エピソードまとめ
□ラウル
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ep.2 最年長者の頑張り
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「ええとそれで……」
銃をしまってリディがラウルを見つめる。
「さっき、なにか話してましたわね?」
アナマリアもそう言ってラウルを見る。
「言っていいんだぞ」
エドも優しくそう声をかける。
「なんか悲しいから気遣うのやめて!と、とにかく……お兄さんならこの鍵を開けられるってことだ」
「本当に?」
リディが不安そうに見てくる。
「ガッチガチに閉まっていますわよ」
「まあ、見てなって」
そう言ってラウルは門に近づいて、南京錠に手をかけた。
「よいしょっと」
ラウルは鍵穴に針金を突っ込みガチャガチャと回した。
しばらくすると、ガチャっと音がして鍵が外れた。
「ほら、開いた!」
「ラウル……」
「お前……」
リディとエドがうわぁ……というような顔をした。
「やっぱり、泥棒だったんですね!」
「思ってた反応と違ーう!」
もっと凄いと褒められると思っていたラウルは嘆きながら、門の先へと進むのだった。
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〔道中会話 アナマリア リディ〕
ラ「おつ、見えてきたねえ」
ア「あれが例の洞窟ですのね!」
リ「でもまだまだ道のりは長いわよ。獣も出るようだし用心して行きましょう」
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【CHAPTER4 初めてじゃない洞窟探索】
999Y.C. オズガルド嶺峰国 大岩窟
〔道中会話 アナマリア、リディ〕
ア「ふわー!洞窟ですわー!」
リ「なんだか遺跡みたいな雰囲気ね」
ラ「ふふふ。考古学者としてここは見せ所!解説しよう!オズガルドは東西に長く伸びた山脈に、国土を囲まれている国なんだ。この洞窟を使わないと、その山脈を登って越えないといけない」
ア「不便ですわー」
〔道中会話 アナマリア、エド〕
エ「外敵の侵入を阻む防壁の役割もこなしてるから、一概にそうとも言えんがな」
ラ「だねえ。とは言え、オズガルドは土地柄、農業に向いていない。食料は輸入頼りになる。そこで活躍するのがこの洞窟ってわけさ」
ア「ほえー!」
〔道中会話 エド、リディ〕
エ「一応、海路もあるがな。ハザールや……ちょっと前まではマイシュとも取引があった」
リ「むしろ貿易はそっちがメインね。この洞窟は個人がシルヴェーアとオズガルドを行き来するのが主な用途よ」
ラ「……あの、お二人さん?」
〔道中会話 アナマリア、リディ〕
リ「あとこれは豆知識程度のことだけど。この山脈から海の生物がいた痕跡が見つかったの」
ア「こんな陸地に!?」
リ「そう。だから、オズガルドは元々独立した島だったのよ。それが何万年もの時をかけて少しずつ移動し、この大陸と衝突した」
〔道中会話 アナマリア、エド〕
エ「その衝突で盛り上がってできたのが、オズガルドを囲う山脈ってわけだ」
ア「なるほどー?」
ラ「あれー?おかしいな。ここはお兄さんの出番だったはずなのに………」
ア「しかし……エドもリディも、この山脈について良く知ってますわね」
ラ「お兄さんだって!説明するつもりだったんだよ!」
〔道中会話 エド、リディ〕
ラ「というかなんで二人とも、そんな詳しいのさ……。海の生物がどうとか、考古学を専攻してなければ知らないことなはずなのに……」
リ「たまたま知る機会があったのよ」
エ「オレもそんな感じだ」
ラ「……キミ達の方がよっぽど得体がしれないよ」
〔獣の群れ アナマリア、エド〕オタパプ
エ「大群だな」
ア「わたくし達の前に現れた勇気は買いましょう。しかし!その命、ここで頂戴しますわ!」
ラ「アナマリアちゃんは、いつでも楽しそうだねえ……」
獣討伐後。
ア「終わり……ですわ」
シャ「ブラボーお嬢様、ブラボー!」
〔道中会話 アナマリア、シャルル〕
ア「なんか頬がヒリヒリしますわー」
シャ「お嬢様!ボクがマグマ側を歩きます!」
ア「まあ!ありがとうございます!」
ラ「落ちないように気を付けなよ」
シャ「……なにを気を付けるんです?」
ア「シャルルなら落ちても大丈夫ですわ」
ラ「……どんな信頼?」
〔道中会話 シャルル、エド〕
ラ「そういえば、エドがシャルルには厳しいのはどうしてだい?」
エ「あんな力を見せられれば警戒もするだろ。この際だからはっきり聞くが、ありゃなんなんだ?」
シャ「さあ。ボクはお嬢様をお守りすること以外、興味がありませんし。だからお嬢様の害になると思えば、ボクは誰だろうと排除しますからね」
エ「……ほう?だったらシャルルはもう少し、自分自身のことを考えるべきだ。その力はお嬢様を危険にさらすかもしれない。このまま制御もせず、知ろうともしないならな」
シャ「む……」
ラ「自分探し……。うんうん、青春だねえ。苦悩するのも若者の特権だよ」
エ「……やっぱおっさんじゃないか」