エピソードまとめ

□ラウル
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ep.2 最年長者の頑張り
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グツグツと煮えるマグマの上に建てられた橋を渡っていると、急に後ろが音を立てて崩れた。

「ううわ!?」

橋の真ん中が崩れて引き返す事が出来なくなった。

「えっ、ちょっと……これ大丈夫なの?」

リディが心配そうに尋ねる。

「オレ達は先を目指すだけだが……」

「あとから来る人が困るだろうねえ……」

かと言ってどうにかできるものでもないので5人は先をめざして歩き出す。
その途中でラウルは、ふと、足を止めた。

「ん?この壁は……」

「ラウル?なにしてるんですの?」

「早く行くわよ」

「……ああ」

アナマリアとリディに急かされ、ラウルは再び歩き出した。

気になった壁の反対側の通路を進んでいくと門が見えてきた。

「おっ、あれは……」

「検問所か」

エドが言うように、門の前に連邦兵が立っている。

「出口ですわね!でも……すごく並んでますわ」

アナマリアの目にも映るように、行商人や旅人などが、検問所の前でずらりと並んで待っていた。

「大丈夫です。すぐ、どかしますのでお待ちを」

そう言ってシャルルは杖を構え、ポーンを生成しようとした。

「やめなさい」

慌ててラウルがシャルルを止める。

「結構時間がかかりそうね」

「それならちょっと、辺りを探索してもいいかい?この洞窟……、なーんか考古学者の血が騒ぐんだよねえ」

「その台詞かっこいいですわね!わたくしも冒険の血が騒ぎますわ!」

ワクワクとした表情でアナマリアはラウルの真似をする。

「使い方が違う気がする………」

「なら二人で行って来い。オレとリディとシャルルは並んでおく」

エドがそう言えば、シャルルが驚いた。

「なっ!?ボクもお嬢様と……」

「お留守番、頼みましたわよ、シャルル!」

アナマリアがそう言えばシャルルは、くるりと態度を変えた。

「お任せ下さい!」

「……アナマリアちゃんと、二人ってなんか不安だけど」

「お守りは頼んだわよ」

「お嬢様を危険な目に遭わせたら……わかってますよね?」

ちびっ子ふたりがじっとラウルを見つめる。

「プレッシャーが凄い……」

「いざ冒険へ!レッツゴーですわ!」

そうって来た道を先に戻るアナマリアを追ってラウルは歩きだした。

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〔検問所会話 床に座り込む2人〕
「はあ〜、またこの行列かあ」

「正直もう慣れてんのよね、ここで待たされんのは」

「ルディロームの雑貨屋で、本を買っといて良かったよ。たぶん待ってる間に一冊読みきれるだろうなあ」

「そ、そんなに並ぶんですか?」

「まあわりとね。でも、ここ以外に通れる道はないし、せかせかしてもしょうがないよねえ」


〔検問所会話 列に並ぶ男性〕
「この洞窟は俺達の商売には欠かせないんだが、この行列には毎回うんざりするよ。通行証見るのにどれだけ時間かけてるんだか。兵士の要領が悪いのか、通行人がちんたらしてんのか……。はあ……イライラするぜ……」


〔検問所 連邦兵〕
「おい、お前達横入りは禁止だ!通行証を用意してちゃんと列に並べ!」


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「お兄さんのカンじゃ、この辺りになにかある気がするんだよね………」

2人は先程の崩れた橋の先、気になった壁の辺りまで戻ってきた。

「なるほどなるほど。では、わたくしのカンもそう言ってますわ!」

「"では"ってなに……」

アナマリアに呆れながら、ラウルは先程の壁をじっとみた。

「うーん、気になるねえ」

「ここがですの?なにもありませんが……」

「ちょいっとな」

そう言ってラウルか壁に触れると、バラバラと壁が崩れるように消えた。

「な……」

「ビンゴー!」

崩れた壁の先には道が繋がっていた。

「す、すごいですわ………。初めてラウルのことを少し尊敬しました!」

「は、は、は、そうだろうそうだろう…って。初めては酷くないかい!?」

そう言いながら2人は先へ進んでいった。


〔道中会話〕
ア「こんな道があったなんて……世紀の大発見ですわ!」

ラ「いや、本当の大発見はこれからだと思うねえ。こういう道の奥には必ず……隠さなきゃならない物が眠ってるはずだ」

ア「それって……!」


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先に進むと、初めてアナマリアとシャルルと出会った遺跡と同じ、光る床の仕掛けの部屋があった。

「これは……見たことがありますわ!夢でしょうか?」

「いやいや、この前一緒にやったでしょ!……となればもうこっちのもんだよねえ」

そう言いってラウルは床を全て光らせていく。

「よっしゃどうだい!」

「やりましたわー!」

扉が開き、2人は奥へ進む。
そこには翼の生えたガーゴイルのような獣の像があった。

「ここが最奥だね」

「つまり……この先に宝が……?金銀財宝ざっくざく!?」

「……もしかして、宝をいただくつもりかい?アナマリアちゃんの方が、よっぽど泥棒っぽいよ…………」

そう言いながら、2人は像へと近づいた。
その瞬間。グラグラと地面が揺れた。

「な、なんですの?この揺れは……」

「地震か?いや違う……」

バサッとマグマの中から像の獣とよく似た、赤黒い大型の獣が現れた。

「こ、こいつは……!」

「隠さなきゃならない物が眠ってるって……こういう意味だったんですの〜!?」

ドシンドシンと獣は床を叩く。

「あ、あいつ……ここを壊す気か!?」

「とにかく外に出ないと危険ですわ!」

「ああ、出口まで突っ走ろう!」

そう言ってふたりは検問所の方への走って逃げた。

「おいおい……なんて奴連れてきてんだ……」

検問所の前でエドと遭遇した。

「シャルルとリディはどうしたんですの?」

二人どころか、あんなに並んでた人たちも丸ごといなかった。

「様子がおかしいから行列の避難誘導をさせた」

「よかったですわ……」

「ひとまず……ここで食い止めないとマズそうだねえ」

そう言って3人はそれぞれ武器を構えた。
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