発できるな」

「ええ。だいぶ予定より遅れてしまったわ。じゃあ、オズガルドに行きましょう」

そう言って5人は東門から、ルディロームの街を出るのだった。

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【CHAPTER2 初めてじゃない冒険】
999Y.C. 森国シルヴェーア 聖拝の古参道

〔道中会話 エド、アナマリア〕
エ「この時間だと、どこかで野営を挟まないといけないだろうな」

ア「野営!」

ラ「どうしてそこで嬉しそうにするのさ」

ア「だって冒険をしているって感じじゃありません!?」

エ「別に良いもんじゃないけどな」

ア「そんなに大変なのです?」

ラ「まあ、初めてなら苦労するだろうねえ」


〔道中会話 アナマリア、リディ〕
リ「あたしも野営したことあるけど。……辛かった」

ア「そ、そんなに?」

ラ「それは……体験してみてからのお楽しみだねえ」

ア「そんな言い方をされたら気になりますわ!」


〔道中会話 アナマリア、シャルル〕
シャ「お嬢様がこう言っているんです。どう大変なのかきりきり吐け」

ラ「脅しには屈しませーん」

シャ「ぐぬぬ!」


〔道中会話 アナマリア、リディ〕
ラ「そういえば、結局このお金には、なにが仕掛けてあったんだい?」

リ「なにも。ああ言っておけば脅しにはなるでしょ?」

ラ「ええ……」

リ「いずれにせよ持ち逃げされたら、それまでのことよ」

ラ「そういう人間を見抜けなかったんだから、しょうがないって?」

リ「そう。人の本質は常に見抜けるようにしておかないと」

ラ「ずっと人の顔色うかがうのは疲れないかい?お兄さんはもうちょっと、からっぽにしても良いと思うけどねえ」

リ「あたしはまず、あたしの目を信じるの。自分も信じられないようじゃ、他人なんて信じられないもの」

ラ「……なるほどねえ。ま、肩の力を入れ過ぎないよう気を付けなよ?」

リ「そういうことが言えるラウルだから信用するのよ」


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〔古参道 集落 連邦兵〕
「ルディロームは野営の準備にはいいぞ。食料はフードマーケットで、いくらでも手に入るし。テントや寝袋なんかも雑貨屋にあるからな。森林も近いしキャンパーにはありがたい街だ!」


〔古参道 集落 青年〕
「あー、最悪だよもう!虫に刺されたみたいで腕が痒くてさ!やっぱ花屋で虫よけ買っておけばよかったな……」
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