エピソードまとめ
□シャルル
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ep.1 源獣に至るもの
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「リディ!」
誰よりも早くエドが2人の元に到着し、ツインテールの少女に声をかけた。
「エド。無事?」
「こっちのセリフだ」
「無事」
「そうか。よかった」
「心底ホッとしてますね」
シャルルがそう言うと、エドは顔を引き締めた。
「……護衛対象に死なれると困るからな」
「そういうことにしておいてあげる」
リディはどこか嬉しそうにそう言った。
「ラウルも無事でしたのね」
「ありがとう」
アナマリアが声を掛けたのを見て、エドも振り向きラウルに礼を言った。
「オレの代わりにリディを守ってくれて」
「そう言ってくれれば、苦労も報われるってもんさ」
「……普通に常識人じゃないか」
「……ねえ、あの二人、お兄さんのことなんて言ってた?」
コソコソ、ラウルはエドに聞く。
「自称考古学者の不審者」
「はああ……」
ラウルは大きなため息を吐く。
「そっちこそ悪かったね。あの二人のお守り、押し付けちゃったみたいで」
ラウルはエドの心痛を察してそう言った。
問う。汝らが求めるのは、自由な未来を切り開くための手段か。過去の因果を断ち切るための手段か。
再会を喜ぶのもつかの間、またあの声がした。
「まーたかい……」
「では、わたくしは……」
「ストップ!ここは答えを合わせよう。また別々に分けられたら面倒だ」
「それはお勧めしないわ」
リディが首を振る。
「リディ、ここはやはり……」
「たぶんエドの思ってる通りだと思う」
「そうか……」
「この問いかけには、それぞれが思っていることを正直に答えたほうがいいと思うわ」
「思っていることを正直に……。ボクは……」
シャルルは考え、皆の意見を聞いてみることにした。
「また問いかけですわね……」
アナマリアは小さく呟いた後、キリリと前を向いた。
「ですが、わたくしの答えは決まっています。自由な未来を切り開く手段ですわ!もっともそれは、自らの力で切り開きますが!」
「お嬢様ならそうお答えになると、わかっていました」
「これからも自由な冒険をしましょう」
次はラウルに聞いてみる。
「なかなか面白い質問だねえ。お兄さんは自由な未来を切り開く手段かな。過去ってのはそうそう変えたり捨てたりできない」
「歳を取るとそうでしょうね」
「チクチクくるねえ。……ともかく、未来は自由に選べる方が良いさ」
「へえ、そうですか」
「話しかけといて生返事かよ!」
次はエドに声をかけた。
「……オレの答えか?……過去の因縁を断ち切るだな。自由な未来……そんなものがオレにあるとしても、それは過去に決着をつけた先だ」
「なにを格好付けているのやら」
「……ふううう、平常心平常心」
怒りを鎮めようとするエドを置いて、今度はリディに話しかけた。
「この問いかけには正直に、本心で答えたほうがいいと思うわ」
「それで答えは?」
「あたしは過去の因縁を断ち切る手段かしら。自由な未来を得るにしたって、まず現在を過去から解き放つのが最適解よ。とはいえこれはあくまであたしの答え、あなたはあなたの答えを出すべきよ」
全員の話を聞き終わって、またシャルルは考えた。
「自由な未来を開く力と過去の因縁を断つ力……。ボクは……ボクが選ぶなら……」
自由な未来を開く力(アナマリア、ラウル)→P14
過去の因縁を断つ力(エド、リディ)→P15