エピソードまとめ
□ラウル
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ep.1 自称考古学
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「おっとまたこの仕掛けか。でも今回は出口が三つ?」
床のパネルを踏み全てを光らせると扉が空く仕掛けの部屋にやってきた。
「う、こういうのは苦手です。任せますわ!」
「自称考古学者のお手並み拝見といきましょう」
「はいはい……」
「実はどの出口も行き先は一緒、ということはありませんの?」
「意味ないでしょそれ……」
「そんなことはありません。意味はそれぞれの心に生まれるもの。どんな道を選ぼうと人生は一つ。お嬢様はそういったことを指摘なさったのです。さすが、お嬢様。慧眼です」
「うふふ、ありがとう」
「……なにこのいいこと言ったっぽい空気」
そんなやり取りをしつつ、ラウルは簡単に15あるパネルの全てを光らせた。
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〔採取イベント 発酵豆〕
「おっ!いい物を見つけたぞ!」
「なんですの?……って、ひどい匂いですわ!鼻が曲がりそうですわ!」
「本当ですね!ボク達が通ってきた下水道の匂いと大差ありません!」
「ひどい言いようだねえ。言っておくがこれはなかなかの珍味だぞ」
「珍味……ってことは食べ物なんですの!?」
「ああ、こいつをペーストにしてパンに塗ると美味いんだ!」
「こ、このクサいモノをパンに……!?」
「考えただけで吐きそうです」
「いいよ。それじゃあこいつは、お兄さんが独り占めするから!」
「あんなものを食べるなんて、さすがは偽考古学者ですわね……」
「その日を凌ぐ食べ物にも困っているようですね………」
「食べたいって言ってもやらんからな!」
〔道中会話〕
「そういや二人はどうしてこの遺跡に?」
「遺跡といえば冒険!冒険といえば遺跡ですわ!」
「……お貴族様の楽もほどほどにしなよ?」
「わたくしお貴族様ではありませんわ!」
「ヘソウデスカー」
「信じてませんわね!?」
「実際、今のお嬢様は貴族ではありませんね」
「あーはいはい、お忍びとか、そういうあれな感じね………」
「やっぱり信じておりませんわ!?」
〔道中会話〕
「お嬢様が勝手に遺跡に行って行方不明……これアナマリアちゃんを無事に実家に戻せなかったら、やばいことになるんじゃ……」
「どっちにしろこの遺跡を脱出できなければ
、ここで野垂れ死ぬことにはなりますね」
「う……それもそうかー………」
「安心なさいませ!このような遺跡わたくしが見事、攻略してみせますわ!」
「そのポジティブさがまぶしいよ……」
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進んだ先に開放された扉があって、3人はその部屋に足を踏み込んだ。
その瞬間後ろの扉が上から落ちてきて閉められた。
次に、左にある扉も落ちる。
「罠か!?」
急いでラウルは正面の扉へ駆けるが1歩届かず、扉が落とされた。
「嘘だろ?閉じ込められたのか?」
「まさか、このまま干からびて骨になるまでここで……」
「シャルル!怖いこと言わないで下さいな!」
「ないと言い切れないのが怖いところだな」
どうしたもんか、と思うラウルたち3人の上から、バラバラと獣が落とされてきた。
「さらに追加の仕掛けか……」
「この程度でわたくしをどうにかしようだなんて片腹痛いですわ!」
「来ますよ!」
3人はそれぞれ武器を構えた。
〔戦闘会話〕
「こんなところで閉じ込められて、食われて死ぬなんてごめんだ!」
「わたくし、死ぬときは太陽に向かって拳を突き上げると決めておりますの!」
「男前すぎる死にざまだな!?」
「さすがお嬢様、普通ではない死にざまです」
「そこ褒めるとこなの!?ていうかまだやってないし、やる状況になったら駄目だからね!?」
「つべこべ言ってる暇があったら、真面目に戦って下さい!」
「そうですよ、まったく……」
「なにこの理不尽な仕打ち……」
獣を全て倒し終わると、下がっていた扉が上に上がった。
「よかったあ。閉じ込められるタイプの罠じゃなかったか」
「わたくしはそうだと始めからわかってましたわ!」
「さすが、お嬢様。ご慧眼です!」
「めっちゃ焦ってたように見えたんだけどなあ」
「なにか言いまして!?」
「お嬢様を疑うなんて……」
「あー、はいはい!」
「さあ!先に進みますわよ!」
「はい!」
「はいはいっと」