エピソードまとめ

□ラウル
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ep.2 最年長者の頑張り
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〔道中会話 アナマリア、エド〕
ア「あそこに見えているのは帝国ですか?」

エ「……土地勘どうなってんだ」

ア「へ?」

ラ「帝国はもっともっと西の方だよ。あれは連邦の中心地アルコニスだ」

ア「まあ、あそこが!思えば遠くまで来たものですわ……」


〔獣の群れ アナマリア、リディ〕※オタグリ
ラ「おおっと、獣のお出ましだ」

ア「ここで会ったが百年目ですわ!成敗っ!成敗して差し上げます!」

リ「元気ね……」

獣討伐後。
ラ「ふう終わったかな」

リ「行きましょう」

ア「野営にゴー!ですわー」


〔道中会話 アナマリア、リディ〕
ラ「ここを右に行くと、アルコニスの検問所だね」

ア「まあ!あの……少し寄り道とかは」

リ「ただでさえ予定より遅れてるのよ」

ア「……そうですわよね」


〔道中会話 アナマリア、シャルル〕
シャ「お嬢様をがっかりさせるなんて……」

ラ「ならここで分かれるかい?」

ア「シャルル、今までありがとう……」

シャ「お嬢様!?」


〔道中会話 シャルル、エド〕
エ「しかし、おっさんはやはり考古学者っつうには強いな」

ラ「おっさんじゃなくてお兄さん!」

シャ「はは」

ラ「シャルル!笑わない!」

シャ「ラウルが面白い冗談を言うからですよ」


〔道中会話 エド、リディ〕
ラ「誰がなんと言おうとお兄さんなんですう!」

リ「必死ね」

エ「こうはなりたくないな」

ラ「キミらもね!あと十数年したら同じ境遇だからね!」

エ「だとしてもおっさんみたいに、見苦しい真似はしたくない」

ラ「み、見苦しい……」


〔道中会話 エド、アナマリア〕
ラ「ふ、ふふ……十数年後に同じことが言えるか見ものだねえ!」

ア「でも、その時ラウルは正真正銘のおっさんですわね」

ラ「ぐはあっ!?」


〔道中会話 エド、リディ〕
ラ「ぐ…ぐうう……」

エ「返事をする気力もないか……」

リ「アナマリアも酷いこと言うわ。天然って怖いわね」

エ「ああ……」


〔道中会話 エド、リディ〕
ラ「うまくいけば次はハリーオゥに会えるのか。もうなにが起きても驚きはしないけど、ちょっと緊張するというか、興奮するというか……」

エ「まあ気持ちはわかる。オレもアグライア様と、もう少し話がしてみたかった」

ラ「あの時はそんな余裕もなかったしねえ」


〔道中会話 リディ、アナマリア〕
ア「でしたらもう一度、行ってみるのはどうですの?」

リ「さすがに次は無事じゃ済まないでしょう」

ラ「歓迎はしないとはっきり言われたしねえ」


〔道中会話 アナマリア、シャルル〕
シャ「狭量ですね……。話しぐらいいいじゃありませんか」

ラ「不法侵入したようなもんだからねえ。ほぼお咎めなしで見逃してもらえたんだ。これで文句を言ったらが当たるよ」

ア「わたくしは言っておりませんわ。シャルルだけです」

シャ「お嬢様!?」


〔道中会話 アナマリア、リディ、エド〕
エ「そろそろか」

ラ「だねえ。よしここら辺で野営をしよう」

リ「まだ日は落ちてない。もうちょっと進めるんじゃない?」

エ「こういう時は余裕をもって、準備しておくもんだ。暗くなってからじゃ手元が見えないからな」

ア「なるほどー」

リ「エドがそう言うなら」

ラ「あれ?お兄さんの意見は?野営しようって言ったの、お兄さんなんだけど?」


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5人は見晴らしの良い高台を野営地に決めた。

「よし、ここは野営熟練者として準備でいいところを見せて、最年長者としての威厳を……」

ラウルはファサっと垂らした前髪を払いながら、周りを見て固まった。

「準備早一!?」

既に、エドとシャルルがテントを組み立ててしまっていた。

「思ったよりシャルルの手際が良くてな」

「ふふん」

エドが褒めると、シャルルは胸を逸らした。

「お嬢様の従者たるもの、この程度できて当然です」

「ぐぬぬ。シャルルに遅れを取るとは……」

ラウルは悔しそうに両手の拳を握る。

「はあ……しょうがない。せめて料理で挽回……」

気を取り直して、料理をしようとするラウルの傍にリディが寄る。

「はい、これ」

そう言ってリディは筒状のケースを差し出して、その中の極彩色の飴玉の様なものをラウルの手の上に落とした。

なに、と言うようにラウルはそれを摘んで見る。

「あたし作、特製栄養保存食」

「い、いやいやいや!今日はお兄さんが腕によりをかけて料理するよ!メモ通りちゃんと食材も買って来たし!」

「臭いにつられて獣がやって来たらどうするの?」

「うっ!」

リディの正論にラウルは胸を抑える。

「じゃあなんでリディちゃんは、あんなメモ渡したのさ!」

「そもそもあたしが頼んだのは"食料"よ」

「正論………」

またも正論で諭され、ラウルはガックシと肩を落とすのだった。
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