エピソードまとめ

□シャルル
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ep.1 源獣に至るもの
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シャルルはラウルを引き連れて、街の人達が行くのを見かけたという南東の方へ向かうと、東門の前に紫色のテントがあって、その付近には、黒い騎士学校の制服の女の子と、白とエメラルドグリーンを基調とした騎士学校の制服の女の子が、キャッキャと楽しそうに占いの話している。

間違いなくこの紫色のテントが占いの館だろうと、中にいるおばあさんに声をかけた。

「そっちのお嬢ちゃん………いや、坊ちゃん?あんた死相が見えるね」

「そんなことどうでもいいので」

「どうでもいいことじゃない気がするんだけど……」

「ここにすさまじく可憐で美麗で優雅でお淑やかで、素晴らしいお嬢様が来ませんでしたか?」

「そんな子は知らんが、やたら元気のいいお嬢さんなら、占い終わるや否や、マーケットの方に駆けて行ったよ」

「それだ!」

「マーケットですね」

2人は占いの館を離れて、マーケットへの道へ向かう。

「お、マーケットに行くのかい?」

広場の階段付近に居た、おじさんが2人に声をかけた。

「はい、そのつもりです」

「この門を抜ければその先がマーケットだ。あんた達、見たところ観光客だろ?土産の一つでも買ってってくれよな」

「ああ、そうするよ」

「道案内のあとさりげなく宣伝……あなどれませんね」


2人は教えてもらった通り階段を登って、門を開けた。

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〔マーケット会話 門付近女性〕
「すみません、マーケットはどっちでしょう?」

「おや、お父さんと買い物かい?」

「いえ、これはただの不審者です」

「お兄さんいろいろショックで言葉が出ないよ……」

「この先へ進めばすぐマーケットさ」


〔マーケット会話 入口付近おじさん〕
「すみません。優雅で可憐なお嬢様を見ませんでしたか?」

「うーん。そんな子は見なかったねえ……。騒がしい女の子ならマーケットの奥に走ってったけど」

「なるほど……ここでは手がかりなしですか」

「いや、あったろ!」


〔マーケット会話 雑貨屋〕
「このマーケットはシルヴェーアの台所なんだよ。どうだい?お兄さんもなにか買っていきなよ」

「……今なんと?」

「お兄さん……?」

「イエス!ありがとう、お姉さん!いやあ感動だ!よーし、今日は財布の紐ゆるめちゃうぞ」

「そんな余裕あるんですか?」

「……うう、ありません」

「ごめん、お姉さん。また来るよ」


〔マーケット会話 道具屋〕
「すみません。清楚で上品な、お嬢様が来ませんでしたか?」

「その切り出し方は崩さないのね……」

「お嬢様っぽい子なら、この辺の店を見て回ってたよ」

「おお、珍しいリアクション」

「どこに行ったかは、そこらの店主に聞いてみな」

「わかりました。ありがとうございます!」

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マーケットの中でアナマリアの姿を見てないか尋ねて行く中、シャルルは花屋に声をかけた。

「すみません」

「はいはい?」

「ここにすさまじく、可憐……」

「すさまじく元気のいいお嬢ちゃんが来なかったかい?」

シャルルの説明だと話が進まないので、ラウルは遮ってそう説明した。

「ああ、来たぜ」

「どこに行ったとかは?」

「源獣様の元に行くって言ってたから、その前に教会に行きなって教えてやったぜ」

「教会ですね」

「あっちこっちと元気なお嬢様だこと……」


2人は花屋に礼をいい、その場を離れる。

「さて、それじゃ教会に向かいますか」

「どこにあるか知ってるんですか?」

「お兄さんはルディローム、初めてじゃないからね。ここからなら左手の橋を渡ればすぐだ」

「ラウルのくせに役に立ちますね」

「はいはい、それはなにより」


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※マーケット内小ネタ。
布屋さんに内にセリア、マーボーカレー飯店の行列最前にレオがいる。


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〔街中会話 教会の前の騎士学校生〕
「あら、あなた旅の方?それなら見ていって!荘厳なアグライア様のお姿を!」

「教会っぽくないテンションで呼び込まれたねえ……」

「暑苦しい女性ですね」

「コラコラ!」


〔街中会話 女性〕
「ここよここ!ずっと来たかったの!うーん、ここからでもすごくいい眺め。獣に襲われながらも街に来てよかったわあ」

「……この場所にそんな価値があるんですか?」

「まあ。ここの良さがわからないなんて、早くそこから下を見てごらんなさい。アグライア様の雄大なお姿とルディロームの街……私という存在がちっぽけに感じるわよ!」


〔街中会話 老夫婦〕
「ここからはアグライア様がよく見える。人生の岐路に立たされた時、なにかひどく思い悩んだ時、ここに来ればスッと気分が和らぐ。"我ら源獣とともに"……。すべてアグライア様のご加護があってこそだ」


〔街中会話 教会中庭〕
「旅の方、一つ問答をしましょう。ある少年が盗みを働きましたあなた方はこの行いをどう思いますか?」

「盗みはいけません」

「では、その少年が盗んだものが、母親の病気を治すための薬だったとしたら?」

「お母さん思いのいい少年です……」

「そう少年にとって盗みは正義だったのです。正義とは悪とは難しいもの。そのことを心に留め置くと良いでしょう」

「むう……」
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