エピソードまとめ

□シャルル
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ep.1 源獣に至るもの
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何も無い真っ白な空間に、シャルルは1人立っていた。
その後ろに気配があってシャルルは振り返った。

「やあ」

「やあ」

同じ顔、同じ体がもうひとつあった。

「始まるんだね」

「そうだね」

2人は淡々と話をする。

「それじゃあ」

「うん」

「「はじめようか」」

2人は声を揃え、同じ動きで杖を上へと放りなげ、くるりと回して手に持ち直した。


【CHAPTER1 第一段階】

「改めてなにか言うこともないよね」

もう1人のシャルルがそう言った。

「ないよ。いつもと変わらない」

「ボク同士だから手の内は同じ」

「この子達を飛ばしてキミを倒す」

「そう、ボクであるキミを」

2人はポーンを生成して、淡々と戦う。

「攻撃し続けるとこの子達が消えてしまう」

「でも攻めきる時は有効だね」

「うん。それにカッコいいしね」

「そうだね」

「力をためてからの攻撃は、ちょっと時間がかかるよね」

「うん。だから避けられないよう相手の動きを先読みしないとね」

「そろそろかな」

「そろそろだね」

「終わりにしよう」

「うん。いつも通りに」


シャルルがシャルルを倒すと、倒れた方のシャルルは白い床の中に沈んで行った。

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晴れた日の朝、詰所からブルーグリーンの髪の女の子─アナマリアが軽い足取りで出てくる。

「さわやかな朝ですわ!」

そんな彼女の後ろを同じ髪色を持つ子供─シャルルと、明るい茶髪で髭面の男性─ラウルがついて出てきた。

「朝から元気だねぇ……」

「朝から元気がないのは歳のせいでは?」

「昨日は一日、事情聴取だったからです!お兄さん危うく牢に入れられるところだったよ」

「もうしわけありませんでしたわ。まさか本当に考古学者だったとは……」

「盗掘者と信じて疑ってなかったってことか……」

「さあ!今日はルディロームをくまなく観光しつくしてやりますわ!」

意気揚々とそう言って少女は走り出す。

「まずは占いの館で占いですわね!」

少女は二人を置いて、一人で行ってしまった。


【CHAPTER2 源獣観光】
999Y.C. 森国シルヴェーア 森都ルディローム


〔道中会話〕
「行っちゃったよ……」

「お嬢様!待って下さい!ほら早く追いかけますよ!」

「え、お兄さんも一緒に行くことになってる?」

「どうせ仕事してないんですし暇なのでは?」

「昨日、お兄さんの仕事の邪魔したの誰だったっけ!?」

「そんな人いましたか?」

「……本気で言ってそうで恐ろしいよ」


〔街中会話 おばさん〕
「お。あんた達、女の子を探してるね?」

「なぜそれを?」

「女の子を探す二人組に会うって、占いで言われたのさ」

「マジか……占いすげーな」

「その女の子も占いをしに行ったはずさ。追いかけるなら右手の橋を渡った先に向かいな」


〔街中会話 おじさん〕
「ここシルヴェーアは連邦でも一番豊かな国なのさ。ただ帝国と隣合わせだから戦争は絶えないんだがね」

「なぜ帝国が隣だと戦争が絶えないんですか?」

「なぜってそりゃあ……帝国がこっちを狙うからさ」

「連邦から帝国を狙うことは?」

「今の連邦に帝国を攻める理由なんかないさ。ましてシルヴェーアはアグライア様を奉じてるからね。正義に反する戦争なんかするはずがない」

「勝手な決めつけですね」

「なに?」

「ああ、いや、なんでもないんだ。シャルル、そろそろ行こうか」


〔道中会話〕
「そもそも、なんで占い?」

「冒険の旅は占いで導かれるもの。お嬢様はそうおっしゃっていました」

「そんな。なにかの本じゃあるまいし」

「お嬢様に異論でも?」

「ない。ないですー」

「では早くお嬢様に追いつきますよ」


〔街中会話 おばさん〕
「このルディロームには、連邦の騎士学校があるのさ」

「連邦の騎士とはなにをする人なんですか?」

「なにって……。騎士だもの、正義のために戦うんだろ」

「たとえば帝国と戦うとして、それも正義だと?」

「ああ、そうだろうね」

「でも戦いの原因が連邦にあったとしたら……」

「待て待て、シャルル。そこまでにしとけ。おばさんも悪かったね、変に絡んじまって」

「ちょっと、誰がおばさんだい!失礼な」

「なるほど。ラウルは悪のようですね」

「ええ………すみません」


〔街中会話 井戸端会議〕
「それでね、聞いてようちの人ときたら……」

「ええっ!?それってひどくない?」

「あの人の中じゃ、それが正しいんだとさ。もうあたしゃ付いていけないよ……」

「正しさっていったいなんなのかしらね……」

「取り込み中だな……。シャルル、他から回ろう」


〔街中会話 跳ね橋の先の男性〕
「すみません。お嬢様を見ませんでしたか?とても可憐で優雅な御方なのですが」

「誰のことだ、それえ!?」

「ああ、元気な子かい?占いをやってる場所を教えたら南門の方に駆けて行ったよ」

「わかりました、ありがとうございます」


〔街中会話 南門前広場子ども〕
「待て!おじさんさては、ゆーかいはんだな!」

「よーし、ちびっこ。二つ訂正だ。お兄さんはおじさんではありません!そして誘拐犯でもありません!」

「ウソだ!悪いヤツはみんなそう言うからな!」

「なかなか、将来有望な子ですね」

「キミねえ……」


〔街中会話 南門広場前連邦兵〕
「この先はアンスワン森林だ。その先の洞窟と海岸を抜ければ、ボーナ村に出るが、よっぽど用がなければ通るのはやめた方がいい」

「なぜですか?ボクにはその資格がないと?」

「獣が出るからだ」

「どこだってそうじゃないですか」

「いや、森の歌はともかく洞窟の獣は厄介だぞ。騎士学校の訓練にも使われる場所らしい」

「ふーん……興味ありますね」

「おいおい……物騒なことは考えるなよ」

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※街中小ネタ
駐屯所にヴァネッサとリュシアン、占いの館の横にミシェルがいる。
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